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落とされ人  作者: カーブミラー


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188/248

【188.密漁被害】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

「被害は減っていないそうだ」

 陛下は、オレを呼び出して、そう言った。

 陛下の部屋の庭園での昼食に呼ばれたのだが。

「被害?」

「アーガイル・フォックスのことだ」

「ああ」

 テーブルには、三つの席。

 陛下とオレと、アーガイル・フォックスのサリー。

「昨夜もやられた、と言ってきた」

「陛下の御触れも効力なしですか」

「うむ」

 食卓には、料理が並べられていく。

 サリーの前には、すでに山盛りの皿が置かれているが、彼女は行儀よくして待っている。

 もしかしたら気落ちしているのかもしれない、陛下と同じように。

「陛下、そんなに落ち込まないでください。次の手を考えてありますので」

 陛下が顔を上げた。

「次の手?」

「はい」と笑みを見せた。「アルに手伝ってもらいますが」

「どんな手だ? こちらからの手が必要ならば――」

 それ以上を手で制した。

「必要ありません。アル配下の作業員で充分でしょう。まぁ、多少時間がかかるかもしれませんが」

「どのくらいの時間が?」

「まぁ、3日もあれば、と思っています。まずは、アルに相談しなければなりませんが」

 実際には、ゾフィーに相談することになるのだが、陛下にはまだゾフィーのことを話していない。

 陛下は、オレから次の手を聞くと、元気になり、昼食を食べはじめた。

 サリーもだ。

 オレもゆっくりと昼食にありついた。


 昼食後、室長に早退を願い出た。

 仕事は順調だし、急ぎでもない。

 室長は理由も聞かずに、許可してくれた。

 自分の部屋に戻り、寝室から調査船に跳んだ。

「いらっしゃい、パオロ」

 壁のスクリーンにゾフィーが現れた。

 彼女にはすでに、訪ねることを教えてあった。

 軽い挨拶をして、コントロールルームへと入る。

 ゾフィーがホロ映像となって立っていた。

 シートのひとつに座る。

 彼女もホロの中でイスに座った。

「それで?」

「アーガイル・フォックスの被害が減っていないそうだ。そこで君の力を借りて、対応したい」

「聞かせて。それ次第よ」

 次の手を話すと、彼女は必要な手を打ってくれた。


 ナノマシンがドローンによって散布される。

 散布場所は、〈アーガイル〉周辺地域だ。

 その近くの村々には、オレが装置を配り歩く。

 土壌にまかれたナノマシンは、その上を何かが移動すると、装置に信号を送る。

 装置は送られてきた信号を解析して、人間であれば、画面にその位置を表示する。

 これにより、密漁されるより前に、侵入者を発見できるようになるわけだ。

 動物などには反応しない。

 反応していたら警告にはならないだろう。


 数日後。

 連絡が入った。

 侵入者が現れ、捕らえられた、と。

 吹き矢やナイフなどの密漁道具を持っていて、すぐに密猟者だとわかった。

 密猟者は有無を言わさずに、証拠とともに軍に引き渡された。

 密猟は保護動物に対する虐待となり、重罪犯として、刑務所直行だ。

 これも陛下が出した御触れに書かれていた。

 それをわかってて密漁しようとしたのだから、身から出た錆だ。


 その後も密猟者は発見され、逮捕された。

 また、逮捕した密猟者から、どこの出身なのかを白状させることができた。

 そのおかげで、その地域をドローンやナノマシンで重点的に調査して、密漁されてきたアーガイル・フォックスの毛皮を発見できた。

 そこに軍の兵士が乗り込み、すべての毛皮を没収し、密漁実行犯が特定され、連行された。

 侵入者はほぼいなくなり、密漁被害もなくなった。

「これで安心していられる。ありがとう、パオロ」

 陛下は満面の笑みだ。

「その笑顔だけで充分です、陛下」

 サリーもオレの手に前足をのせて、(ありがとう)とうれしそうに念を送ってきた。

(礼にはおよばない。友人を助けただけだ)

 彼女は感謝の念を送ってきた。

 それだけで充分だ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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