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第205ターン 港区マリー、ザ・弾打ちの秘訣

格ゲーマーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 気流拳、ベテラン達は"弾打ち"と呼ぶロードバトラーシリーズの主役、武道家リョウの代名詞とも言える技。


 気功術の類か、てのひらから出てくるハンドパワーを敵にぶつける遠距離攻撃。この技の"発明"が格ゲーの対戦をより戦略的に、よりドラマティックに変容させた。


 気流拳は格ゲーというジャンルを不動のものにした一つと言っていい。リョウの原点、それは則ち、リョウ遣いの純の原点でもある。


 ↓ ↘ → ◯ボタン


 純・リョウが気流拳を発すると闇堕ちリョウはこれを垂直ジャンプでかわしてみせる。今度は純・リョウが気流拳を緩急つけて連発すると、闇堕ちリョウはまたしても、これを垂直ジャンプでかわす。


「もぅ馬鹿ゲーマー!それこそ馬鹿の何とかですわぁ!同じ技コスってばかりで、この能無しッ!」


 我慢のコップが溢れたのか、感情のブレーキが破綻したのか、さっき来、ひたすら罵詈雑言を繰り返す花崎 蘭子。おそらくお腹が空いているのだろう。


「フンッ、節穴のプチブル女。だから、おヌシは体制の補完勢力なのダ。」


 と、シビれるテーゼで蘭子を批判する我らが下町のジャアナリスト、クー子。彼女は目の前の、ありきたりの立ち回りの本質を掴んだようだ。


「見てみるノダっ!闇堕ち野郎は一歩も前には動けていないノダ。斜めジャンプも出来ずに真っ直ぐ上に逃げるだけなのダ!」


 愛弟子クー子の炯眼に得たりの横顔のチーム夢原ヘッドコーチ、む〜ど。腕力の門で純たちをシゴイた港区マリーも腕を組んで満足げな表情をしている。


「純坊、よぉく分かったねえ!間合いの管理、実践編だよ。」


 弾打ち、それはどんなタイミングで撃つかも重要だけど、もっと大事なことは、、


「どの距離から撃つかや!」


と、港区マリーから締めの言葉を奪ったのはマリーに苦杯をなめさせられた阪田万吉少年だ。


「こいつぅ!そりゃアタシの台詞だよッ!」


 破顔一笑、嬉しそうな顔をして万吉少年にスリーパーホールドをきめめる港区マリー。ここに新たな師弟が生まれた。


 と、にわかに和やかな空気感を醸したが、対戦は次のフェーズに移ったようだ。クー子が叫ぶ。


「ワッワッ!闇堕ち野郎が同じ距離感で弾打ちしてきたのだ!悪意の気流拳なのダ!」


「さあて、次のレッスンはテンポのハナシじゃ。ワシが教えた胆力を見せてくれや。」


 赤いキャプの頑固者、ゲーセンヤンキーのまじくんがニヤリと目を光らせた。


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・む〜ど 

 純が属するチーム夢原のヘッドコーチ。日頃はちょっとエッチなお兄さん。実は人格者のプロゲーマー候補。


・mako まこ

 純が属するチーム夢原の女コーチ、長い睫毛が印象的なチームのアイドル。北大阪出身の理系女でもある。プロになるか大学に残るか思案中。


・クー子 くーこ

 純の親友マブダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。 


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・佐久間 柚葉 さくま ゆずは

 盛岡のフリースクール、リスタートゲーミングの不思議系エースプレイヤー。比留多に強い敵意を抱く。ムエタイ戦士のガッドや米兵ゲイルの遣い手。元ヤンでもある。


・先生 せんせい

 リスタートゲーミングの主催者。行き場のない若者達をゲームで連帯させ、社会復帰させるNPO活動をしているのだが、、


・阪田 万吉 さかた まんきち

 大阪の格ゲーチーム、難波ドテRISEの切り込み隊長。キャラのジャンプ力を活かした通天閣殺法が得意。苦労人のようだ。


・アンコールズ あんこーるず

 格ゲー常任理事国のエースプレイヤー。元地下アイドルで格ゲープレイヤーとしてメジャーデビューを目論む妄想癖のJK。口癖は「アタシの想像力では〜」


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。純は既に死んだと聞かされていたが、、、

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