【225.宇宙船・4】
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採掘には、ドローンとともにオレも一緒に行った。
移動時間が惜しいからだ。
ドローンが、必要な大きさの水晶を削りだす。
人間の腕ほどの太さのものを、30cm。
削り終わると、すぐに調査船に戻った。
水晶がドローンの手で、装置に組み込まれる。
そのとき、女性の声がした。
「宇宙船に変化」
ゾフィーが経過を知らせてくれたのだ。
スクリーンを見るアルとオレ。
その変化は、宇宙船の鈎爪がある口の下あたりに見られた。
外に――つまり、〈スータン〉に――向かって、ふくらんできている。
そこから何かが、スルリと出てきた。
まるで、魚が腹の中で大切に育ててきた子どもを産み出したかのように。
出てきた何かが拡大される。
宇宙船に比べたら、とても小さい。
鈎爪の先くらいしかない。
それは、〈スータン〉へと落下していこうとしていた。
スクリーン上にその物体の解析結果が表示される。
明らかに要員輸送船だ。
「アル、急ぐんだ!」
「はい!」
装置を急いでセッティングするアル。
装置が完成したとき、輸送船は封鎖圏内に入ろうとしていた。
装置の説明は、アルが組み立てながらしてくれていた。
完成を待って、オレが輸送船に向けて、警告を送り込んだ。
きっと、彼らは驚くだろう、オレの思念波を受けて。
そして、慌てるはずだ。
間に合ってくれ、と祈る。
祈りながら思念波を送り続けた。
「輸送船、逆噴射を開始……落下が止まったわ。エンジン点火……上昇中」とゾフィー。
ホッとした。
だが、ゾフィーの報告は続いた。
「封鎖ブイ、稼動を確認……レーザー照射を開始」
オレとアルは、その場に固まった。
スクリーンの中の輸送船が、青くまばゆく輝いた。
その輝きで、輸送船はまるで見えなくなった。
やがて、まばゆさがなくなった。
青から真っ赤になった船体が見えた。
逆噴射はもう、していなかった。
「レーザー照射終了。輸送船、落下を開始」とゾフィー。
輸送船が真っ赤になっていたのは、エンジン部分だ。
あれでは、上昇できまい。
「アル、宇宙服を」
「ダメです! どうすると言うんです? あなたが行ったところで――」
「窓からなら中が見てとれる。そうすれば」
「間に合いません」とゾフィーの鋭い声。「着ている間に大気圏に突入し、中を覗くどころではなくなるでしょう」
「ならば、この調査船で受け止めるとか」
首を振るアル。
「輸送船の落下速度と加重に耐えられません。破損程度では収まらず、ともに墜落するでしょう」
「だが、助けなくては」
アルもゾフィーもオレも、沈黙した。
どうしようもない、それはオレもわかっているのだ。
沈黙が続く中、ゾフィーが叫んだ。
「エンジン爆発!」
スクリーンの輸送船の後部が爆発した。
燃料に引火したのだろう。
その光景に唖然とした。
エンジンをなくした輸送船は、その爆発で弾かれ、ゆっくりとよじれるようにして、落下していく。
しばらくして、その船体は裂けていき、内部から細かいものが飛び散りはじめた。
内部の空気が流出しているのだ。
しかも一気に。
そのとき、船体上部が爆発、吹き飛んでいく。
船体から、ふたつの物体が飛び出した。
ひとつは、船首部分に近い。
そこからは、別の物体もいくつか。
「人だわ」
それらがズームアップされた。
確かに人だった。
ヒューマノイドタイプ。
ぼやけてはいるが、それとわかる。
3体が見分けられた。
だが、助けられない。
オレが跳んだところで、すでに死んでいるはずだ。
「せめて、あの人たちを回収しよう」と声低く提案した。
「行かせませんよ、パオロ」とアルが怖い顔をして反対する。
オレは首を振り、そっと言った。
「行かないよ。ここに移すだけだ。いいね?」
それを聞いて、アルはホッとし、うなずいた。
「格納庫にお願いします」
「わかった」
スクリーンに映っているその人たちをひとりずつ、テレポートしていく。
次々とスクリーンから消えていく。
「3体、収容、完了」とゾフィー。「全員、死亡していると思われます」
「うん」
スクリーンは、輸送船とそこから飛び出した物体を、別々に追っていた。
「飛び出したのは、脱出カプセルかもしれませんね」とアル。
「だとすれば、無事に降りてこられるだろう。見守るしかあるまい」
「ええ」
すべてが大気圏へと入り、それぞれが真っ赤に燃え上がった。
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