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落とされ人  作者: カーブミラー


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221/235

【221.データ・キー】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 外の世界の隠れ部屋で、ダウジング・ロッド関連を調べた。

 すると、眉唾物(まゆつばもの)の商品が、アレコレと見つかった。

 ダウジング・ロッドと似たような目的に使う“ペンデュラム”というものもあった。

 見た目は、単純な構造だ。

 錘にヒモがつながっているだけ。

 使い方は、やはり簡単。

 ヒモの先端を持ち、錘をぶら下げるだけだ。

 ぶら下げるのは、地図の上。

 動かないようにして、見つけたい物を思い浮かべ、地図の上をなぞる。

 そうすると、その物がある場所に来ると、錘が動きはじめる、というのだ。

 これは、わざわざアルに作ってもらうレベルのものではない。

 石とヒモだけで、できてしまうのだ。

 実際に作って、やってみた。

 まずは、部屋の中の物を探す。

 地図を使わなくても見つかる、と紹介されていた。

 物を思い浮かべながら、錘の動きに集中する。

 最初は、何も反応がなかった。

 というか、どうしても揺れ動いてしまうので、錘が揺れないように戻していたのだ。

 だが、途中から、錘の揺れ方にパターンがあることに気がついた。

 そこで錘を揺れるがままにしてみた。

 錘は、グルグルまわるのではなく、斜めに長楕円を描いている。

 どうやら、その揺れている方向に、導いているようだ。

 その方向を見やる。

 細かい物をしまいこんだ引き出しだ。

 ペンデュラムを左手に乗せて包み込み、その引き出しを開け、中を見る。

 本当に、こまごまとした物が入っていた。

 その中に右手を突っ込んで、漁ってみる。

 それぞれには、記憶が結びついていた。

 ほとんどは、仕事で使っていた物だ。

 そんな物たちがひしめく引き出しの奥に、それはあった。

 取り出して、目の前に持ち上げる。

 キーホルダーに吊るされた直径2cmほどで、メタルオレンジに輝くコイン状の物体。

 予備のデータ・キー。

 これひとつで、さまざまな用途に使える。

 主な使い道は、セキュリティーの設定/解除だ。

 登録しておけば、部屋の鍵として使えるし、口座からクレジットを引き出したりもできる。

 もちろん、このデータ・キーを使える人間は、登録した人間だけだ。

 ちゃんと生体認証される。

 このデータ・キーは、あちこちの隠れ場所の鍵だったり、あちこちの口座のキーだったりする。

 その予備として、この部屋においておいた物だ。

 だが、いつのまにか、保存場所を忘れてしまい――意識的に記憶していたわけではなかったのだ。それにこの部屋を訪れる予定もなかった――、どこを探しても見つからなかったのだ。

 見つからなければ、どんな優れた物でも役立ちはしない。

 それがこうして見つかったのは、予想外にうれしかった。

 さっそくコンピューターで、現在の口座のセキュリティーに、登録しておく。

 ついでに、過去に登録した不動産や口座がどうなっているのかを調べた。

 いくつかの不動産は、売却されていた。

 おそらく裁判で、終身刑が決定したので、政府が没収し、売却したのだろう。

 口座はいくつかが閉鎖されていた。

 こちらは、口座保持できる金額では、なくなったからだった。

 もちろん、知らせを寄こしたはずだが、オレが行方をくらましてしまったために、その知らせは届かなかったのだ。

 残っている口座は、いったんひとつの口座にまとめ、解約しておく。

 まぁまぁの額だ。

 残った不動産の売却も業者に委託。

 動産もいくつかが残っていた。

 動産の多くは、飛行機や車だ。

 さすがに宇宙船は購入したことがない。

 客船に乗るか、チャーターすればいいだけのものだからだ。

 飛行機も基本的には同じだが、ビジネスで時間が限られることが多かったために、小さな航空会社ごと購入した。

 これらも業者に委託する。

 これでいい。

 あとは、売却されて、指定口座にクレジットが支払われれば、それでOKだ。

 クレジットをどうするかは、それはまたのお話。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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