【185.練習の成果?】
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翌日、目が覚めると、頭痛が酷かった。
脳の筋肉痛か。
酷い二日酔いのようだ。
ベッドから起きようと動いた途端、激しい痛みが頭を襲った。
うめきながら、マクラに頭を戻した。
どうしたものか。
仕方あるまい。
(テオ)
テレパシーは、頭痛には関係がないようだ。
(はい、先生)
オレは頭痛に苛まれながらも怪訝に思った。
テオには、オレがテレパシーを使えることはひと言も言っていない。
それなのに彼は驚きもせずにふつうに念を返してきた。
(驚かないのかね?)
(先生なら何をしても驚きませんよ。それでどうしました?)
(ああ、頭痛が酷くてね)
(今、行きます)
彼がドアから入ってきた。
オレの顔を覗き込む。
「うわっ、酷い顔をしてますね」
「そんなに?」と声を出すと同時に、痛みに襲われ、顔をしかめた。
声が響いて、痛みが走るのだ。
(声を出さない方がいいみたいだ)
「いったい、何をしたんですか?」と疑いの目を向けるテオ。
(ちょっと脳みそを使いすぎたようだ)
「何をして?」
(秘密)と笑いの念を送る。
彼は肩をすくめた。
「頭痛薬を用意してきます」
(頼むよ)
テオはドアのところで振り返った。
「今日の仕事は、風邪でお休み、ということでいいですね」
(そうだね)
「室長にそう言っておきます」
そう言って、彼は薬を取りに出ていった。
薬を飲んで、流動食を飲み込んだあと、オレは眠った。
目覚めたときは、お昼になっていた。
頭痛は少し残っていたが、起きられないほどではない。
食欲もある。
そこでテディーに昼食の用意をさせ、それを食べた。
それから庭園に出て、ひんやりした空気を吸い込んだ。
レフティーたちが、こちらを見ている。
(やぁ)
(どうしたの? 朝から出掛けると思っていたけど)とレフティー。
(ちょっとね)
(そう? そうそう、明日の朝に帰ることにしたわ)
(そうか。ゆっくりできたかね?)
(ええ。子どもたちも充分に大きくなったし)
ヒナの姿を眺め見た。
羽毛はすでに生え変わり終えて、大人と同じ毛色になっている。
だが、まだまだ身体は細い。
羽ばたく筋肉が育っていないのだ。
帰省の旅のあいだに立派になるだろう。
(小魚は、充分にいるかね?)
(ええ)
(よかった。何か必要なものは?)
(ないわ)
(そうか。君たちがいなくなるとさびしくなるな)
(また来るわよ)
(そうだな)
寝室に戻り、物送りの練習を少しすると、ふたたびベッドに潜り込んで眠った。
テオが戻ってきたときには、起きて夕食の準備をしていた。
「もう大丈夫なんですか?」
「ああ。おかげさまでね」
「本当に何をしてらしたんですか?」
「頭の体操。ちょっとやりすぎてしまったよ」
「頭の使いすぎで? あんなに?」
「そういうことだね。さぁ、手伝っておくれ。少し手のこんだものを作っているから」
「はいはい」
残しておいた下処理を彼に任せる。
「ところで先生」
「ん?」
「テレパシーは、いつから? 落とされる前からですか?」
「落とされてしばらくしてからだよ。〈マニ教〉の師父から教わったんだ」
「〈マニ教〉? スエツグの国の? あそこはそんなこともやっているんですか」
「うん。以心伝心の術だそうだ」
「へぇ。便利ですか?」
「ああ。君に言ってなかったのは、すまないと思ってる」
「いいんですよ。別に責めるつもりもありませんから。私も教わりたいですね」
「やってみるかね?」
「ぜひ」
調理をしながら、テオに教える。
彼の念が伝わってくる。
(これで先生とは、いつでも話せますね)
それに対して、オレは言葉で返した。
「フェイスがつながらなくても、な」
笑いながら調理を進める。
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