護衛依頼とその顛末
「わぁ!ここがナチャの街なんですね‼」
はいどうも皆さん透明人間クロダです。今現在僕はナチャの街に居ます。目の前には今回の護衛対象領主の娘さんのコレット。交易都市でかなり栄えたナチャの街を見てかなり興奮してます。そんな彼女の一言をどうぞ。
「凄いですね‼妖精さん!!」
はい。透明人間は妖精にランクアップしました。どうしてこうなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時間は昨日。コレットさんが街を出て三時間程たったころ。現在はナチャの街までの乗り合い馬車に乗ることに成功した。ギリギリで間違いに気付いて、方向の修正に成功している。一時はどうなるかと思ったが大丈夫そうかな?
そんな心配はよそにコレットさんは鼻歌混じりに座ってる。このまま何事もなく終わってほしいんだけどなぁ・・・。
そんな願いは簡単に裏切られた。
「きゃっ!?」
バキッ、という音と共に馬車の態勢が大きく傾いた。馬車をよく見てみると車輪一個が取れてる。あ、これってーーー
「お客さんすまねぇ!馬車の車軸が折れた!金は返すから後は歩いて行ってくれ!」
うわぁお。これって。
「仕方ないね。歩いて行かなきゃ。」
デスヨネー。
コレットさんは馬車から降りて地図を確認して歩きだす。これ、大変なことになるぞ。
はい、そして夜。日暮れの時間です。一応道っぽいところにはいれてるけどまだ街についてません。この道の周囲は鬱蒼とした森。乗り合い馬車の御者の人も歩いても今日中にたどり着けるって話だったんだけど・・・
「どうしよう・・・。暗くなってきちゃった。この辺りって夜になるとモンスターが出てくるんだよね・・・」
不安そうな声を上げるコレット。めっちゃ怯えてる。
そんなとき突然森の方からガサリ、と草むらをかきわける音がきこえてきた。コレットがその方向を見るとそこにはーーー
「きゅっ」
兎だった。
「なんだぁ、兎さんかぁ。」
怯えた様子から一転、弛緩した表情で兎を見ている。
「ほら、おいで~」
両手を広げて兎を迎え入れようとするコレット。そこに、新たな客が現れる。
「グギャ」
「グゲ?」
「ゲギャギャ!」
緑色の肌をした餓鬼のような見た目をした稚拙な棍棒を持つモンスター。ゴブリンだ。しかも三匹。やつらはどうやら兎を追いかけていたようでそこで偶然コレットを見つけたようだ。兎を見て安心していたコレットの血の気が一気に引く。
「ひっ」
コレットのその様子をみた一匹のゴブリンは「グギャア!」と叫んで他の二匹に合図して三匹同時にコレットに近寄って来る。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ゴブリン達にとってそいつはただの餌にしか見えなかった。
まだ若くみずみずしい白い肌。体にまとわりついている布のせいで分かりにくいが少し膨らんだ胸。あの大きく見開かれた眼球など口の中で転がしたらそれは甘美な味がするのだろう。
怯えて抵抗する様子もなさそうなそいつに向けて何の躊躇もなく走り出す。それでもそいつは動かない。ゴブリンは数秒後に飛んでいる血潮を想像してニヤリと下卑た笑いをして一斉に飛びかかる。
だが、その予想は大きく裏切られることとなる。
まず、一番右にいた仲間の胴体が突然真っ二つになった。他の二匹は仲間の異変に気付かずそのまま目の前の餌に向かう。
しかし二匹は餌に向かうことが出来ない。何か見えない壁でもあるかのように何かに遮られているのだ。そこでようやく異変に気づく。慌てて周りを見るが目の前の餌以外何も居ない。そのことに恐怖を感じ持っている武器を振り回す。
今度は仲間が上から何かで押されたかのように一匹潰れた。ぐちゃり、とかつて仲間だったものが放射状に広がる。
更なる恐怖を感じる最後の一匹。その場からすぐに逃げ出そうとする。しかしそれは叶わなかった。首筋に感じる何かの手。それに捕まれたと思った瞬間。コキャッという音と共に自分の意識が泡のように弾けて消えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ふぅ。なんとかなったねぇ。あのゴブリン達はあの兎を追ってここに来たんだろうね。兎はいつの間にかどっか行ってるし。コレットさんは大丈夫かな?
「きゅう・・・」
気絶してる。無理もないか。あんなのに襲われちゃあなぁ。
僕は仕方なく、コレットおんぶして、走り出す。このままおいておくと体が冷えてしまってろくなことにならない。さっさと街の前辺りまで送ってしまおう。そんな風に思ってたら。
「ううん・・・?」
予想より早くコレットさんが起きてしまった。しかも僕の背中に乗ったまま。
「あれ?私たしかゴブリンに襲われて・・・それで・・・?」
周囲を確認しようとしてるらしい。背中でもぞもぞと動く感覚がする。
「あれ?ゴブリンなんてどこにも居ないししかも私浮い・・・て・・・る・・・?」
あーどうしよこれ。
「ふぇぇ!?な、何これどうなってるの!?」
あー本当どうしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして今に至ります。いや、あそこでゴブリンに襲われたばっかりの女の子一人にさせるのは無理でしょう。冒険者ギルドの依頼を受けた冒険者なんてことも言えず少女の夢を使って妖精さんということになりました。笑えるだろ?笑えよ。
主人公の隠密性が意味をなさない




