【180.〈アーガイル〉・2】
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「密漁?」
「はい」
オレは、いろいろと考えた挙句、陛下に報告した。
評議会会議室の奥の部屋で、ふたりきりだ。
「どんな動物なのだ?」
「アーガイル・フォックスです、陛下」
「アーガイル・フォックス? ああ、襟巻きのことか。あれなら献上されたので、ひとつ持っているが」
「それです。どうやら密猟者によって狩られ、売られたもののようです」
陛下が鼻を鳴らした。
憤慨しているようだ。
「そのようなものを献上してきたのか」
「おそらく」
「まぁ、確かにあの手触りならば、欲しがるのはわからなくもない。まるでスベルト・シルクのようだからな」
「その点は、否定できませんが……どうやらその動物は知性を持っているようなのです」
「知性? 我々のような?」
「はい。我々のように機械やコンピューターを使うわけではありません。ですが、食糧の自給もやっておりますし、独自のネットワークも構築しております」
「ネットワーク? コンピューターもないのに?」
「テレパシーのネットワークです」
「なんと! テレパシーを使うのか!」
「はい。ですが、人間とは触れ合わねば通じ合えません」
「限定されていると?」
「はい。〈アーガイル〉の人々は、彼らと触れ合うことで共存しています。そのため、彼らを守っているのです」
「なるほど。そのことを密猟者は知らないわけか」
「はい。彼らと接触するのは、殺してからになりますから」
「だろうな。それでどうすべきだと?」
「〈アーガイル〉そのものを王室所有の保護区に、指定できませんでしょうか?」
「保護区? アーガイル・フォックスの?」
「はい。あそこに住む人間たちには、アーガイル・フォックスの管理をさせる、ということでよろしいかと」
「〈スベルト〉に併合させてもらえるのか? それに保護区に指定しても密猟者は減らないだろう?」
「併合はできるかと。密猟者の方は、陛下のおっしゃるとおりだと思われます。国境に柵を張りめぐらせても密猟者は入ってくるでしょう。兵員を配置したとしても」陛下がうなずく。「それに財政が逼迫しているあいだはそうした柵も作れないでしょう。兵員の配置もしかり。今すぐに打てる手といったら――」
陛下が首を傾げた。
「まさか、ないのか?」
「まずは、〈アーガイル〉を併合いたしましょう。その上で、王室所有の保護区に指定します。〈アーガイル〉の国民を保護監督官に任命。そこまでならば、それほどの費用捻出ではないでしょう」
「うむ。それで?」
「〈アーガイル〉と国境を接する周辺国に対して、アーガイル・フォックスの毛皮の持ち出し禁止を布告。持ち出した者は厳罰に処すことにすれば、多少は」オレは肩をすくめた。
「持ち出さずとも、あの毛皮は需要があるはずだ」
「そのとおりでございます。ですが、多少の抑制にはなるでしょう。持っていたら即厳罰、としたいところですが。それをやったら家宅捜索することになり、あちこちで不満が噴出することにもなりかねません。毛皮の買い取りも考えたのですが、それこそ需要があると思われて、密漁が増えかねませんし」
「それで持ち出し禁止に落ち着いたわけか。なるほど」
陛下が考え込む。
オレの提案がほかへと波及しないだろうか、と考えているのだ。
ほどなく陛下はうなずいた。
「いいだろう。それで手順は?」
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