証明したい
涙が伝い、枕へ落ちた
幸せってなんだろう…
8歳の自分が描いていた幸せってなんだろう…
当時の自分が書き残したものが
隣の家の2階の倉庫として使われている部屋に残っているはず
隣の家の鍵を開け
ギシギシと一段進む度に嫌な音がする階段を上がる
左へ曲がると
そこには自分が小さい頃使っていたおもちゃ、小学校の教科書
色々なものがそこにはあった
自分の過去に足を踏み入れた
未来に進むために
幸せを探すために
もうないと思っていた
現実だったかもわからなかった記憶たちが
そこにあった一つ一つの物たちによって
現実だと証明されていった
涼と仲がよかったことさえ
自分が造り出した幻想だったかもしれない
そう思ってしまっていた
けれど、その当時使っていたスケッチブックには紛れもなく、自分の字や絵だけじゃなく
涼のものも残されていた
"りょうくんと今日もがくどうまで
おいかけっこした
たのしかった"
"りょうくんがピアノひいてるところをみるのがすき"
"ブランコでふたりのりをした
りょうくん、すごいたかいところまでこぐからこわかった"
小学1,2年生の自分が残した文字は
当たり前に平仮名だらけで読みにくかった
それでも"幸せ"だったことは伝わってきた
この頃の自分も
ただ自分の好きな人の隣にいるだけで
その人が笑ってくれてるだけで
幸せだったんだ
どこからか涼がいつも弾いていた曲が聴こえてきた
近所の子供が弾いているみたいだった
メヌエット ト長調
一気にあの頃に引き戻される気がした
学童室の前の廊下に置かれたオルガンで
いつもその練習をしていた涼
その隣でいつもその様子を見ていた
セミの鳴き声が聞こえるような暑い日
目の前の窓が開けられていて、夏の匂いと涼しい風が舞い込んでくる
もうどれだけ願おうとも二度と戻っては来ないその日々
それに今までは目を背けて逃げていた
けれど、それを乗り越えなければ
今の自分も過去の自分も
一生苦しむのではないか
裏切られた悲しみから苦しみから
一生解放されないのではないか
自分を助けられるのは自分しかいない
自分の痛みをわかってあげられるのも
自分しかいない
ねえ、貴方は
一生一緒になれないって言ったけど
自分は努力してみるよ
貴方を受け入れられるように
証明するんだ
どれだけ傷を負っても幸せになれるって




