【208.歴史】
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仕事を手伝ってくれるマリーンがいなくなった私は、テオの仕事を手伝うことになった。
テオは、いまだに王室図書館で〈ラクロア王国〉からの文献などの整理を行なっていた。
すでに電子化は済んでいる、という。
「先生は、確認作業をお願いします。やり方はお任せしますので」
私は戸惑いながらも、電子化された文献を見ていった。
途中で思いつき、自分の書庫へと記憶していくことにした。
その方が早いのだ。
その作業は、1週間もせずに終わった。
あとは、自分の中だけでの確認作業だ。
確認、とはいっても電子化の際の間違いなどは、些細でしかない。
それよりも内容を見ることにした。
〈ラクロア王国〉は、蒸気機械が発達している。
計算機だけではない。
機関車、自動車、飛行機、ミシン、製図台、それからパワードスーツもあった。
それらを支える技術もだ。
蒸気を作り出すボイラーは、蒸気の圧力や高温に耐えなければならない。
そうした耐久性を持つ金属加工技術もある。
また、使い終わった蒸気を集め、残った熱の利用もされていることがわかった。
エネルギーの無駄をなくそうとしているのだ。
使われる燃料は、石油だったり、薪だったり、木炭だったりだ。
ただし、石油は自然に湧き出しているものだった。
掘り出したのではない。
それを精製するには、やはり技術が必要だったはずだ。
残念ながら、それは文献の中にはなかった。
〈ラクロア王国〉の図書館からも電子化された文献が送られてきていたので、そちらをチェックする。
それらしい文献はない。
〈スベルト王国〉では、石油の利用はあまりされていない。
湧き出ている場所は限定されているし、量も限られているからだ。
では何を使っているのかといえば、電力だ。
水力・風力が主な発電方法。
それから水素だ。
以前は、燃やしてエンジンを動かすしかなかったが、オレの知識で燃料電池が開発され、水素から電気を作り、モーターが動かせるようになった。
もちろん、それには、必要な鉱石を掘り出さねばならなかったが。
そんな蒸気機関を中心とした〈ラクロア王国〉なので、燃料となる樹木が伐採され続けていた歴史もある。
今でも伐採はされているが、彼らは途中で気付いたのだろう、植樹するようになったのだ。
樹木がなくなれば、燃料がなくなるだけじゃない。
その樹木に支えられてきた地面が、大雨で削られ、土砂災害を引き起こすのだ。
実際にいくつもの町や村が被害にあっていた。
今では、人工の森林が彼らのまわりにある。
いいことだ。
とある文献に当たった。
〈ラクロア王国〉の歴史を書いたものだ。
現国王のセバスチャン・ラクロアの祖父が〈ラクロア王国〉を築いた。
それまでは別の国があり、そこを武力で制圧し、支配したのだ。
その国では、すでにいくつかの技術が使われるようになっていた。
〈ラクロア〉は、それを受け継いだわけだ。
その国の歴史も書かれている。
歴史を辿ると、その土地を開拓したのは、北大陸からやってきた人々だ、と記されていた。
彼らは、すでに機械を使っていた。
少なくてもそうとれる記述だ。
数日のうちに土地を開墾し、住み続けられるようにしている。
労働させる家畜がいた、とも思えない。
食料についても、あまり苦労したようすがない。
これはもしかして、資源開発惑星だったときに、置き去りにされた人々ではなかろうか。
アルの話では、大気圏内調査船が6機、残されていた。
今では、北大陸にはどこにも残っていない。
南大陸も調査したが、それらしい反応はない。
その文献には、彼らが住んだ土地を示す記述はなかった。
そこでほかの文献をチェック。
過去の地図もチェック。
〈ラクロア〉の北部に聖地とされる土地があった。
アルと念話して、その聖地をドローンで集中調査してもらうことにした。
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