表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世【くノ一】の私は、全エンドが一家処刑の悪役令嬢に転生した~魔法は使えないけど忍術で処刑フラグを回避する~  作者: 青空あかな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/29

第27話

 満月の夜を迎え、私とメイナ、そしてロイアは邪悪な存在を探していた。どこに隠れているのかを、騎士団の人たちも一緒に探しているけど、あの黒い影はなかなか見当たらない。攻略対象ズもアンガーを筆頭に騎士団と行動をともにしていた。

 ロイアが辺りを注意深く見ながら、静かな声で言う。


「ノエル様、邪悪な存在はどこにいるのでしょう……?」

「大丈夫、私が絶対に見つけるから。ちょっと、あちらの森へ行ってみましょう」


 少し歩き、校舎横の森へ。背の高い木を見つけ、ここで待っていて、と伝えて木に登る。てっぺんまで登ると、学院内の敷地が良く見渡せた。満月で空も晴れているので明るいね。みんなのためなら何でもできる。全身の胆力を目に集めながら印を結ぶ。


「<幻遁・見破りの術>!」


 胆力により視力が向上し、隠れている物を見つけ出すのだ。敷地内を隈なく見渡す。少しの異変も見逃さないぞ。注意深く見ていると、森の端っこでもぞもぞ蠢いている黒い影があった。


「あっちの方にいますわ! 私が行きますので、二人はここで待っててください!」


 シュダッ! と木から木へと飛び移る。メイナたちには悪いけど、危ないから待機していてもらおう。


「「いえ、私も参ります!」」

 

 と、思ったら、二人は普通に走りながら私を追ってきている。え、えええ、マジか……。結構全力出してるのにすごいな。ロイアはまだしもメイナまでそんなに走れるとは思わなかったよ。


「ノエル様の敏捷な動きについていけるよう、ロイアさんに訓練をつけていただきました!」

「メイナ様は筋が良いでございますよ、ノエル様!」


 う、うん、そうだったんだ……。私の知らないところでそんな訓練が。道中、攻略対象ズやアルクサンドル先生を見つけたので、邪悪な存在を見つけたことを木の上から伝える。


「皆さん、邪悪な存在を見つけました!」

「「そ、それは本当か! というより、ノエル嬢はどうしてそんなところに……!?」」

「そんなことはいいですから、私についてきてください!」


 騎士団やみんなを引き連れて森の端っこへ向かう。低木の後ろに黒い影が潜んでいた。ガスのようなオーラが見えるので間違いない。ヤツはあそこに隠れている。


「見つけたわ、邪悪な存在。隠れても無駄よ」

『な、なぜ、ここがバレた……! おのれ、もう少しで世界を支配する力が手に入ったのに』


 ザッ! と低木の前に飛び降りると、邪悪な存在が怖じ気づいたように現れた。


「あんたはどうしてそこまで、世界を支配することに固執するの」

『だから、何度も言っているだろ。この世界は俺様のもんだ』

「いいえ、違う。誰の物でもないわ。誰かが支配するような物でもないのよ」


 この世界はゲームの世界。前世では思いもしなかったけど、キャラクターたちは自我を持ち、それぞれの人生を送っている。そんな幸せな世界を支配するだなんて、とうてい許されることではない。

 

『な、何がそこまで貴様を動かすのだ』


 邪悪な存在は力が弱っているのか、はぁはぁと辛そうに言った。ふむ、私の原動力ね。答えは一つしかない。


「大切なみんなを……守りたいから」


 父母を、ロイアを、メイナを、攻略対象ズを……この世界の全ての人たちを守りたい。それが私を突き動かす原動力そのものだ。かつてないほど強く胆力を練り、丸ごと邪悪な存在へと放った。


「<全遁・友守(ともまも)りの術>!」

『ぐ……ああああ!』


 白い光の球が邪悪な存在を包み込む。みんなを苦しめた黒い影は、輪郭からじわじわと消えていく。邪悪な存在は球体の中で暴れているけど、光の球はビクともしなかった。


『な、なんだ、この力はぁ!』

「みんなを守りたいという力よ。あんたには理解できないかもしれないけどね」

『な、なに……!?』


 私は邪悪な存在と戦って、確信めいた考えに至った。大切な人を守るために自分の力である忍術を使う。これこそ忍びのあるべき姿なのだ。胆力をさらに集中すると、光の球はひときわ強く輝きだした。


『き、貴様は何者なんだ!? こ、こんなヤツ見たことが……ないぞ!』


 邪悪な存在は息も絶え絶えに叫ぶ。何者……か。そんなのこと、今の私なら自信を持って言えるわね。


「私はノエル・ヴィラニール。アリストール魔法学院の誇り高き生徒よ」

『う……! ああぁぁぁ……』


 光の球が弾け、月明かりした粒子がキラキラと舞う。邪悪な存在はもうどこにもいない。完全に消えてしまったのだ。真っ先にロイアとメイナが抱きついてくる。


「やりましたね、ノエル様! ノエル様なら絶対に倒してくださると思っておりました!」

「あんなに怖い邪悪な存在をあっという間に倒してしまうなんて!」


 彼女らの後ろには攻略対象ズ。三人とも興奮冷めやらぬ様子で駆け寄ってきた。


「やはり君は素晴らしい人材だ! ますます目が離せなくなってしまったよ!」

「まったく、どこまで進化しやがる。これからの勝負が楽しみだな」

「僕も早くノエル様みたいに強くなりたいですね」


 森の中に大歓声が湧き上がる。アルクサンドル先生がガッシ! と握手してくれた。


「ありがとう、ノエル嬢! 学院が救われたのはお主のおかげじゃよ! この功績は多大な物じゃ!」


 右も左も、みんなが手を取り合って喜んでいる。彼らの笑顔を見ているとホッとするね。ここは私を救ってくれた大事な世界だから。


「これでもう大丈夫……」

「ええ、ノエル様がいらっしゃれば何があっても大丈夫ですわ」


 ポツリと呟くと、メイナがギュッと抱きついてきた。空を見上げると、まんまるの月が煌々と輝いていた。私たちの明るい未来を示してくれているかのようだ。心の中で決心したことが、自然と小さな言葉となって出てきた。


「私はこれからも、みんなを守るために忍術を使っていくんだ」


 神々しい満月に、人知れず強く誓った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ