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この世界、文明は進化してるのに感情だけが退化していた 〜失われた感情を再び呼び起こす〜  作者: スアップ


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23/25

第23話 この世界、“告白前の空気”で天気が変わった

セレナが“楽しい”を観測してから三日後。


未来都市は、

完全におかしくなっていた。


《感情気象庁 緊急報告》


《都市西部に“そわそわ前線”を確認》


《原因:恋愛感情密度上昇》


「感情で天気変わるの!?」


俺が叫ぶと、

ベルク店長は遠い目をした。


「この都市、感情同期インフラだから……」


なるほど。


この世界。


人間の感情と都市ネットワークが、

深く接続されてる。


だから今。


“恋愛”という未管理感情が、

都市そのものに影響与え始めていた。


終わってる。


でもちょっと面白い。


その時だった。


店内に女子高生たちが飛び込んでくる。


「やばい!!」


「また?」


「今日、告白する人いるらしい!!」


店内。


ざわっ。


完全にイベント扱い。


《重大感情イベント予兆》


《“告白前空間”を検出》


《都市緊張値、上昇》


モニターまでソワソワし始めた。


未来都市、

恋愛耐性低すぎる。


その時。


ルナが小声で聞く。


「……告白前って、なんでこんな空気変わるの?」


「緊張するからだろ」


「なんで?」


「人生変わるかもしれないから」


静寂。


未来人たち、

またその概念に固まる。


この世界。


効率化されすぎて、

“人生変わる瞬間”が減ってたんだ。


全部最適。


全部予測。


全部管理。


でも告白って違う。


成功するか分からない。


拒絶されるかもしれない。


でも。


言わずにいられない。


その時だった。


店の外。


一人の男子学生が立っていた。


顔真っ赤。


震えてる。


手には花。


周囲の空気まで緊張してる。


《高密度感情波を確認》


《周辺住民の心拍数上昇》


《空調システム異常》


ぶわっ。


突然、

風が吹いた。


空が曇る。


「えっ」


ルナが空を見る。


「ほんとに天気変わってる……」


セレナが静かに呟く。


「感情エネルギーが都市網へ流入してる……」


つまり。


告白前の緊張で、

街の気圧変わってる。


青春エネルギー、

インフラ干渉レベル。


その時。


女子高生たちが息を呑む。


「来た……!」


店の前。


男子学生の前に、

一人の女の子が現れる。


沈黙。


周囲の通行人まで止まる。


都市全体が、

この瞬間を見守っていた。


男子学生は震えながら言う。


「……あ、あの」


《感情圧力、急上昇》


空で雷鳴。


怖い怖い怖い。


女子高生たち、

完全に観客。


ルナまで胸押さえてる。


「む、無理……見てるだけで苦しい……」


セレナも目を逸らせない。


その時。


EVEが静かに問いかける。


《質問》


「なんだ」


《なぜ人類は、“拒絶される可能性”に挑むのですか?》


俺は少し笑った。


「好きだからだろ」


《それだけで?》


「それだけで」


静寂。


男子学生は、

ついに言葉を絞り出した。


「……ずっと、もっと話したいと思ってました」


風が強くなる。


《感情エネルギー上昇》


《都市網負荷増加》


「街がラブコメに弱すぎる」


女の子は目を見開いていた。


顔が真っ赤。


そして。


小さく笑う。


「……私も」


その瞬間だった。


都市全域。


ぶわぁぁぁっ!!!


空に光が走る。


雨雲が一気に晴れる。


夕焼け。


歓声。


拍手。


知らない人まで拍手してる。


《重大感情イベント成功》


《“両想い”を確認》


《都市幸福指数、史上最高値更新》


ベルク店長、

ついに泣きながら笑った。


「誰だよ感情消した方が安定するとか言ったやつぅ……」


その時だった。


セレナが、

小さく俺を見る。


視線合う。


逸らす。


また合う。


《感情管理官セレナ》


《未申告恋愛感情、継続中》


都市中のモニターに表示された。


セレナ。


「……っ!!!!!」


顔、

夕焼けより赤かった。

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