【103.この時期に】
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(モーガンさん?)
その念の声には、聞き覚えがあった。
寝室で、横になろうとしていたときだった。
(オズニコフ大師父?)
オレの書庫に興味を示していたあの大師父だ。
(はい。念のためにお伝えしておいた方がいいかと思いまして)
(なんでしょう?)
(囚人が落とされました)
新たな〈落とされ人〉か。
(人数は?)
(確認しているだけで27名。今のところ、それ以上ではないようです)
27名か、少ないな。
(落とされた場所は?)
(バラバラです。いつものように)
(偏りはなし?)
(そうですねぇ……厳寒期の土地に多くが向かっています)
(厳寒期? そんな場所に到着したらポッドから出たら生きていられない)別にオレ自身が人の生き死にに感傷的になることはないが、王国の利益は無視できない。(そちらで物送りできませんか?)
(可能です。ですが、どちらへ?)
どうしようか?
(もう到着しているのですか?)
(いいえ。落とされてから1時間経過して、あと2時間前後で到着予定かと)
(なるほど。ポイントを選定してみます。そちらも物送りの準備を整えてください)
(わかりました)
27名か。
一ヵ所に集めるわけにもいくまい。
わかっているすべてのポイントは、テムジン大師父から地図にして受け取っている。
その地図には、各国の守備範囲が色分けされていた。
その中で広さでは、〈スベルト王国〉、次が〈ラクロア王国〉で、群を抜いている。
自分としては、〈スベルト王国〉に集めたいところだ。
人数も少ないし、それでもいいのかもしれない。
問題は、回収作業をどうするかだ。
一ヵ所に集めるとしても、バルーンの監視ではもともとのポイントに到着するとわかっている。
もしかしたら、まだ落下を捉えていないかもしれない。
落下途中を物送りしたらどうだろうか?
ダメだ。
ポッドの行方をステーションでも追跡している可能性がある。
到着するまでは、手が出せない。
待てよ……ポッドは追跡していても中の人間を追跡しているわけではない。
ならば、中の人間を物送りしたら?
(オズニコフ大師父)
(はい、モーガンさん)
(落下中のポッド内の人間を物送りできますか?)
(……可能です)
(ならば、全員をこのポイントに集めてください)
地図のとあるポイントを示す。
(わかりました。あとは、そちらで?)
(やってみます)
(では、集め終わりましたら、お知らせいたします)
(お願いします)
示したポイントは、温暖な気候の島で、〈スベルト王国〉の守備範囲だ。
水も果物もある。
数日くらいなら大丈夫なはずだ。
まぁ、支給された物資は、ポッド内に残したままになるだろうから、生活に不便かもしれないが。
さて、どうやって回収するか。
どうにかして、回収部隊を向かわせねばならない。
その方法を考えねば。
落とされてから3日が経過。
中古の小型通信機を手に入れ、それを彼らのいるポイントに物送りしておいた。
当然、彼らがそれを見つけ、発信する。
通信機の周波数は軍のものにしておいたから、軍が調べることになり、彼らの存在がわかり、回収が行なわれた。
27名全員が。
だが、どうしても疑問は残ってしまう。
どうして、全員分のポッドがひとつもないのか?
どうして、彼らが目覚めた際にポッドにいなかったのか?
どうして、支給された装備がないのか?
そして、どうして、小型通信機がそのポイントにあったのか、だ。
それらの疑問は、おそらく永遠に解き明かされないだろう。
しかもオレがそういう風に手配したなどということも、わからないままに。
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