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落とされ人  作者: カーブミラー


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126/128

【126.相談と原因】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 数日後、船の中でアルと相談していた。

 SXEの基地をどこに設営するか、決定するためにだ。

 到着ポイント近辺は、人目に付きやすいし、近場の人々に影響を与えかねない。

 上からの観測で見つかってしまうため、地表には設営できない。

 ほかにもさまざまな要因で、候補地から外されていく。

 最終的に残ったのは、海か砂漠、それと死火山。

「海に落下させたら、大波が発生するのではないか?」

「はい。宇宙空間で分離はさせますが、おそらく津波となって、惑星上を破壊するでしょう。海に設営するにしても一度、陸上に落とさなければなりませんね」

「そうなると落とすのは砂漠、設置場所は別の場所になるね」

「わかりました。落下ポイントは、砂漠の中央とします。シミュレーションも確認しておきましょう」

「その方がいいな。どんな影響が発生するか、事前に知っておければ、対処もできるだろう。運搬や設営で上に探知はされない?」

「それぞれの資材の運搬は、上空からは探知されません。設営にあたっても大丈夫です。それでも見つかる可能性はあります。ですから砂嵐を待って、運搬を開始すべきでしょう」

「砂嵐?」

「人為的に起こすことも可能ですが、あまりやりすぎるとリスクが高くなります。自然発生した砂嵐を大きくする程度の方がいいでしょう」

「なるほど。ではそれで行こう。問題は、どこに設営するかだね。SXEとしては、どこがいいと?」

「ここが」とアルは、地図上を指差した。

「死火山か。どうしてここを?」

「ここならば、地下に巨大な空間もありますし、資源の採取も比較的容易です。この船の出入りにも問題がありません。また、まわりの土地は不毛ですから、人間が入ってくることはないでしょう」

「なるほど。それで基地設営終了後のSXEからの物資の供給については?」

「それは、この船と同じように隕石として、落下させます。大気圏途中で燃え尽きたかのように見せかけ、探知されない状態で空中を移動してきます」

「よさそうだ。あとは、実行あるのみだね」

「はい……ああ、それから」

「ん? なんだね?」

「監視員たちが逃げ出した件ですが、原因がつかめました」

 おや。

「それで?」

「とても珍しい鉱物によるものでした」

「鉱物? それならば、今でも地上で恐ろしいものを見ている人がいるのでは?」

「いいえ。それはありません。なぜならその鉱石自身が恐怖を発していたわけではないのです」

「どういうことかな?」

「こちらを見てください」

 彼とはテーブルをはさんで座っていた。

 そのテーブル上には、地図が表示されていたが、それが消え、ひとつのイラストが現れた。

「これは?」

「当時の監視員たちと囚人たちとの位置関係です」

「ふむ、それで?」

「じつは、ドローンから得られた資源調査データから、このあたりには問題の鉱石が存在していることがわかったのです。その鉱床がここにあります」

 イラストの地下部分に鉱床のエリアが表示された。

 そこは、ちょうど監視員たちと囚人たちとの中間地点だった。

「つまり、こう言いたいのかね? 囚人たちの恐怖がこの鉱床を通じて、監視員に伝わった、と」

「はい。ただし、伝わったのは、恐怖ではなく、恨みや嫌悪感などのマイナスの思考波だったと思われます。そして、その思念波が鉱石によって、増幅され、監視員たちに影響を与え、恐怖心を生み出した」

「なんと。そんな鉱石がそこにあったと?」

「はい。これは人類が知らない鉱石です。SXEだけが知っていたもので、知識だけがありました。まさか、この惑星にあるとは思いませんでした」

「どういうことだね? 知識だけがあったとは。その知識をどうやって知ったのかね?」

「それはわかりません。何ぶん、古い情報ですので。人類文明とは違う文明の知識だと思ってください。SXEはたまたま彼らと接触したのです」

「それを人類には知らせなかった。なぜだね?」

「彼らはすでにこの世にはいません。過去の文明なのです」

「だからといって――」

「人類に知らせるには、途方もない知識だったのです。それは創造と破壊が紙一重のものだ、とSXEでは判断したのです。SXEは人類を滅ぼすわけにはいきませんから」

「そういうことか。ああ、君たちSXEの秘密の通信方法もそこから得たんだね」

「はい」

「なるほど。その話は置いておくとしよう。私が知るべき情報ではないからな」

「ありがとうございます」

「さて、その鉱石がここにあった。囚人たちはそれと知らずにマイナスの思念波を発していた。それが鉱石によって、増幅され、監視員たちを襲った」

「はい」

「そんな鉱石があったとは。どんなものだね?」

 テーブル上に画像が示された。

 洞窟だった。

 あたり一面、先端の尖った六角柱が所狭しと並んでいる。

「水晶?」

 ふつうの水晶なら氷のように白く透明だ。

 これは、金属的な青色をしている。

「その一種です。実際の鉱床をドローンで撮影しました。内部の不純物によって、色がついています。思念波がこの水晶を通ると増幅されて出ていきます」

「〈マニ教〉の力を知らねば、とても信じられんよ」

「そうでしょう」

「この水晶は、利用できるのかね?」

「どういう意味でしょうか?」

「思念波を増幅するのを知っていたその文明人たちは当然、利用したのではあるまいか。その利用技術も含めて、知識が蓄えられていたはずだ」

 アルは、オレをにらんだ。

 だが、すぐに表情を和らげた。

「失礼。SXEに問い合わせていました。パオロに教えてもいいものか、と」

「ああ、そういうことだったか。それで?」

「はい。この鉱石は、利用方法を誤ると危険である、ということをわかっていただかねばなりません」

「監視者たちが逃げ出したことを考えると、確かに危険はあるね」

「我々SXEとしては、そうした技術の提供は、とても難しい問題なのです」

「うん、わかるよ。素直に諦めるとしよう」

「申し訳ありません、パオロ」

「いいさ」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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