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落とされ人  作者: カーブミラー


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210/211

【210.日誌・1】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 ダウンロードした内容に、日誌が含まれていた。

 それに目を通す。

 日誌を書いたのは、オスカー・ウエスターフィールドという人物だ。

 彼が日誌を書きはじめたのは、監視員がこの惑星を去ってから、2年後。

 囚人たちは、地下から出て、地上に村を作り、そこで暮らすようになっていた。

 備蓄食料は、1年足らずで底をついた。

 そのことで彼らは慌てなかった。

 事前に、畑も準備し、そのほかの食料も見つけてあったのだ。

 それでも一部の囚人たちが助けを呼ぼうとして、残された宇宙往還船で飛び立った。

 宇宙往還船は、撃ち落されてしまった。

 すでに封鎖がはじまっていたのだ。

 残された囚人は、2000人強。

 準備したとはいえ、その人数を支えるだけの資機材や食料はない。

 早いうちに分散して、それぞれで開拓する必要が出てきた。

 検討した結果、開拓チームが調査船を使って、ひとつひとつの開拓地を作ることになった。

 こうして、最初の村を中心に開拓されていった。

 南大陸に移住したのは、北大陸での開拓を終えた開拓チームの人々32名だった。

 何もないところからの開拓を彼らは望んでいたのだ。

 調査船3機を使って、南大陸へと移住し、ベースキャンプを設営する。

 さっそく、問題が見つかった。

 北大陸にあった食べ物になる動植物が見当たらないのだ。

 どうやら北と南では、動植物は別々の発展をしてきたらしい。

 かといって、北大陸に戻ることはもうできない。

 燃料が足りないからだ。

 とにかく、彼らは、食べられる動植物を探しまわった。

 彼らには、解析装置があった。

 だから動植物に含まれる毒物も避けることができた。

 問題は、ほかにもある。

 〈スータン〉の病気だ。

 特に北大陸でも問題視されていた“腐肉食い”の菌は、南大陸にもいた。

 必要な薬は、すぐになくなる。

 解析装置で身近な動植物が解析にかけられ、ようやく“腐肉食い”に対処できる薬が得られるようになった。


 そうこうするうちに、ポッドが落とされはじめた。

 彼らは、近くに落下したポッドを探し出した。

 そのポッドに人が乗っていることを知る。

 乗っていたのは、中年女性だった。

 彼らは喜んだ。

 というのも、この〈スータン〉に送り込まれていたのは、男性だけだったのだ。

 その女性は最初、男たちに犯されるのではないか、と恐怖でオドオドしていた。

 男たちは、女性を大切に扱った。

 この日誌を書いているオスカー・ウエスターフィールドは、このキャンプの隊長という立場だったので、彼女から“どうしてポッドに乗っていたのか?”を聞き出し、〈スータン〉が監獄惑星になったことを知った。

 ポッドは、囚人を〈スータン〉に落とすための着陸船だということも。

 このことを北大陸の仲間に通信で知らせると、ポッドに乗せられた囚人の回収が決定された。

 ポッドの着地点はバラバラで、調査船の近くに落ちたのは、彼女を含めて、3人だとわかり、回収された。

 男性ひとりと女性ふたりだった。

 男性は、発見されたとき、ケガをしていた。

 捕食獣に襲われ、逃げていたのだ。

 回収班が現れたことで、その捕食獣は男性を諦め、去っていった。

 これで合わせて、35人になった。

 女性ふたりには、ひとつの家が与えられた。

 中からカギもかけられるようにして。


 宇宙往還船が撃ち落されたことがどういう意味なのか、彼らにはわかっていなかったが、回収された3人から、惑星封鎖がされているのだ、と知った。

 調査船が攻撃されるかもしれない、と彼らは考えた。

 調査船自体はもうほとんど飛び立てないが、各種装置はまだまだ使える。

 撃ち落されて、それらがなくなってしまったら、路頭に迷うことになる。

 彼らは岩山を掘り、そこに調査船を隠すことにした。


 その後も、落とされるポッドは続いた。

 だが、レーダーは、調査船を岩山に隠したことで、使えなくなっていた。

 あとは、目視で回収をするしかない。

 落とされる周期はバラバラで、日中のときもあれば、夜のときもある。

 なので、交代で見張りに立つことになった。

 監獄ステーションは、赤道上空を〈スータン〉と同期していた。

 下から見ると、上空に留まって見える。

 ほかの星々が動いても、そこに留まっているのだ。

 だから昼夜問わずに観測はできる。

 ポッドが落とされれば、大気圏突入で、流星のごとく光り輝き、昼間ならば煙が尾を引く。

 曇りや雨でも、雨雲から飛び出してくるポッドを視認できるのだ。

 近場に落下してくる際には、パラシュートが開かれるので、どこに落ちるのかも見てとれる。

 そうやって、〈落とされ人〉の回収がなされていった。

 また、女性の数も増え、結婚し、子どもが生まれ、育っていった。

 人々はそれぞれの村を作り、そこで住むようになった。


 やがて、オスカー・ウエスターフィールドは、老齢となり、日誌の続きを書けなくなった。

 また、それを受け継ぐ人間もいなかった。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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