【224.宇宙船・3】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
昨日は、私事で更新できませんでした。
二話連続で更新させていただきますm(_ _)m
城に戻って、自分の部屋に入る。
そこから調査船へと跳ぶ。
「どうだね?」
「周回軌道に乗りました。まだ何も変化はありません」
「OK。上は?」
「様子見ですね」
「そうか。ところで、上はソラ政府に連絡をしたんだろうか?」
「すでに対処チームが派遣されて、星系内に進入してきています。ですが、ステーションが旧型なので、進入コースはひとつしか設定されておらず――」
「それでは到着に、1週間はかかってしまうな」
進入コースは、その星系の利便性を考えて、設定されている。
だが、この〈レダン星系〉は、〈スータン〉だけしか使われておらず、航宙図にあるままの進入コースしかない。
その進入コースは、星系の外縁部にある。
「それ以上でしょう。通信には電波ではなく、亜空間通信を使っていて、こちらでは傍受できません。ですから、どういう指示が出されたのかはわかりません。ですが、電波での誰何が続けられているばかりなので、“それ以上の手出しはするな”という指示が出たのだと思われます」
亜空間通信は、1対1の指向性だ。
だから、ほかからは傍受することができない。
秘匿性という点では、いいのだが。
もしかすると、それを狙ったのかもしれない。
星系内なら、電波での通信も可能なのだから。
「こちらから宇宙船に、なんらかの情報を送れないだろうか?」
「我々から、ですか?」
「うん。もし、〈スータン〉に降下してきたら上昇できんだろう? あれだけの大きさでも撃ち落される可能性はあるはずだ」
「なるほど。しかし、電波がダメでは。それに下手をすれば、上にこちらの存在が知られてしまいます」
「そうだがね、彼らの注意を引き、警告を与えねばならないだろう。〈スータン〉の周回軌道に乗ったのだから、それなりの行動を起こすはずだ。つまり、〈スータン〉への着陸などをね」
「わかります」
彼は、腕組みをして、考え込んだ。
「通信方法としては、電波以外に何があるかね? こちらから送るとして」
「上に知られずに、という条件下では、限定されてしまいますね。レーザー光による光通信が考えられますが、内容を解析できるかが問題になります」
「ほかには?」
「亜空間通信は相手がわかりませんと、ダメですし」
「ふむ」
「それ以外は」と首を振るアル。そこで思い出したように、オレを見た。「テレパシーは?」
オレも首を振った。
「あれは、相手をイメージしなければ使えないんだよ。〈マニ教〉の文献でもそうなんだ」
「そうですか。使えるかと思ったんですが」
「うん。だからテレポートも使えない。できるのは、あの宇宙船の外壁までだね……まぁ、直接、出向いて、こちらのことを伝えられるかもしれないが」
「なるほど。しかし、それはできるとしても許可を与えるわけにはいきませんよ。あなたの身に危険がおよびかねません。止めても行かれてしまうんでしょうが」
「あはは。宇宙服が必要になるから、それを押さえられたら、私にはどうしようもないよ」
「ああ、確かに」と彼も笑顔を見せた。
それでもおたがいに、そんな笑顔は続かない。
「困った問題だ。封鎖のことを伝えられずに、彼らが出入りしようとすれば、撃墜されてしまう。そうなったら、彼らとの戦争が勃発してしまうことも考えられる」
「そうなったら、連合には、太刀打ちできるだけの力は――」
「ないだろうね。なんとか通信手段を見つけないと」
数時間が経過した。
宇宙船は、静かに〈スータン〉をまわり続けている。
ステーションからは、誰何と警告が送られるだけ。
調査のための船を出していない。
まぁ、そういった船もステーションにはない。
地上に降りる必要がないし、星系外に出るには非力すぎる。
看守たちが出入りできるのは、囚人護送の船だけなのだ。
とにかく、応援の専門チームの船は、星系内に入り、こちらへと向かっているが、まだまだ遠い。
正体不明の宇宙船も気付いているはずだ。
(パオロ)
「陛下からだ」(はい、陛下)
(今、天文部からの報告を聞いたところなんだが)
「どうやら天文部も宇宙船を見つけたらしい」(何か?)
(宇宙船が来ているらしいのだ。巨大で異様な宇宙船が)陛下の動揺が伝わってきている。彼女が見ているテーブルの上のプリントには、ぼやけてはいるが、問題の宇宙船の姿。(アルと連絡は取れんか?)
(すでにそのことで、アルと相談していたところです)
陛下がひと息つく。
だが、すぐに気を引き締めたのがわかった。
(そうだったか。それでどういう船なのだ?)
「さて、どう説明したものか」
「陛下に、ですか?」
「うん。本当のことを言っても不安がられるだけだろうし」
「ソラ政府からの監査だと説明しては?」
「だが、巨大で異様な船とわかっているんだ。それでは説明つくまい」
「まぁ、そうですね」
(パオロ?)
(陛下、じつはまだ調査中でして。何かわかり次第、お知らせいたしますので)
(そうか。頼む。こちらでは、みなが動揺している)
(わかります。あんなものが頭の上にいるんですから)
(うむ。では、頼むぞ)
(かしこまりました)
念話を閉じる。
オレは、身体の力が抜けるようにイスに背中を預け、吐息を吐いた。
「調査中としておいた」
「それが一番かもしれませんね」
「ああ」
ふと、あることを思い出した。
「アル、例の水晶は、思念波を増幅するんだったね」
「例の? ああ、はい」
「あれを使って、私の思念波を宇宙船に向けたらどうだろう?」
「ですが、一方通行ですよ?」
「かまわない。彼らにこの星が封鎖されていることを伝えるだけなんだから」
怪訝だったアルの顔に、笑みが浮かんだ。
「わかりました。すぐに準備します。とはいっても、鉱床から持ってこないと」
彼はそう言いながら、パネルに向かった。
「頼むよ。間に合えばいいんだが」
アルがふと、こちらを見た。
「何かを感じるんですか?」
「そこまでのものではないんだが」
「不吉な予感、ですか?」
「そんなところだ」
彼はパネルに向きなおった。
「急ぎます」
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