【228.小動物】
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もう一方のカプセルも着陸していた。
こちらは、前のカプセルよりもひとまわり小さい。
今度は、調査船の中から念を発した。
ところが、返事がない。
どんな念も感じられない。
いや、複数の小動物を感じる。
それらのひとつに意識を集中しようとするのだが、誰かを求めているだけで、こちらの念を受け付けない。
「複数の小動物を感じる。こちらに答えようとしない」
そんななか、ふたつの小動物が、念を送ってきた。
(助けて! あるじ、傷ついている)(あるじ、傷ついている)
(あるじは、どうしている?)
(助けて。あるじ、寝てる)(起きない)
寝てる? 起きない?
意識がない、ということか。
「小動物が助けを求めてきた。どうやら飼い主がいるらしい。が、その飼い主がケガをして、意識がないようだ」
「どうします?」
「回収できるかね?」
「この船に?」
「ああ。まわりからはわからないように」
「そうなると移動はできませんが」
「外から透視できるなら、それでもかまわないが」
「少なくてもあちらの船内に入れませんと。どうします?」
「頼むよ」
「わかりました」
調査船は、カプセルの上からかぶさるように、降りていく。
まわりの兵士たちからは、何も見えないだろう。
「着地しました」とゾフィー。「透視を開始します」
しばらくのあいだ、我々は息をするのも忘れていた。
ホロが映し出される。
カプセルの内部空間には、複数の小動物だけでなく、ヒューマノイドの姿があった。
ヒューマノイドは、3体。
さきほど回収した3体よりも大きい。
最大個体は、おそらく身長2m近く。
ほかの2体も、それよりは小柄だが、それでも170cmはあるだろう。
その2m近いヒューマノイドは中央に、ほかの2体がその後方に座っている。
いずれも、力なく腕を垂らした状態だ。
「開けられるかね?」
「おそらく。ドローンに開けさせます」
「少し待って」とゾフィー。「念のために無菌状態にするわ」
「OKだ」
ケガをしているとなれば、“腐肉食い”にやられる可能性もある。
正面スクリーンに格納庫のようすが映し出される。
格納庫の壁面からドローンが出てきた。
先に回収した3体の姿がない。
「最初の3体は?」
「個室に移したわ」
カプセルにドローンが接触する。
カプセルの表面は、大気摩擦の熱で、黒く焼かれていた。
だが、融けているわけでも、欠損しているわけでもない。
ドローンの触手が、ハッチ横のパネルを跳ね上げ、中のスイッチを叩いた。
ハッチが外に向けて、少しだけ開いた。
内部の気圧は少し高いようで、隙間風のような音が聞こえた。
その音もほんの一瞬だけだ。
ドローンが、ハッチを大きく開ける。
中は、照明が薄暗く照らしているだけ。
ドローンが中に入る。
その足元に、三つのバッグが固定されてあった。
「バッグの中に小動物がいるわね。それぞれに2匹ずつ」
「もっといるはずだ。少なくても10匹以上に感じられた」
「わかってる。ヒューマノイド3体の首元にそれぞれ2匹ずつがいるわ」
「首元に?」
「それぞれの首元にもバッグがあるのよ」
2mほどのヒューマノイドを捉えるカメラ。
前傾姿勢に見える。
が、シートが背中を支える形状ではなく、腹を支える形状なので、そこに突っ伏しているのだ。
そのヒューマノイドの首元に、やはり同じようなバッグがあった。
それはまるで、大きなフードをたたみ込んであるような感じだ。
バッグには見えない。
それよりも驚いたことがあった。
ヒューマノイドの頭部には、白い枝が伸びていたのだ。
枝ではなく、ツノだった。
まるで、鹿のツノのようだ。
立派だ。
だが、残念なことに左のツノがなかった。
根元からなくなっていた。
その根元からは、赤い液体とドロッとした白い液体が滴れている。
おそらく輸送船が爆発した際に、どこかにぶつけて、ツノが折れると同時にケガをしたのだろう。
後方のヒューマノイドにも、カメラが向いた。
そちらの頭部にもツノは見られたが、それほど立派ではなかった。
肌の色も違う。
立派なツノを持つヒューマノイドは白銀、後方の2体はオレンジと赤。
「呼吸は安定しているわ。気絶しているだけのようね。止血を施すわ」
ドローンが最初のヒューマノイドのもとにいき、その傷口をぬぐったあと、その部分に液体を搾り出した。
液体は、すぐに固まったようだ。
垂れるようすはない。
シートベルトを外しにかかるドローン。
ベルト状のものはなかったが、網状のものがあって、それが身体を支えていたらしい。
それは、シートとの接続部分のボタンで解除され、シートの中へと引っ込んだ。
別のドローンが入ってきて、2体揃って、そのヒューマノイドをシートから運び出す。
もう2体が赤のヒューマノイドを、別の2体がオレンジのヒューマノイドを運び出した。
「医療ドックには、入れられないわね。どうする?」
「最初のカプセルの彼らに、対処方法を聞こう」
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