【222.宇宙船・1】
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「それで?」と問う。
アルに(緊急事態です)と呼ばれ、調査船に飛び込むと、彼はそこに立っていた。
コントロールルームに移動しながら、彼が話し出す。
「ステーションで騒ぎが起こっています」
「上で? どうやって知ったんだね?」
「あそこには、SXEのロボットがいますから。そこからの情報です」
「ああ、なるほど」確かにいた。「だが、それなら今までにも情報を得られていたんじゃ――」
「落とされるタイミング程度は。ですが、〈落とされ人〉の詳細などは」と首を振るアル。
「わかった。それで騒ぎの内容は? なんらかの影響がこちらにあると?」
「はい。まずは、スクリーンを」
彼はそう言って、正面スクリーンを指した。
そこには、暗い宇宙空間を背景にして、ひとつの物体の静止画が写されていた。
オレは、絶句した。
異様な物体だった。
太陽光の当たり具合からすると、全身が黄金色で、細く長いのがわかる。
どこが異様かといえば、その先端部だろう。
四つの鈎爪のようなものが、中央の口(?)のまわりにつけられている。
まるで、その鈎爪で、獲物を捕らえ、口に放り込もうとするためにあるかのようだ。
だが、その口は、閉じられている。
あれば、だが。
よく見ると、鈎爪の後方に、いくつもの黒い点が見える。
それは、口を覆うように続いている。
その後ろは、縦の楕円の頂点が鋭角になっていて、まるで魚の身体のようにも見える。
全体的には、海の棘皮動物と魚を掛け合わせたような感じだ。
ようやく口を開き、「なんだね?」と訊いた。
「宇宙船のようです。連合圏のものではありません」
その言葉に彼を見た。
「まさか、異星人のものだと?」
「おそらく。ステーションでもそう見ています。そのため、騒ぎとなり、ロボットにも伝わりました」
「ふむ。それで交信は?」
彼が首を振る。
「ステーション側からは、誰何しています。ですが、いまのところ反応はありません」
「ふむ。現在位置は?」
「最遠の惑星〈ダーネン〉の公転軌道を通過したところです」
スクリーンが切り替わり、星系図とともにその位置と進入経路が示された。
「〈スータン〉へ来るのかね?」
「まだなんとも。ですが、現在の速度と進路からすれば、可能性はあります」
予測範囲が示された。
「来るとして、到着するのはいつごろかな?」
「1週間から10日かと」
それまでは、こちらへの影響はないだろう。
なんらかの意図があってやってきたとしても。
ただ通過するだけかもしれないし。
楽天的過ぎるだろうか?
「今すぐに手を打つべきことがあるかね?」
「今のところは」
「では、何か変化があったら呼び出してくれ」
「わかりました」
その後しばらくは、アルからの呼び出しはなかった。
その代わり、こちらからようすを訊く。
やはり、動向は気になっていたからだ。
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