表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落とされ人  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/132

【114.もうひとつの商品】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 モーガン・チーズの売り上げが爆発的だったのを、オレ自身はほとんど気にしていなかった。

 なぜなら、モーガン・チーズのことは、もう人に任せて、文化院の仕事と渡り竜たちの世話に戻っていたからだ。

 池のほとりで、渡り竜たちは毎日、小魚をついばんでいた。

 その小魚は、釣具屋の知人の漁師が獲ってきたもので、大量の水を入れた容器に収まって納入されている。

 水の中には、小魚だけではなく、水草と微生物が漂っているのがわかる。

 釣具屋に尋ねると、漁師が小魚を獲った方法を教えてくれた。

 そのやり方は、浅瀬に容器を置き、その中に水草とエサを入れて、一晩放っておく。

 翌日に容器にフタをして、水から引き上げた、ただそれだけなのだそうだ。

 それなら小魚の鮮度を保ったまま、運ばれる。

 小魚はたいした損耗もなく、渡り竜たちに提供できるわけだ。

 釣具屋が別に用意したエサの方は、メスたちがこぞって食べた。

 日中、オスたちは、城をあとに出掛けていき、多くの枝葉を持ってくる。

 メスたちは、その枝葉で、巣を造る。

 卵を産み、ヒナを育てる場所だ。

 騒がしい毎日が訪れそうだ。


 自室のピラミッドボードを別の食料に使ってみていた。

 ピラミッドボードには、食品を腐らせない作用がある。

 そこで食品をその上にのせておいたのだ。

 だが、水分の多い果実は、どんどんとその水分が抜けていく。

 しなびた果実を恐る恐る手に取り、食してみた。

 テオとスエツグも一緒だ。

「これって、ドライフルーツですよね」とテオ。

「そうだね」

「なんです? ドライフルーツって」と言いながら、スエツグはその食感を不思議そうに楽しんでいる。

「その名のとおりさ」とテオが説明する。「果実を乾燥させて、作ったものだよ」

「ああ、保存食の一種ですね」

「そうだね。でもそれ自体でもひとつの食材だよ」

「確かに」

 ほかにも試していたものがある。

 肉だ。

「肉は、干し肉ですね。ああ、そう言えば、“腐肉食い”にやられませんね」

「そうだな。特別なことはしてないから、ピラミッドボードの効果なんだろうな」

「すごいですね。“腐肉食い”を寄せつけないなんて」

「ああ。“腐肉食い”を防ぐためには、燻製(くんせい)にするか塩で覆うしかないかと思っていたんだが。これなら手間がほとんどいらないから、普及させてもいいかもしれんな」

「ピラミッドボードを売り出すんですか?」

「調理道具としてね。だがまぁ、売り出す前にあちこちに配って、いろいろと試してもらおうか」


 ミタニ師父のもとにも送って、試してもらった。

 彼の指示で、食材の多くが試された。

 南大陸の食材がどんな風になるのか、興味があり、その結果が待ち遠しい。

 動物の肉は、そのほとんどが干し肉になった。

 果実もドライフルーツに。

 そして、やはり、チーズは喜ばれた。

 ミタニ師父もその食感や味覚を楽しんでいた。


 さまざまな食材が試され、それぞれの知識が集められ、一冊の本にまとめられる。

 それとコンパスを付録として、ピラミッドボードを売り出した。

 その名も“モーガン・ピラミッド”。

 最初、売れ行きは、たいしたことはなかった。

 だが、それがモーガン・チーズを作り出したと知られるや否や、売り上げが急上昇した。

 モーガン・チーズの売り上げが落ちるかと懸念されていたが、心配したほどではなかった。

 モーガン・ピラミッドをモーガン・チーズの自家製造に使った人は、ほんの一部に過ぎなかったのだ。

 それはやはり、製造日数が関わっていた。

 乳をチーズ化するには、それなりの期間が必要だったからだ。

 たとえ、置きっぱなしでいいとはいえ、それを待つのはじれったいのだろう。

 中には、東西南北を合わせない人たちもいた。

 当然、ピラミッドのエネルギーは放射されずに、食材はただ腐っていくだけだった。

 ちゃんと注意書きを記したというのに。

 彼らは、販売元に文句を言ってきたが、追い返された。

 じつは、ピラミッドボードの記事が載せられていた文献には、ピラミッドボードの底部に磁石を取り付けたものもあった。

 それならば、東西南北にあわせる必要もなく、エネルギーは放射される。

 オレはそうしようとは思わなかった。

 磁石をつけるということは、電子機器に近づけた際に、影響を与えることになる。

 フェイスもなんらかの影響を受ける。

 そうした科学技術がもたらしたテクノロジーは、磁場に弱いことが多い。

 だから磁石をつけずに販売したのだ。

 こちらを立てれば、あちらが立たず、ってわけだ。


 ちなみに、オレのふところは、思った以上にふくらんでいた。

 一部は、物にして、協力してくれた人々に贈った。

 残りは、まだ考えていない。

 いずれは、何かを誰かに提供することにするだろう。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ