届かない声
貴方との
涼との思い出でしか幸せを感じることができなくて
だからそれを永遠にしたくて
もう二度と戻っては来ない
あの日々の記憶に縋り続けるしかなかった
あの頃の純粋な自分に戻ることはできないし
同じような夕焼けを見ているはずなのに
それは自分が孤独だと思わされているような気がした
だからと言って、
泣こうとも喚こうとも
この状況は変わらないことなんて
もうとっくに知っていたから
それが無駄だと知っていたから
することもなかった
痛いほど思い知らされた
どれだけ真剣に訴えても
聞く耳さえ持たれないことを
「本当は死にたいわけじゃないよ…」
自分から発せられた
誰にも届かないその声は
酷く震えていた
誰に言い訳するでもない
自分だって本当は死にたくなんてなかった
けれど、それでしか幸せになる方法が
楽になれる方法が見当たらなかった
周りの人が送る当たり前の人生
安心できて、頼れる家族、友達、恋人がいる
それは自分にとっては贅沢だと
ずっと思うことしかできなかった
自分にはその資格がないのだと
自分は疫病神だから
そう思うことでしか
自分が周りの人の当たり前を手に入れられなかったことを納得することができなかった
「涼、いま幸せ…?」
9年前に負った傷は癒えることなく
ずっと心を蝕んでいた
Twitterを開けば
同じ高校に通うであろう彼女との写真がたくさん載っけられていた
彼女との写真の中にいる涼は
昔のようなあの優しい目で
やっぱり自分がそれを壊したのだと
より思い知らされるだけだった
「独りに…しないで…」
その声もまた誰にも届かないまま
宙に消えた
いつになれば届くのだろう
ずっと言っても届かないなら
いっそ言うことをやめてしまおうか
この世からさっさと消えて
暗闇で眠り続ける方が
やっぱり幸せなんじゃないか
諦めたくはなかったけれど
もう諦める寸前だった




