【232.嘆き】
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ネネカは嘆き悲しんでいた。
ドクターがいないあいだに、自分のツノがどうなっているのかを知ってしまったのだ。
アンバランスな頭部と、フェレが左ヅノに近づかないことで、薄々気付いていたとはいえ、実際に手を伸ばして、付け根に触れてしまった。
新しいツノができることを知らないのだから、その悲しみの深さはいかばかりか。
ドクターが何を言っても、ネネカの耳には届いていない。
それはネネカの中を覗き込んでわかった。
オレは、強く念をかけた。
(ネネカ!)
その念にネネカは一瞬、身をこわばらせた。
だが、空耳だと思ったらしい。
嘆くのを続けた。
(ネネカ! それでもパイロットか!)
今度は、嘆くのをやめた。
両腕で覆っていた顔を出して、まわりを見回す。
「スベト***」(スベトか?)
そんなネネカに、ドクターは怪訝な顔を向けた。
(違う。私は、パオロだ)
「パオロ *** ***」(パオロ? 誰だ?)
ネネカの視界は、ボンヤリとしている。
涙で曇っているのだ。
オレを見つけると、その涙を手で拭い取る。
はっきりとオレが見えるようになった。
(なんだ、この生物は)と疑問の念。
(この惑星の住民だ。君とは心で会話をしている)
「*****」(心で会話?)
ドクターは、ネネカのその言葉で、どういうことなのかを理解したようだ。
(そうだ。だから声を出す必要はない)
(なぜ、私の嘆きの邪魔をする?)怒りが発せられている。
(なぜなら嘆く必要がないからだ)
(どうして?)
(君のツノは折れてなくなったが、新しいツノが出来上がるからだ)
(ツノが簡単に生えると思っているのか!)怒りの強さが増す。
(思っていない)と冷静に答える。(出来上がる、と言っただろう?)
(出来上がる? どういう意味だ?)
(今、製作している最中だ。それを君の頭蓋に癒着させる)
ネネカが大きく鼻息を出した。(笑わせてくれる)
(冗談ではない。スベトとシェロアの記憶から作り出しているところだ)
ネネカはその言葉の意味を、自分の中で噛み砕こうとしている。
だが、右手を振って、否定した。
(そんなこと、できるはずがない)
(スベトに訊いてみればいい)
ネネカは、スベトを見た。
それから鼻で言葉を発した。
スベトも鼻で説明した。
そのやりとりを聞く。
ややあって、ネネカがオレに向いた。
(本当なんだな)
(そうだ)
(約束できるか?)
(私は医師ではない。完全に元通りになるかはわからない。だが、できる限りのことをする、それは約束する)
(それでいい。パオロ、だったな)
(ああ)
(頼むぞ。ツノが折れたままなら、オレは死を選ぶ)
(わかった)
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