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落とされ人  作者: カーブミラー


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218/223

【218.ベッド】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 その週末。

 ふたりは、彼女のベッドの中にいた。

 シングルベッドだった。


 昼間に女助教授から食事に誘われて、仕事を終え、待ち合わせて、彼女の部屋へと一緒に行った。

「散らかっているの、ごめんなさい」と彼女は言ったが、それほどではなかった。

 とはいえ、事前にきれいにしていたのは、見てわかった。

 彼女の手料理は、独身生活者ならではの味付け。

 少し濃いめだ。

 料理の種類もそれほどではない。

 食事を終えると、ソファーへと移動した。

 彼女がワインを出してきた。

 となり同士だが、肩を抱けるほどの距離ではない。

 多少の談笑とともに、彼女の身体が近づいてくるのを気付きながら、わからないふりをしていた。

 やがて、腕が触れ合うくらいになった。

 オレは、腕をそっと、彼女の肩に置いた。

 彼女は拒絶せず、オレの肩に頭を乗せてきた。

 おたがいにアルコールが入っているせいもあるが、いい雰囲気になっている。

 彼女の髪からは、フローラルの香り。

 彼女のホオも、ほんのりと色付いている。

 オレの男が、彼女のフェロモンを感じて、股間をふくらませる。

 だが、オレは自分を抑え込んでいた。

 がっついても仕方がない。

 彼女の出方を見よう。

 その気があれば、彼女自身からアプローチが――

 彼女が首に抱きついてきた。

 唇が奪われる。

 押し付けられるだけのキス。

 あまり経験がないのだろうか?

 離れようとしない。

 そこでオレは彼女を抱きしめた。

 彼女の後頭部の髪を鷲づかみにして、唇を離させる。

 彼女が恥ずかしそうに、上目遣いにオレを見る。

 オレは何も言わずに、自分から唇を重ねた。

 初めは優しく、徐々に強くしていく。

 彼女が求めてくるままに。

 そのあいだに、彼女の服を脱がし、自分の服も脱いだ。

 彼女を抱き上げ、ベッドへと連れていく。

 愛撫を繰り返し、そうして、交わった。

 彼女に入ったときに、彼女が小さく痛みを訴えた。

「まさか……初めてだったのか」

 彼女は、苦痛に顔をゆがめながらも、なんとか微笑んでみせ、うなずいた。

「最初から言ってくれればよかったのに」

「重い、でしょ?」

 彼女が言っているのは、“女の初めてを背負うことが重いのでは”ということなのだ。

 オレは、それには答えずに、こうささやいた。

「初めての男に選んでくれて、ありがとう」と。


 彼女の中で、静かに留まったままの時間を過ごした。

 やがて、彼女が眠ってしまうまで。

 ゆっくりとベッドを抜け出し、服を着て、書き置きを残し、部屋をあとにした。

 自分の部屋に戻ったところで、ミチカの部屋へと跳んで、彼女に貪りついた。

 自分の性欲を満たすために。


 その後もカフェに行ったが、彼女は現れなかった。

 別に期待してはいなかったが、“正直、残念だな”と思った。

 もう少し、セックスのことを教えたかった、と。

 ただ、穴を開けただけなんだから。

 まぁ、今後は彼女が相手を選び、学んでいくのだろう。

 やがては、結婚して、子どもを産み、育てていく。

 それとも助教授から教授へとなり、大学に残る道を選択するのかもしれない。

 それは、彼女自身が決めていくことだ。

 オレがどうこう言う資格はない。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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