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落とされ人  作者: カーブミラー


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232/252

【232.嘆き】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 ネネカは嘆き悲しんでいた。

 ドクターがいないあいだに、自分のツノがどうなっているのかを知ってしまったのだ。

 アンバランスな頭部と、フェレが左ヅノに近づかないことで、薄々気付いていたとはいえ、実際に手を伸ばして、付け根に触れてしまった。

 新しいツノができることを知らないのだから、その悲しみの深さはいかばかりか。

 ドクターが何を言っても、ネネカの耳には届いていない。

 それはネネカの中を覗き込んでわかった。

 オレは、強く念をかけた。

(ネネカ!)

 その念にネネカは一瞬、身をこわばらせた。

 だが、空耳だと思ったらしい。

 嘆くのを続けた。

(ネネカ! それでもパイロットか!)

 今度は、嘆くのをやめた。

 両腕で覆っていた顔を出して、まわりを見回す。

「スベト***」(スベトか?)

 そんなネネカに、ドクターは怪訝な顔を向けた。

(違う。私は、パオロだ)

「パオロ *** ***」(パオロ? 誰だ?)

 ネネカの視界は、ボンヤリとしている。

 涙で曇っているのだ。

 オレを見つけると、その涙を手で拭い取る。

 はっきりとオレが見えるようになった。

(なんだ、この生物は)と疑問の念。

(この惑星の住民だ。君とは心で会話をしている)

「*****」(心で会話?)

 ドクターは、ネネカのその言葉で、どういうことなのかを理解したようだ。

(そうだ。だから声を出す必要はない)

(なぜ、私の嘆きの邪魔をする?)怒りが発せられている。

(なぜなら嘆く必要がないからだ)

(どうして?)

(君のツノは折れてなくなったが、新しいツノが出来上がるからだ)

(ツノが簡単に生えると思っているのか!)怒りの強さが増す。

(思っていない)と冷静に答える。(出来上がる、と言っただろう?)

(出来上がる? どういう意味だ?)

(今、製作している最中だ。それを君の頭蓋に癒着させる)

 ネネカが大きく鼻息を出した。(笑わせてくれる)

(冗談ではない。スベトとシェロアの記憶から作り出しているところだ)

 ネネカはその言葉の意味を、自分の中で噛み砕こうとしている。

 だが、右手を振って、否定した。

(そんなこと、できるはずがない)

(スベトに訊いてみればいい)

 ネネカは、スベトを見た。

 それから鼻で言葉を発した。

 スベトも鼻で説明した。

 そのやりとりを聞く。

 ややあって、ネネカがオレに向いた。

(本当なんだな)

(そうだ)

(約束できるか?)

(私は医師ではない。完全に元通りになるかはわからない。だが、できる限りのことをする、それは約束する)

(それでいい。パオロ、だったな)

(ああ)

(頼むぞ。ツノが折れたままなら、オレは死を選ぶ)

(わかった)


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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