【211.日誌・2】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
「つまりは、そういうことだったわけだ」
日誌のおかげで、第1世代がどうして、南大陸にやってきたのかがわかった。
そして、調査船を隠したわけも。
「それで、どうするおつもりですか?」とアル。
「そうだねぇ……まぁ、このままにしておこう」
「なぜです?」
「ひとつには、どうやって発見したのか、という問題がある。君が発見したことを公表するわけにいかないし、その方法もまた同様だ」
「確かに」
「それから、あの場所が聖域である、ということもある。人々の記憶から、どうして聖域になったのか、忘れられているにしてもね」
「聖域を乱すな、と?」
「そうだ。いずれは、考古学者が見つけ出すだろうがね。それまでは、情報を出す必要もあるまい」
「わかりました」
それに今回のことは、オレが気になっていただけの話だ。
オレだけが納得すれば、それで解決する。
「ちなみに」とアルが、続けた。「ダウンロードしたデータの中にライブラリーがありました」
「ライブラリー?」
「はい。残骸の中に見つからなかった記憶装置が、あの調査船に集約されていました。そこに彼らが使った情報が蓄えられ、残されていたのです」
その内訳を見せてもらう。
「貴重な情報があるな」
「だと思います。どうします?」
「ふむ」
この情報がもたらされれば、〈スータン〉はさらに発展するだろう。
だが……
「君はどう思うね? これらの情報について」
「私の意見ですか?」
「参考までに」
「一部に危険な情報も含まれていますので、すべてを公開するのは……」
「だね。私も同意見だ。君が選別してくれるかね?」
「いいんですか?」
「そうした情報は、私が記憶していてはまずいだろう。それを利用しようとしてしまうことも考えられるからね」
「なるほど。わかりました。公表の方法は?」
「そうだねぇ」
オレから出すのが一番だが、すでに知識は吐き出し終わっている。
辺鄙なところから出てきてもおかしいし……。
「その点は、少し考えさせてくれ」
翌日の夜。
見つかったライブラリーを自分の記憶にしまいこむ作業を行なった。
「それで公表方法は?」とアルが訊いてくる。
「今の仕事が終わるまでは、このままだ。というのは言い訳で、考え付いていないんだよ」
アルは、「そうですか。仕方ありませんね。無理に公表する必要もありませんし」と言って、苦笑した。
苦笑したのは、オレもだ。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




