【218.ベッド】
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その週末。
ふたりは、彼女のベッドの中にいた。
シングルベッドだった。
昼間に女助教授から食事に誘われて、仕事を終え、待ち合わせて、彼女の部屋へと一緒に行った。
「散らかっているの、ごめんなさい」と彼女は言ったが、それほどではなかった。
とはいえ、事前にきれいにしていたのは、見てわかった。
彼女の手料理は、独身生活者ならではの味付け。
少し濃いめだ。
料理の種類もそれほどではない。
食事を終えると、ソファーへと移動した。
彼女がワインを出してきた。
となり同士だが、肩を抱けるほどの距離ではない。
多少の談笑とともに、彼女の身体が近づいてくるのを気付きながら、わからないふりをしていた。
やがて、腕が触れ合うくらいになった。
オレは、腕をそっと、彼女の肩に置いた。
彼女は拒絶せず、オレの肩に頭を乗せてきた。
おたがいにアルコールが入っているせいもあるが、いい雰囲気になっている。
彼女の髪からは、フローラルの香り。
彼女のホオも、ほんのりと色付いている。
オレの男が、彼女のフェロモンを感じて、股間をふくらませる。
だが、オレは自分を抑え込んでいた。
がっついても仕方がない。
彼女の出方を見よう。
その気があれば、彼女自身からアプローチが――
彼女が首に抱きついてきた。
唇が奪われる。
押し付けられるだけのキス。
あまり経験がないのだろうか?
離れようとしない。
そこでオレは彼女を抱きしめた。
彼女の後頭部の髪を鷲づかみにして、唇を離させる。
彼女が恥ずかしそうに、上目遣いにオレを見る。
オレは何も言わずに、自分から唇を重ねた。
初めは優しく、徐々に強くしていく。
彼女が求めてくるままに。
そのあいだに、彼女の服を脱がし、自分の服も脱いだ。
彼女を抱き上げ、ベッドへと連れていく。
愛撫を繰り返し、そうして、交わった。
彼女に入ったときに、彼女が小さく痛みを訴えた。
「まさか……初めてだったのか」
彼女は、苦痛に顔をゆがめながらも、なんとか微笑んでみせ、うなずいた。
「最初から言ってくれればよかったのに」
「重い、でしょ?」
彼女が言っているのは、“女の初めてを背負うことが重いのでは”ということなのだ。
オレは、それには答えずに、こうささやいた。
「初めての男に選んでくれて、ありがとう」と。
彼女の中で、静かに留まったままの時間を過ごした。
やがて、彼女が眠ってしまうまで。
ゆっくりとベッドを抜け出し、服を着て、書き置きを残し、部屋をあとにした。
自分の部屋に戻ったところで、ミチカの部屋へと跳んで、彼女に貪りついた。
自分の性欲を満たすために。
その後もカフェに行ったが、彼女は現れなかった。
別に期待してはいなかったが、“正直、残念だな”と思った。
もう少し、セックスのことを教えたかった、と。
ただ、穴を開けただけなんだから。
まぁ、今後は彼女が相手を選び、学んでいくのだろう。
やがては、結婚して、子どもを産み、育てていく。
それとも助教授から教授へとなり、大学に残る道を選択するのかもしれない。
それは、彼女自身が決めていくことだ。
オレがどうこう言う資格はない。
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