第204ターン 一の矢、それは間合い管理!
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
格ゲー三本の矢を思い出せ、そう言ってマイルドヤンキーの柚葉は崩れ落ちた。思わず駆け寄る比留多 恭介、しかし"先生"が沈黙の結界を張り、比留多を寄せ付けない。
「た、確かに!オレっち達が地下迷宮で学んだ全てをぶつければ、闇堕ちリョウを倒せるかも知れない、、」
「でも、純!どうするノダ?腕力と胆力と知力を混ぜるなんて!どんな技なのダ!?」
純が柚葉の言葉にインスパイアされて何かを掴んだように見えたがその具体化にはもう一山、もう二山を越えなくてはならない。
「間合い、テンポ、そして読み。その三つを融和させるんや、純。それを格ゲーの世界で、ランドスケープで。」
静かに、そして祈る様に囁く純の筆頭コーチ、mako。ここは純自身が乗り越えるべき大きな壁。一流の格ゲーマーなら皆が通った道だ。
原点から始めろ。
純の脳裏にいつか聴いた声がする。それは深い海の底から響くような、厳しさと包み込まれるような安心感を醸す音韻。
makoちゃんか?いや違う。前にも対戦中に聴いた声だ。原点とは、、、
「あーもうぉ!馬鹿ゲーマー、このままだったら負けてしまいますわぁ!アタクシが地下からでれなかったらどう責任取ってくれますの?!けっ結婚してくれるのぉ!!」
劣勢の中、純が次なるアクションに蟠っていると、罵詈雑言の配信者、激怒系ユーチューバー、花崎 蘭子が純に抗議か告白か分からないような悲鳴をあげると純の親友クー子が秒でツッコミを入れる。
「コラッ高校デビュー!何をドサクサに紛れて寝言を言っているノダ!純は黄色い帽子のオジサンに独身主義を誓っているノダ!」
「なんですってぇ!この人生の不渡手形!!アタクシがこぅこぅデビューですってえ!!」
今にも取っ組み合いそうな二人をむ〜どが間に入って遮るが、逆に両者に挟まれて正体を無くすジョー樋口状態。堪らず反則カウントを始めるウイットに富むむ〜ど。
そんな自然発生的な喧騒の中、純は闇堕ちリョウの攻撃をパリィで捌きながら次なる展開を模索する。
「リョウの原点は、オレっちの原点。」
リョウの飛び道具、気流拳は弾速・硬直・発生からして、相手に近すぎれば飛び込みを食らい、遠すぎればラインを押せない 、画面端に押し込めない。
そのため、弾を「撃っても飛ばれない距離」と「撃てば相手が動かざるを得ない距離」を設える、そんのシチュエーションを作る操作が重要になる。
純は無心になってコントローラーの十字キーを右に、僅か右に操作した。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・む〜ど
純が属するチーム夢原のヘッドコーチ。日頃はちょっとエッチなお兄さん。実は人格者のプロゲーマー候補。
・mako まこ
純が属するチーム夢原の女コーチ、長い睫毛が印象的なチームのアイドル。北大阪出身の理系女でもある。プロになるか大学に残るか思案中。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・佐久間 柚葉 さくま ゆずは
盛岡のフリースクール、リスタートゲーミングの不思議系エースプレイヤー。比留多に強い敵意を抱く。ムエタイ戦士のガッドや米兵ゲイルの遣い手。元ヤンでもある。
・先生 せんせい
リスタートゲーミングの主催者。行き場のない若者達をゲームで連帯させ、社会復帰させるNPO活動をしているのだが、、
・阪田 万吉 さかた まんきち
大阪の格ゲーチーム、難波ドテRISEの切り込み隊長。キャラのジャンプ力を活かした通天閣殺法が得意。苦労人のようだ。
・アンコールズ あんこーるず
格ゲー常任理事国のエースプレイヤー。元地下アイドルで格ゲープレイヤーとしてメジャーデビューを目論む妄想癖のJK。口癖は「アタシの想像力では〜」
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。純は既に死んだと聞かされていたが、、、




