ただいまを言いに行こう
「……それで、これからの計画なんだが、とりあえずトライト魔法国に戻って学校に行かせる。これはレングの汎用魔法の為だ。ワタシでは固有魔法について助言できても汎用魔法については教えることが出来ない。使う手段が無いからな」
汎用魔法はどうやっても使うことができない。人にしか扱えないものだ。それを教えることなんてできない。
「えと……アタシは……?」
「安心しろ、ヴェアはワタシが面倒を見る」
「……フフ」
「……」
何故だろうか、火花が散っているような感覚がある。
「行動は早い方がいい。さっさと向かうぞ」
「でも師匠、店の魔導具はどうするんですか?」
「置いていく。ワタシはいつでも作れるからな」
「えっと……じゃあアタシ一つだけ選んでいい……?」
「……魔族だから無くても構わないと思うが……要るのか?」
「要!る!の!」
「あ、あぁ。分かった」
なら、ヴェアにも色々いじった魔導具を作らないとな……。レングに作ってるのが途中で止まってて言えてないが、どうせなら弟子には特別に良い魔導具を持たせてやりたい。それに、レングだけに作ったら後が怖い……気がする。
「どれにするんだ?」
「んーと、これ!」
そう言ってヴェアは、槍状の魔導具を……
「えっ、あっ……」
「どうしたの?お姉ちゃん」
「……い、いや、なんでもない……。それにするんだな?」
「うん!」
記憶は残ってないはず……うっすら衝撃で記憶にあるのか……?
「ご、ごめんね……」
「?」
─────
「とりあえず、準備はできた。出発だな」
「はい!」
「うん!」
ここからトライト魔法国まではかなりかかる。道中で、魔法を教えつつ魔物を狩って行こう。一応食料は持ってきてはいるが、トライトまではもたないだろう。
────
「魔物の気配だ。レングは待機、ヴェアが戦ってくれ。援護はする」
今どれくらい魔法が使えるのか。それを知るために必要なことだ。聞いたところかなり小さい頃から洗脳を受けていたみたいだが、記憶はなくとも、体は魔法を使った経験がある。どれくらいできるのか……。
「おそらくグリズリー。数は三体ほどだ……。ヴェア」
ヴェアが駆け出していく。良い瞬発力だ。素の身体能力はワタシを超えているようだ。それに……
「……ポイズン」
様子見で近づいてきた一体をヴェアの固有魔法、ポイズンで的確に目を狙って潰した。
「グガァッ!」
視界を奪われたグリズリーはどうすることもできず槍を刺された。そして、刺した槍からポイズン……毒を注入され、力尽きたようだ。
そしてそのまま次のグリズリーへ向かう。そしてグリズリーと力比べをするように…。あれ、ちょっと待て流石にそれは…。
「はぁっ!」
「え」
投げ飛ばした。流石におかしい。少し魔力の流れを見てみる。…………ふむ。なるほど。体の中でポイズンが発動している。毒で無理矢理身体強化を行っているのか…。自分には自分の固有魔法は効かない、はずだ。だが、固有魔法は想像次第でどこまでも応用できる。そもそもよく分からないことの方が多い。ヴェアのポイズンはそういうものなんだろうと納得することにした。
投げ飛ばされたグリズリー、毒で力尽きたグリズリー。それを見て残りの一体が逃げ出した。
「あ、待ちなさ…」
「いや、良い。上出来だ」
レングのストレングスよりも体に負担がかかる身体強化だ。魔族だからある程度頑丈だろうが、他に頼れるのがいる状況なら、そこまで無理しなくていい。逃げるグリズリーをクリスタルで撃ち抜く。
毒で倒したのは食えないが、投げ飛ばして気を失ってるやつと逃げたのは食えるだろう。
「ちょうどいい。ご飯の時間にしよう」




