【115.渡り竜たちの庭園】
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我々は、庭園の通路を閉鎖して、人が入ってこられないようにした。
もともとそこを通る人は少なかったが、それでも閉鎖した方がいいと決めたのだ。
同時にオレも自室での仕事に切り替えた。
テオにも友人の部屋で寝泊りを頼んで、渡り竜との接触を避けてもらった。
渡り竜のメスたちが、巣に座り込むようになったからだ。
もうすぐ卵を産む。
彼女たちの過敏になった神経が、人の気配を嫌がるはずだ。
本来なら、オレも姿を見せない方がいいのだが、陛下の客人を放っておくわけにもいくまい。
だから日中は、玄関ドアを開けたままにしてある。
小魚やほかのエサ、オレの食料は、自室につながる搬送チューブを使った。
渡り竜たちには、余計な気を遣わせたくなかったからだ。
巣は、五つ。
それぞれにふたつの卵が産み落とされた。
オスたちは、メスたちに小魚や昆虫を与えて、卵を温めてもらっている。
産み落とされて、ひと月後。
ヒナが卵を割って、出てきた。
五つの巣から次々と。
すぐにピーチクパーチクと声を上げるヒナたち。
オスがメスに昆虫を与えると、それをメスがヒナに与える。
その作業が何度も繰りかえされる。
昆虫は、多めに注文しておいた。
ひとしきり、ヒナにエサを与え終わると、メスとオスが交代した。
メスたちは、よろよろと巣から出て、池に入った。
水を飲み、小魚を捕まえ、食べる。
それから池を出て、ひなたで日光を浴びながら、ウトウトと昼寝についた。
気が張っていたのだろう、それで疲れていたのだ。
その後は、前回同様に、ヒナたちの世話が続く。
ヒナたちは、食べて眠って、また食べてを繰り返す。
ヒナの性別をチェックして驚いた。
どの巣もオスとメスなのだ。
何か理由があるのだろうか?
(それがどうかしたの?)レフティーは、あっさりと答えた。(ふつうのことよ?)
(ほかの番でも?)
(ええ。卵ひとつの場合ならどちらかだけど)
環境中にその必要があったのだろう。
それが遺伝子に組み込まれ、両方の性が同時に生まれるようになった。
それも記録しておく。
北方の隣国〈アーズ〉の研究者に送るために。
その〈アーズ〉も〈スベルト王国〉と提携した、モーガン・チーズのおかげで。
いずれ、手軽に連絡も取れるようになるだろう。
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