第二十四回 皇太子たちの参戦と予兆
「ふう……今日のハーブティーも、とっても美味しく淹れられたよ〜。みんなもちゃんとお休み取れてるかな?」
「はいですぅ〜。ミモのおすすめは、ハーブを少し長めに蒸らすことですぅ〜」
『癒やされる〜〜』 『今日のハーブティー配信たすかる』 『仕事の疲れ吹っ飛んだわ』
『システム通知:【G・ガルシア】が【50万ペル】を送信しました』
『G・ガルシア:ハーブティーの淹れ方は完璧だ。疲れた心に染み渡る』
「「……えっ?」」
『ファッ!?!?!』 『50万ペルwwwwwww』 『G・ガルシアってあの帝国の!?』 『隠す気ゼロのお忍びで草』 『平民の年収が1秒で飛んだんだがwww』
『システム通知:【北欧の隠者】が【80万ペル】を送信しました』
『北欧の隠者:ミモザ殿下の笑顔も素晴らしい! 我が国の癒やし代だ!』
『システム通知:【東方の旅人】が【100万ペル】を送信しました』
『東方の旅人:ガルシアだけに良い格好はさせん! 受け取れ!』
『待って待って本格的に始まりかけたwww』 『ロイヤルお忍び大戦開幕』 『チル配信どこ行ったwwwwww』
――仮テント指令室。
「素晴らしいわ……っ!」
フランチェスカはモニターの売上グラフを指でなぞり、バインダーを胸ぎゅっと抱きしめて小躍りした。
「お忍びのつもりでしょうけど、各国の皇族たちが勝手にお小遣いを投げ入れてくれているわ! ノーリスクで外貨が吸い上げられるなんて、これぞ最高の子会社経営よ!」
――アイナール・ホールディングス副社長室。
「……ふん」
レインハルトは書類を押さえていた万年筆をカチリと鳴らし、冷ややかな視線で配信画面のコメント欄を見つめた。
(国際会議でも私に聞くのは兄上のことばかり……。お忍びのつもりか知らんが、なぜ国家の次期指導者たる者たちが、あのアホ毛の兄上にそこまで……)
ピキリ、と指先で万年筆の軸が微かに音を立てる。
「……理解に苦しむな」
レインハルトは眼鏡の奥の瞳を僅かに揺らし、冷たく呟いて書類へと視線を落とした。




