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落とされ人  作者: カーブミラー


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225/241

【225.宇宙船・4】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 採掘には、ドローンとともにオレも一緒に行った。

 移動時間が惜しいからだ。

 ドローンが、必要な大きさの水晶を削りだす。

 人間の腕ほどの太さのものを、30cm。

 削り終わると、すぐに調査船に戻った。

 水晶がドローンの手で、装置に組み込まれる。

 そのとき、女性の声がした。

「宇宙船に変化」

 ゾフィーが経過を知らせてくれたのだ。

 スクリーンを見るアルとオレ。

 その変化は、宇宙船の鈎爪がある口の下あたりに見られた。

 外に――つまり、〈スータン〉に――向かって、ふくらんできている。

 そこから何かが、スルリと出てきた。

 まるで、魚が腹の中で大切に育ててきた子どもを産み出したかのように。

 出てきた何かが拡大される。

 宇宙船に比べたら、とても小さい。

 鈎爪の先くらいしかない。

 それは、〈スータン〉へと落下していこうとしていた。

 スクリーン上にその物体の解析結果が表示される。

 明らかに要員輸送船だ。

「アル、急ぐんだ!」

「はい!」

 装置を急いでセッティングするアル。


 装置が完成したとき、輸送船は封鎖圏内に入ろうとしていた。

 装置の説明は、アルが組み立てながらしてくれていた。

 完成を待って、オレが輸送船に向けて、警告を送り込んだ。

 きっと、彼らは驚くだろう、オレの思念波を受けて。

 そして、慌てるはずだ。

 間に合ってくれ、と祈る。

 祈りながら思念波を送り続けた。

「輸送船、逆噴射を開始……落下が止まったわ。エンジン点火……上昇中」とゾフィー。

 ホッとした。

 だが、ゾフィーの報告は続いた。

「封鎖ブイ、稼動を確認……レーザー照射を開始」

 オレとアルは、その場に固まった。

 スクリーンの中の輸送船が、青くまばゆく輝いた。

 その輝きで、輸送船はまるで見えなくなった。

 やがて、まばゆさがなくなった。

 青から真っ赤になった船体が見えた。

 逆噴射はもう、していなかった。

「レーザー照射終了。輸送船、落下を開始」とゾフィー。

 輸送船が真っ赤になっていたのは、エンジン部分だ。

 あれでは、上昇できまい。

「アル、宇宙服を」

「ダメです! どうすると言うんです? あなたが行ったところで――」

「窓からなら中が見てとれる。そうすれば」

「間に合いません」とゾフィーの鋭い声。「着ている間に大気圏に突入し、中を覗くどころではなくなるでしょう」

「ならば、この調査船で受け止めるとか」

 首を振るアル。

「輸送船の落下速度と加重に耐えられません。破損程度では収まらず、ともに墜落するでしょう」

「だが、助けなくては」

 アルもゾフィーもオレも、沈黙した。

 どうしようもない、それはオレもわかっているのだ。

 沈黙が続く中、ゾフィーが叫んだ。

「エンジン爆発!」

 スクリーンの輸送船の後部が爆発した。

 燃料に引火したのだろう。

 その光景に唖然とした。

 エンジンをなくした輸送船は、その爆発で弾かれ、ゆっくりとよじれるようにして、落下していく。

 しばらくして、その船体は裂けていき、内部から細かいものが飛び散りはじめた。

 内部の空気が流出しているのだ。

 しかも一気に。

 そのとき、船体上部が爆発、吹き飛んでいく。

 船体から、ふたつの物体が飛び出した。

 ひとつは、船首部分に近い。

 そこからは、別の物体もいくつか。

「人だわ」

 それらがズームアップされた。

 確かに人だった。

 ヒューマノイドタイプ。

 ぼやけてはいるが、それとわかる。

 3体が見分けられた。

 だが、助けられない。

 オレが跳んだところで、すでに死んでいるはずだ。

「せめて、あの人たちを回収しよう」と声低く提案した。

「行かせませんよ、パオロ」とアルが怖い顔をして反対する。

 オレは首を振り、そっと言った。

「行かないよ。ここに移すだけだ。いいね?」

 それを聞いて、アルはホッとし、うなずいた。

「格納庫にお願いします」

「わかった」

 スクリーンに映っているその人たちをひとりずつ、テレポートしていく。

 次々とスクリーンから消えていく。

「3体、収容、完了」とゾフィー。「全員、死亡していると思われます」

「うん」

 スクリーンは、輸送船とそこから飛び出した物体を、別々に追っていた。

「飛び出したのは、脱出カプセルかもしれませんね」とアル。

「だとすれば、無事に降りてこられるだろう。見守るしかあるまい」

「ええ」

 すべてが大気圏へと入り、それぞれが真っ赤に燃え上がった。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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