ねえねえアタシ頑張ってるよ!
「お」
「姉」
「様ぁ!こっち見てぇ!」
踊るように、目立つように、人一倍動いてゴーレムを倒していく。
「あの子獣人じゃないでしょ……。なんであんなに力が強いの……?」
「まあ……背も高いし、生まれつきそういうのなんじゃない……?」
「そういうもので済ませていいのかなぁ、あれ」
雑談しながらも手は緩めず、跳ねて避けて殴る。
「はぁっ!」
ゴーレムが壊れる。
「君も大概じゃないか?」
────
「そういえば……フレアさん」
「どうした?」
「固有魔法を持つ貴方ならご存知かもしれませんが、固有魔法を持つことによって起きる身体の変化って御存知ですか?」
「この目で構造が普通とは違うというのは見ている……が、具体的には知らないな」
「それは失礼。では、僭越ながら」
固有魔法を持つ。それは、並大抵の器では不可能なこと。なぜなら、その原点が勇者と魔王であるためである。ではなぜ、ただの人族が、魔族が特別な魔法を持てるのか。それは、身体の構造が変化するからである。ちなみに力を受け取る為に身体が変化するのではなく、魔法から無作為に選ばれた赤子が、母体にいる頃から魔法への適応を行う、すなわち魔法が身体の構造を変えるということ。その変化は不可逆で、その魔法を使う上で最も都合のいい変化、もとい進化を行う。例えば、ヴェアであれば、毒の良い効果だけを受け取り、悪い効果は的確に相手へ、と言った具合である。ある種の寄生のようにも見えるが、何のためにそうしているのかは、解明されていない。
「面白いでしょう?」
「ふむ……勉強になった、ありがとう。一つ質問があるのだが、いいだろうか」
「構いませんよ、大歓迎です」
「ブレイは……固有魔法を持っていないが、身体の構造が独特だ。ワタシが見た固有魔法持ちの誰よりも、だ。これはなぜだろうか?」
「あぁ……それはとても良い質問です。と言っても今から言うことは確定した情報ではありませんので、信じすぎないようにお願いしますね」
「ふぅん、貴方がそんなことを言うのねぇ」
「私にも分からないことはありますよ。校長。……貴方が剣帝と戦った際、不思議な事が起こりました。フレアさん、貴方なら分かるでしょう?最も近くで観測していたのですから」
「あぁ、最後の場面だな」
「です。私もフレアさんの義眼に似たようなものを持っているので観測できました……。もちろん、性能は私の方が下ですが。それで、奇妙な事が剣帝の身に起こっていたのです。……より、身体の構造が複雑になっていたのです。それで、身体能力が全体的に向上、フレアさんを撃破と。身体の構造が変化する、できる生物など聞いたことがありませんし、見たこともありません。いつか解剖……いえ、なんでも」
「……」
「こほん、その変化は謎ですが、解明しようがないことを考えても仕方ありませんから……構造が他の固有魔法所有者よりも複雑であることを考えましょう。どうしたらここまで複雑になると思いますか?」
「……単純に考えるなら、固有魔法の複数所持しか考えられないが、アイツは魔法を扱えないぞ」
「えぇ、それです。それで恐らく合っているんです。……固有魔法を複雑所持している人物は、前例が無いように見えて存在しているんですよ」
「……勇者」
「その通り。剣帝の身体は勇者の身体の構造と同じになるように進化していっている……その途中であるが故に勇者の膨大な魔法に適合出来ていないから魔法を扱えない、受け付けない。という考え方もできる、という訳ですよ」
「ねぇ、そんなことって有り得るの?」
「普通は有り得ませんよ、校長。ですが、あの人は何かと特別ですから……ね」
「冗談と笑うにはアイツは色々とおかしいからな」
「貴方がそれを言いますか」
────
「ねぇ、ヴァエルさん、話に集中しててあの子のこと見てなくない?派手に頑張ってるけど」
「……まぁ、いいんじゃない?」
その間にもゴーレムは倒されていく。
「お姉様ぁぁぁ!」
「てか、お姉様って言っちゃってるけどいいのかな……師匠、聞こえてはいないんだろうけど」




