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落とされ人  作者: カーブミラー


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227/243

【227.接触】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 移動前に、宇宙船に対して、念を送った。

 できるだけ丁寧でわかりやすく、説明した。

 この惑星が、監獄であり、居住するのは終身刑を受けた者とその子孫だけであること。

 そのため、惑星は封鎖処置がとられたこと。

 封鎖は、機械が判断していて、出ていこうとする者を容赦なく撃ち落すこと。

 宇宙船を攻撃する意図ではなかったこと。

 このことは、電波で警告メッセージが送られていたが、うまくいっていなかったこと。

 それから輸送船から射出されたふたつの脱出カプセルは、こちらで回収し、乗組員については安全を確保するとともに、今後の状況報告を宇宙船に向けて発信すること。

 こちらの使節団が星系内に到着し、こちらに向かっていることも伝えた。

 最後に、伝わったことを知りたいので、と合図をお願いした。

「宇宙船に変化」とゾフィー。

 スクリーン上の宇宙船の腹部の船首――鈎爪の方がそうだとして――から船尾にかけて、光が流れた。

 それは、深海に住む生物が発するのと同じ光だ。

 その光が、3度、流れた。

 こちらがお願いした合図だ。

 宇宙船に念を送る。

 ありがとう、と。

「少なくとも理解を示してくれたな」


 城の自室に戻り、陛下からの呼び出しを待つ。

 緊急時と判断したのだろう、人を寄こさずに、フェイスで連絡してきた。

 相手は、議長だった。

「すぐ行きます」

 会議室は、緊張した空気が充満している。

 そこで簡単に説明を受け、現場への出向を依頼された。

 もちろん、受諾し、準備をして、すぐさま大広間に続くバルコニーへと向かう。

 そこには、すでにジェット機が待機していた。

 パイロットは、乗ったままだ。

 ヘルメットにプリントされたマークを見て、ケビンとわかる。

 プリントされているのは、〈スベルト王国〉の猛獣“ビッグキャット”。

 ケビンが腕を振って、急げ、と言ってきた。

 オレは、迷わずに乗り込んで、シートベルトを装着し、ケビンに向かって、親指を立ててみせた。

 ケビンは、すぐにキャノピーを閉じ、エンジンを点火。

 機体が上昇をはじめた。

 水平飛行に移ると、ケビンが話しはじめた。

「宇宙船が来てるんだって?」

「そうらしい」

「落下物があるんだとか聞いたが」

「輸送船が撃墜されたんだ、封鎖ブイに」

 ジェット機がふらついた。

 ケビンが動揺したためだ。

 すぐに立て直す。

「本当なのか? それ」

「本当だ。その輸送船から脱出カプセルが射出されたんだ。それが落下物の正体だ」

「ふぇぇ、マジか。ってことは、ここが封鎖されているのを知らずに?」

「警告はされていたんだよ。だが、相手が受信してなかったんだ」

「まさか。宇宙船だぞ? 外部との通信をしてないなんてあるか」

「それがな、通信手段が違っているらしいんだ。電波を使ってない」

「はぁ? それこそ、おかしいじゃないか」

「だが、事実なんだよ。ステーションからの誰何も警告も、宇宙船には聞こえてなかったんだ」

 ケビンは黙った。

 操縦に専念する、という感じではない。

 それでも戸惑いながら口を開いた。

「訊いてもいいか?」

「なんだ?」

「その宇宙船、もしかして――」

「連合に属していない種族だよ、おそらくね」

「あぁ、やっぱり。エイリアンか。侵略しに来たんだよな」

 オレはバカらしさに首を振った。

「ケビン、何を馬鹿なことを言ってるんだ? そんな侵略者が最初から輸送船一隻だけを降ろすと思うか? 惑星上陸作戦だぞ? 侵略するのに無数の戦闘艇を出すはずじゃないか」

 ケビンがこちらを向いた。

 それから前を向く。

「それもそうだ」

「それに私からのテレパシーに、船のライトを点滅させてきたんだぞ」

「テレパシー? ああ、忘れてた。パオロには、そういう力があったんだっけ。じゃぁ、少なくてもこちらに攻撃意図があったわけではない、って知っているんだな?」

「ああ、そう説明した。わかってくれたと思う。攻撃態勢はとってないみたいだからな」

「それを聞いて、安心した」

 “少しは”という程度の安心だろう。


 軍隊と一緒に現場に向かった。

 上から指示されたポイントには、すでに白い煙を上げて、脱出カプセルが着地している。

 オレは、指揮官に半径500mの封鎖を命じた。

 指揮官の指示で、すぐさま行動に移る兵士たち。

 それから防護服姿の兵士が、ガイガーカウンターをカプセルに向けて、徒歩で近づいていく。

 その兵士のおかげで、カプセルの大きさがわかった。

 とても大きい。

 兵士の身長を基準にすると、高さは倍、長さは4倍という感じだ。

 ハッチの大きさから考えると、ソラ人よりも大きいが、2mを多少越すくらいだと思われる。

 兵士は、カプセルの10mほど手前で、身体の向きを変え、こちらへと走って帰ってきた。

 オレの目の前で、フードを外し、その顔を見せ、報告する。

「放射能は、出ていません。ただし、熱を持っているため、あれ以上は近づけませんでした」

「わかった。ありがとう」

 その兵士は、自分の所属する部隊へと戻っていく。

 指揮官に、もう一ヵ所のポイントの無線での確認結果を聞く。

 そちらも、こちら同様の結果だという。

(パオロ)とアルの念。(上空に到着しました)

(了解。準備をはじめてくれ)

(はい)

 しばらく待っていると、目の前の空気が揺らいだ。

(あなたの前に立ちました)とアル。

 彼は光学迷彩のマントで、オレの前に立っているのだ。

(OK。装置の方は?)

(準備できてます)

(では、はじめよう)

 一拍おいて、オレは念を発した。

(聞こえますか?)

 それに対して、動揺する念が、複数返ってきた。

 アルが、思念波の送受信可能な装置を作ってくれたのだ。

(私は、この惑星の住人で、パオロと言います)

 動揺している中、ひとりが一所懸命に気持ちを落ち着かせた感じで(私は)と中性的な念が送られてきた。(シェロアと言います。あなたは警告してくれた人ですね?)

(そうです、シェロア。警告が間に合わず、申し訳ありませんでした。あなたがたに起こったことは、すでに母船に連絡しました。あなたがたの無事も報告する予定です。おケガなどはされていませんか?)

(軽症ですんでいます。パイロットたちもいたのですが、無事でしょうか?)

 あの3体のことは、言わずにおこう、今はまだ。

(まだ確認はしていませんが、すでに着陸しているとの報告を受けていますので、あなたがたと同様かと思われます)

 ホッとしている。

(そのカプセル内では、どのくらいの期間を過ごせますか?)

(この惑星の自転周期で)おお、ちゃんとこちらのことを考えてくれている。(10回くらいまでなら大丈夫かと)

 10日か。

(なるほど。この惑星の空気は、呼吸可能ですか?)

(このカプセルのセンサーは、呼吸可能だと示しています。病原菌が心配ですが)

(そうですね。まぁ、外部に出る前に救助が来るでしょう)

(ですが、また攻撃されるのでは?)

(今、こちらの使節団の船が向かってきています。封鎖解除の手続きをしてくれるはずです。そうなれば、救助の船も安心して、惑星を離れられるでしょう)

(よかった)

(それまでは、窮屈かもしれませんが、待っていてください。逐一、報告をしますので)

(ありがとうございます)

(では)

 念をアルに向ける。

(アル、こっちはOKだ)

(では、もうひとつの方ですね。先に移動します)

(うん)

 このやり取りの最中にも、指揮官はテントの設営を指示していた。

 テントのひとつが会議室に割り当てられたため、そこをしばらく借りることにした。

 そこから跳んだのは、もちろん調査船の中だ。

 そこで、ふたりに念話の内容を話しておく。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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