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落とされ人  作者: カーブミラー


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219/226

【219.魔法の道具】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 王室図書館で、〈ラクロア〉の文献を調べていると、変わった記述が見つかった。

 そこには井戸を掘るための方法が書かれているのだが、その地下水を見つけるのに、不思議な道具を使っていたのだ。

 その説明書きをどう想像してみても、どこにも科学的な仕掛けがない。

 どうして見つけられるのかの説明もない。

 それでいて、ほぼ確実に見つけることができる、と書かれている。

 まるで魔法か超能力だ。

 自分の書庫の中には、どの文献にも載っていない。

 もちろん、〈マニ教〉の文献にも、だ。

 その道具の名前は、“ダウジング・ロッド”。

 道具といってもたいしたことはない。

 二股に分かれた木の枝、ただそれだけなのである。

 その枝のそれぞれを、左右の手で軽く持つ。

 見つけたい水源の上に近づくと、その枝が微妙に動くのだそうだ。

 そこを掘ると、水源が見つかる、というわけである。

 眉唾物(まゆつばもの)でしかありえない。

 だが、その文献は、どこにもふざけた記述はなく、真面目なものだ。

 しかも水源を見つけ出すためのほかの方法が書かれていない。

 ううむ、信じられん。が、それを言ったら超能力やモーガン・ピラミッドだって、どうしてそうなるのか説明できないが、使えている以上は信じるしかない。


 休憩時間に、大学キャンパスで、適当な二股になっている枝を見つけて、拾い上げる。

 文献に書かれたとおりに持ち、反応を見る。

 もちろん、すぐに反応があるとは思ってはいない。

 広場を歩いてみる。

 まわりに井戸はないし、川もない。

 水道もない。

 つまり、これといって、わかる水源はない。

 しばらく行くと、枝が反応した。

 前方にちょっとだけ持ち上がったのだ。

 その場を外れると、枝が下がる。

 戻ると、持ち上がる。

 オレ自身は、ここのことを知らないから、この反応はなんとも言えない。

(アル)と念を送る。

(はい、パオロ)

(忙しいかね?)

(いいえ。暇です)と笑いの念。

(ちょっと手伝って欲しいんだがね。ここまで来れるかね? ドローンだけでも探査できると思うが)

(探査? 確か、王室図書館においでと――)

(今、休憩中でね。そばの王室大学の広場にいるんだ。そこで水源調査を頼みたい)

(水源、ですか。その程度でしたら、すでに探査済みのデータが使えますが)

(ああ、それならそれでかまわない。私の位置がわかるかね?)

(ちょっと待ってください……追跡装置を見つけました。それで?)

(この位置に水源はあるかね?)

(ええ、あります)

 驚いた。

 おやおや、本当に見つかったのか。

 オレは、話半分でいたのだ。

(これから移動するから、合図をしたら、水源の上にいるのかを教えてくれ)

(逆に水源を教えた方が……)

(そうなんだがね。ちょっとした実験をしているんだよ)

 彼の考え込むような念が届く。

(わかりました。やってみてください)

 それで適当に歩きまわり、ダウジング・ロッドが反応を示した位置で、アルに合図をして、チェックしてもらう。

 10ヵ所ほどを示した。

 なんと、すべてが水源の上だった。

(これほどとは)

(どんな実験をしているんです? パオロの移動を見ていると、これといって法則はありませんが)

(そのとおり。ランダムに動いていたんだ)

(ですが、すべてのポイントで、水源を当てています。どんな実験を?)

(“ダウジング・ロッド”というものを知っているかね?)

 しばらく、間が空いた。

 それから彼が答えた。

(魔法の道具、ですね)

 オレは笑った。

(そのようだ。どういう仕組みか、わかるかね?)

(残念ながら。SXEでも解明できていないんですよ。ただ、ソラ人が文明を持つ以前から使われていた、という道具だそうです)

(そんな昔から)

(はい。しかも探せるのは、水源だけではなく、あらゆるものに対応できるのだとか)

(あらゆるものに?)

(ええ。人や動物、金属。なくし物なんかも含まれます)

(なんと。まさしく魔法の道具だね)

(ええ。その道具の形は、いくつかあります。針金を使ったり、木の枝を使ったり)

(私が使っているのは、木の枝だよ。そうか、針金でも反応するのか)

(そう言われています。なんでも90%以上の確率で発揮するようです)

(そんなにかね。なるほど、そりゃ、真面目に取り上げるしかないな)

(ですが、詳細なデータは取れませんから、水脈の地図を作るだけでもひと苦労かと)

(まぁな。だが、使い方次第では、本当に魔法の道具となるだろう)

(その点については、異論がありませんね)とほくそえむアル。


 それでも、しばらくは、その使い方を思いつきもしなかったのだが。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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