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意志を通す力2


どっちに着こうかなんて考えてたのが馬鹿みたいだな。敵対した時点で、もう戻れない。だが、後悔なんて微塵も無い。ワタシが最も尊敬しているのは───あの人なのだから。



────



「レング、そんなに離れるなよ!」


レングにちらっと視線を向けながら、周囲を警戒する。……ほぼ死体に等しいヤツらにあの子の毒が効くかは知らないが、やってみるか。


ワタシは、接近してきた個体に義手を向ける。そして、毒の槍を放った。──命中。


「ぐぅ」


自我なんて無い操り人形だから、ある程度の損害は無視できるだろうが、流石に効いただろ。


さて、あの子はどうやって助けようかな……。


おっと。



────



「ぐっ」


その間レングは苦戦していた。


「あの時よりも、ずっと強くなったんじゃないかと期待してたけど、裏切らないでくれよ」


本来持つ水魔法に雷を混ぜた高速発射。当たれば痺れて動きが鈍る上、確実に殺せる形の水の刃。近接戦闘ならレングに分があるが、遠距離となると、まだ粗い部分が多いレングでは対処が難しいようだ。


せっかく、師匠が鍛えてくれたのにこのザマか?……いや、違う。戦いの事を考えろ。師匠に恩を返すには、俺の成長を見せるしかないんだから……次が来る。


狙いは足と首。足にストレングスをかけて……。


「はっ!」


跳んで回避!の次は後ろに火魔法を放って加速!これで……


「それじゃあ急には止まれないでしょう」


目の前に水の刃……防げな──


「ワタシが見てる。安心しろ」


水の刃はヴァエルのクリスタルによって弾かれた。


「親子喧嘩に横槍を入れるなんて……。アナタのお父様に言いつけておきましょうかね」


「さっきも言ったろ。アイツには教えられないさ」


俺に喋る余裕は無い。やっぱりまだ足りない。着地だけ間に合わせる。ノーブ以外は師匠が受け持ってくれている。だから俺は、目の前の魔族を殺すことだけに集中しろ。


…………!



───



コイツら、考える頭は無いが魔力だけは立派だ。おかげで石像にして倒すことができない。面倒だ。


「……はぁぁぁ。あんまり痛めつけたくないんだが」


先の太った槍に目を向ける。これは刺す以外の用途で使うとただの鈍器だ。……そして、この槍はストレングスの魔力を貯めている。己の魔力以外を体に入れるのは基本推奨されない。だが、超短期間だけなら後遺症無く扱える。


……集中。槍が纏っている魔力を己に流し込む。そして、思い切り踏み込む。これは便利だな。一瞬でヴェアの元へ到達できた。そして、ついうっかり刺してしまわないように注意しながら槍を横に振るう。


「はぁっ!」


「……!」


ヴェアの体が吹き飛び、木に衝突する。


「ごめんね」


謝罪を口にしながら、意識を失った妹を担ぐ。



───



「ハハハッ、妹を吹っ飛ばした。家族をそんなに雑に扱うなんて信じられないな……。おっと、勘違いしないで欲しい。貴方はもう家族ではないから容赦はしない」


そう言って、もう一度雷を纏った水の刃を飛ばす。……これだ。


無意識の内に、炎を身に纏う。俺の記憶に無い。勇者の記憶にも無い。だけど、ずっと前からそう戦っていたように。


「まさか、自害でもするのかな?己の魔法じゃあできないから、やめておくといいよ。大人しく、殺されて欲しい。貴方を殺した後はヴァエルさんを捕まえて、あの方に差し出す。そうすれば我が一族は永遠の繁栄を約束されるのだから」


何かを言っている。気にしない。刃が迫っている。気にならない。意識を体の内に向ける。……そして、魔力を混ぜる。


身に纏う火の性質が変わる。この火は敵を灰にする事はできない。この火は何者も燃やすことはできない。されど、この火は敵を倒す力を与える。



自分の体を流れる魔力で構成されているので、己の魔法は己に効きません。なので、ヴァエルのやっている魔力の吸収、放出はタイマンだと少々使いづらくなります。

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