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落とされ人  作者: カーブミラー


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199/223

【199.退院】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


昨日は私用で更新ができませんでした。

申し訳ありませんでしたm(_ _)m

二話連続更新します。

 立ちくらみ。

 それが医療ドックを出た最初の現象だった。

 数秒間、ドックの縁につかまっていた。

 だが、それほど酷い症状ではない。

「大丈夫ですか?」とアルが心配してくれる。

「大丈夫だ。ずっと横になったままだったからね」

 それでも心臓がバクバクしている。


 ようやく3週間が過ぎ、医療ドックから出ることが許された。

 ドックを覆うフードが開く。

 微風が入ってきて、肌をなでていくと、一瞬、寒く感じた。

 だが、すぐに室温が暖かいのを感じることができた。

 医療ドック内は、新陳代謝を高めるために、少し暖められていたのだ。

 そのために室内の空気に触れて寒く感じたのだろう。

 ドックの上から滑り降りたときには、脚の筋肉はしっかりしていた。

 ところが、立ちくらみを起こした。

 急に血液が下半身へと流れ、血圧が低下したため、脳に行く酸素が一時的に不足したのだ。

 そこで心臓ががんばって、血液を送り、脳に酸素を供給した。

 そういうわけだ。


 立ちくらみが治まると、オレは室内を歩きまわった。

 いくらドックが筋肉を刺激していたからといっても、曲げ伸ばしができるようにはできていない。

 ちゃんと動かして、ふつうの状態に戻さねば。

 だが、すぐに疲れてしまう。

 イスに座ると、アルが丸いドリンクポットを渡してくれた。「栄養ドリンクです」

「ありがとう」

 それを飲むと、多少は元気になれた。

「あまり無理をしない方がいいですよ」

「そうだね」

 その日は、用意されたベッドで眠った。

 動きまわったせいで疲れ、夢も見なかった。


 二日を調査船内で過ごし、翌日には王室文化院の事務室に顔を出す。

 そこにいた面々が、笑顔で迎えてくれた。

 それから評議会会議室にも挨拶しに行った。

「モーガン卿、もういいのですか?」と議長。

「ええ。昨日、退院してきました。寝てばかりいたので、身体がなまっていますが」

「あまり無理はなさらない方が、いいですよ」と評議員のひとり。

 オレは笑って応えた。

 陛下も「おまえが戻ってきたことは、喜ばしい」と笑みを向けてくれた。


 違和感は、体力回復のためにはじめたジョギングで現れた。

 身体が軽いのだ。

 そのこと自体は喜ぶべきことなのだが。

 靴も服装も以前のままなのだから、原因は身体にある。

 そこでスタッフに頼んで、体力測定を受けてみた。

「モーガン卿」とスタッフが首を振る。「何をしたんですか?」

「何もしてないよ。病気で入院してただけだ」

「別人があなたに変装している、と聞いても私は驚きませんよ」

「というと結果は?」

「30代前半の体力だと」

「30代前半? そんなに若く?」

「計測ミスはありませんよ、モーガン卿」

 そのことをアルに話してみた。

「なんの不思議もありません」と彼は平然と答えた。

「なぜだね?」

「あなたの身体の内部を、ナノマシンが修復したからですよ。心臓も肺も新しくなっていますから、運動能力が上がっているのは当然です」

「つまり、若返ったようなものかね?」

 彼は少し考えてから答えた。

「そうとも言えますね。臓器も修復されていますから、体内にたまった老廃物も体外に排出されやすくなります。より健康になるでしょう」

「そういうことか」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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