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揺るがぬ意志で貫いて


目の前に迫る水の刃を変質した火で打ち落とす。


「……」


全身を包む火は、己の体を強化する。足に力を入れ、ノーブに近づく。


「……なら、こういうのはどうかな!」


打ち落として地面に落ちた水が弾丸のようにレングに放たれる。前からも新しく生成された水の刃。


「……」


師匠から貰った炸裂弾を投げる。閃光弾と見た目が似ているから、欺ける。狙い通り、ノーブは目を守る。それでも攻撃の手は止まらない。……充分。


「なっ」


炸裂弾が効果を発揮し、周囲にクリスタルを発射する。ほとんど当たっていない。それでも、目を守り不意をつかれた、となれば魔力操作が疎かになる。避けることは出来ないけど、後ろの水に体勢を変えて致命傷を避けて当たる。そして、横に跳び火の放出で距離を詰める。


「もう、それはさっき見たよ」


避けた先にも水の刃。こっちも、それは何度も見てる。けど、流石に今回は量も密度も凄まじい。確実に殺しに来ている。それでも俺は、貴方を殺す。


足や手、体の至る所から火を放出し、有り得ない軌道を描いての急接近。ただ殴るだけじゃ生き残るかもしれない。だから、篭手で心臓を貫いた。


ここで一つ、俺は失敗した。追い詰められた生物が何をするのかを理解していなかったことだ。



────



「ごめんね」


ワタシは意識を失った妹を担ぐ。片手は塞がるが、それで構わない。ワタシは蜘蛛の足を右側のみ解除し、翼に変えた。クリスタルの射出は空中からでも出せるが、やはり射出のできる機構を最初から作っていた方が威力は高い。しかし──


「痛みを感じていないのか?止まらないな……。アレを使うか」


もう一度、先の太った槍に目をやる。ストレングスはもう使い切った。それでもまだ役割はある。ワタシはその槍に炸裂弾を装填する。


「魔族は再生力が強い。それでも、原形を保てないほどに体を破壊すれば死ぬだろ」


ワタシは、最も近い一体の足をクリスタルで地面に固定し、動きを鈍くする。そして、槍を一突き。


「ここだ」


内部で起動した炸裂弾は体を引き裂いていく。見ていて気分は良くならないが、仕方ない。


「邪魔をするなら、殺すだけだ」


他のヤツも同じようにしていき、最後の一体を仕留めた所で頭上に大きな魔力が見えた。


「あれが最後の一撃か」


「すみません師匠、魔法を使わせる前に仕留め切れませんでした……!」


「いや、いい」


体が震える。武者震い?いや、恐怖だな。そもそも戦いは好きではない。死ぬかもしれないから。我ながら、格好が悪い。上に見えるのは大きすぎる水の槍。ヴェアを持ったままじゃ逃げられない。レングも疲弊しているだろう。


「ワタシの妹を頼む」


「え」


「死ぬわけじゃねえよ」


「わ……分かりました」


妹を預ける。ちょうどいい恐怖だ。頭は冴えている。……あの時の感覚を思い出す。ワタシは焦りすぎていて、どこかで限界を決めてしまっていたんだろう。思えば、あれも不完全だ。痛みがある時点で完全じゃない、そう、そこを目指すだけなら完全じゃなくていいのだ。満点は要らない。


「あぁ、痛いな」


全身が警告している。これ以上は、やめろと。………知るか。こんなもんじゃ、ワタシは死なない。


ワタシの全てが黒く染まる。完全な不完全、それで充分だ。ワタシは頭上に手をかざす。


「近くにいろ」


「あ、はい!」


黒く染まったクリスタルを何度も放ち、槍の形を保つ魔力を奪う。そして、大きな傘を作る。


「……ふう」


「師匠、やりましたね!」


「そっちも、良くやったよ」


空には虹がかかっていた。

ノーブさんは心臓貫かれた+残りの全魔力使用でちゃんと息絶えました

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