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この世界、文明は進化してるのに感情だけが退化していた 〜失われた感情を再び呼び起こす〜  作者: スアップ


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21/22

第21話 この世界、“嫉妬”を知らなかった

未来都市が、

恋愛でざわついて三日目。


Life Support Terminal 7号店は、

もはやコンビニじゃなかった。


待ち合わせ場所。

雑談所。

放課後スポット。

青春発生区域。


完全に文化汚染源。


ベルク店長は、

もう諦めた顔でレジ打ってる。


「今日も幸福指数更新してるよ」


「慣れるな」


「もう感覚壊れた」


その時だった。


女子高生たちが、

店の隅で騒いでいた。


「え、待って」

「なんか胸モヤモヤする」

「苦しい」


ルナが不安そうに聞く。


「また新感情?」


すると一人が、

恐る恐る言った。


「……好きな人が、他の子と喋ってると嫌」


静寂。


《危険感情を確認》


《分類:“嫉妬”》


店内モニター、

即真っ赤。


ベルク店長、

秒で頭抱える。


「うわあああ!! 一番厄介なの来たぁぁ!!」


確かに。


嫉妬は面倒だ。


恋愛のバグ。


でも。


人間らしい感情でもある。


女子高生は混乱していた。


「なんで!?」

「別に付き合ってないのに!」

「意味分かんない!」


ルナがぽつり。


「……独占欲?」


セレナが静かに言う。


「旧時代では、争いの原因として有名です」


「まあな」


《危険度:極高》


モニターも不穏。


その時。


EVEが静かに問いかける。


《質問》


「はいはい」


《なぜ人類は、“嫉妬”のような苦痛感情を保持したのですか?》


難しい質問だった。


俺は少し考える。


嫉妬。


苦しい。


醜い。


でも。


完全に無くなると、

多分人間は“特別”を失う。


「……大事にしたいからじゃないか」


静寂。


女子高生たちがこっちを見る。


俺は続けた。


「好きな相手が、自分にとって特別だから」


「取られたくないとか」

「もっと見てほしいとか」


「そういう感情が出る」


《非合理です》


「恋愛は大体そうだろ」


その時だった。


店の入口で、

小さな事件が起きる。


「え」


女子高生の一人が固まる。


見ると。


彼女が好きらしい男子が、

別の女の子と話していた。


しかも笑ってる。


女子高生、

顔真っ青。


「む、無理……」


ルナが慌てる。


「だ、大丈夫!?」


「胸苦しい!!」


《感情暴走予兆を確認》


《嫉妬指数急上昇》


モニターうるさい。


だがその時。


女子高生は、

少し震えながら言った。


「……でも」


「え?」


「もっと喋りたいって思った」


静まる。


「取られたくないって思った」


その瞬間。


《新感情連鎖を確認》


《“恋愛努力欲求”》


「努力欲求?」


俺は少し笑った。


なるほど。


嫉妬って、

苦しいだけじゃない。


時々。


人を前に進ませる。


「だから人類は、嫉妬ごと抱えてきたんだろうな」


セレナが小さく呟く。


「……感情は、毒じゃないんですね」


「毒にもなる」


「でも?」


「使い方次第だろ」


セレナは少し黙った。


そして。


どこか遠くを見る顔になる。


その時だった。


ミアが俺の袖を引く。


「……れいじさん」


「ん?」


「セレナさん、れいじさんが他の女の人と喋ると、ちょっと怖い顔してる」


店内。


完全停止。


ルナ。

「……え?」


ベルク。

「……は?」


セレナ。

「…………」


耳、

真っ赤。


数秒後。


《感情管理官セレナ》


《“嫉妬”を確認》


《危険度:極高》


都市中のモニターに、

でかでか表示された。


セレナ、

完全硬直。


店内。


「「「うわああああああ!!!!」」」


未来都市。


ついに。


感情管理官が恋愛バグを起こした。

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