掴まれた腕
3日くらい、更新を止めてしまって申し訳ありませんでした!
気づいたら、臣史くんのことが好きになっていた
でもそれは絶対に叶わない恋だった
最初から
「ある一線を超えることはできない」って言われていて、
それがこのことで
自分が勝手に好きになっただけ
妹みたいな存在でもよかった
貴方に頭を撫でてもらえて
涙を拭いてくれるなら
傍にいれるなら
貴方の笑顔が見れるなら
辛いときも悲しいときも
嬉しいときも楽しいときも
一番に話したいのは貴方だった
それだけ
7歳も離れているから…
こんな感情もなかった自分のことなんか…
何処かでそんな気持ちもあった
「もっといい人がいるよ」
その言葉も
まるで「お前じゃダメだ」と言われているようで
誰かを好きになる度、
こんな自分なんか好きになってもらえるわけがない
いつも諦めの気持ちが先行するようになったのはここに原因があったのかもしれない
虐待されていたから
いじめられていたから
自傷行為をしているから
自殺未遂したことがあるから
自分は何処かで
他の人とずれていて
散々、気持ち悪がられてハブられて
そんな自分が幸せになる想像ができなかった
「助けて」「苦しい」
そうやって必死に伸ばした手を振り払われる
感情を取り戻したとき
それが「痛い」と感じた
それは自分の腕を切るよりも痛かった
呼吸の仕方がわからなくなるほど痛かった
知らない方が幸せだったかもしれない
感情がなければ
苦しい、悲しい、辛い
そんな気持ちがわからないで済んだ
もちろん嬉しい、楽しい
それさえも感じることはできないのだが
そう思ってしまったのだ
滅多に見ないはずの夢を見た
真っ暗な空間に
8歳のボロボロな自分と
今の自分
だけがいる
8歳の自分はやっと
あの重い足枷と手錠が外れたはずなのに
泣いて、笑ったはずなのに
ずっと今を生きる自分の腕を
爪が食い込むほど掴んで離そうとはせず、
前に進ませないようにしていた
その顔は憎しみを帯びていた
「きみだけ幸せになるの?
ぼくはきみの過去だよ?
過去からは永遠に逃れられないんだよ?
きみが忘れた、あの1年半のこと知りたい…?」
頭に雪崩れ込んでくる
映像に叫んだ
「やめて!」
「そうやって、ずっと逃げるんだ
ぼくは…」
自分のことをぼくと言った8歳の自分
その目は真っ黒だった
何にも映さない
濁った目をしていた
この子は
全部を恨んでいるんだ
この世の全てを
生まれたことも
自分を傷つけた人のことも
感情も
「何がそんなに嫌なの…?」
自分が発した声は震えていた
過去の自分が怖かった
笑ってはいるが憎しみを漂わせている
ずっと自分はこんな顔で笑っていたのか…
気味悪がられても仕方なかった
「ぼくはこんなに苦しんでるのに!
どうして!周りのやつはあんなに笑ってるんだよ!
どうして!ぼくだけ!!」
「ずっと苦しかったよね…
ずっと寂しかったよね…
独りにしてごめんね…」
自分は過去から逃げた
そして過去の自分を独りにした
自分さえ、過去の自分を捨てたんだ
懺悔の気持ちもあった
こんなまだ誰かに頼らなくては生きていけないような
幼い子を独りにしてしまったことに
自分の人生を投げてしまったことに
向き合おうと思った
けれど
「ぼくはきみと一緒になる気はないよ」
冷たい声で8歳の自分はそう告げた
「どうして…?」
「きみは今、ぼくが持ってる
きみの空白の1年半の記憶を受け入れることができないから」
「そんなこと」
「あるよ
ぼくは一生きみと一緒になれなくても
きみ越しにこの世界を見たいんだ
きみがぼくと一緒になったら
それさえも叶わなくなりそう」
「それってどういうこと…」
「きみが死を選ぶかもしれないって言ってるんだよ
ぼくは全部を恨んでる
けれどまだ死にたくはないんだ
ぼくの為に見せてよ
ぼくの為に生きてよ」
8歳の自分は
幸せを諦めて、空白の1年半の記憶を抱えて苦しんでいた
自分「たち」を生かすために
それを抱える決心をしていたんだ
今の自分のことも恨んでいると思っていた
腕を掴んで離そうとしてくれないのは恨んでいるからだと
でもただ伝えたかっただけらしい
「ぼくはまだ生きてみたいから
きみを作ったんだよ」
現実に引き戻される前に聞こえた
「ぼくの代わりに幸せになってよ
だから生きてよ」




