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第70ターン 対戦相手は夢見るシャンソン人形?

格ゲーマーの始祖、日乃本 尊《たける》。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 格ゲー常任理事国の次鋒、アングリーバットがチーム夢原の源五先輩に快勝しスコアは一対一のイーブンとなる。


「アングリー、なんとも頼りない闘いだったな。危うく足元を掬《すく》われる所だったぞ。恥を知れ。」


 兄・ビッグバットが冷たい視線を送る。これに目も合わすことが出来ずに弁解を繰り返すアングリーバット。ちょっと調子が悪かっただけさ、今日初めての対戦だしさ、感が少し狂ったのさ、、


「あ〜何をグチャグチャ言ってるのやら。貴方はお兄様に頭が上がらないのね、だらしない!あ〜ハッハッハ!」


 突如、純らにとっては聞き慣れたあの甲高い声がアングリーを厳しく謗《そし》る。どこか生理的な反発にも滲む花崎 蘭子の哄笑《こうしょう》だった。


「試合前は威張ってたクセに怖〜い兄さんが現れると随分と態度が小さくなるのね、アングリーバットじゃなくてリトルバットに改名したらとうかしら?ア〜ハッハッハ!」


 と蘭子はひとしきりアングリーバットをディスっておきながら、わざとらしく上品にゲーミングチェアに女の子座りで腰掛ける。このムーブも相手チームに対する明らかな挑発行為だ。


「さあ、お次はこの蘭子様が相手よ!」


 チーム夢原の三番手・中堅は花崎 蘭子。使うキャラは韓国の不良少女、ジュリーだ。対する格ゲー常任理事国は、、


「ワタシが相手よ、ノノノッ。」


 フランダース・モレシャン、こちらもJK格ゲーマーだ。名前と雰囲気からしてフランスギャルで間違いなかろう。


「おフランスからの刺客ってことか。で、どのキャラを使うんだい?」


 純らが注意深く窺《うかが》っていると、プレイヤーは柔道家にしてスーパーモデルのアノンを選ぶ。やはりか、という妙な納得感と若干の緊張が走る。


「おフランスの柔道ってあのポイント稼ぎのか?格ゲーでそれやったら最早娯楽じゃないぜ。」


「それは大丈夫、今回の勝利条件は完全決着の一本勝ちのみナノダ。●リンピ●クの時みたくセコい勝ち方は出来ないはずナノダ。」


 純とクー子が若干の私情と偏見でもって闘いの行方を展望する。暇でしょ?先生が蘭子とモレシャンにコントローラーを握る用指示する。


「それでは、第三試合を開始する。レディ〜ファイ!」


つづく


 




 

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の親友《マブダチ》。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病《やまい》のレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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