第8話 闇の四姉妹
(はあ…、さすがに疲れました)
それもそのはず。
転校初日から色々ありすぎて、帰宅した頃にはもう優美は疲れ果てベッドに突っ伏していた。
しかし、大変なことにはなったものの友達が増えて嬉しい自分もいた。
(これからもっと仲良くなっていけたらいいな)
そんなことを考えながら眠りについた。
一方その頃、闇の世界では。
「あーあ、なかなかうまくいかないねえ」
ヒートがつまらなそうに足をプラプラさせながら呟いている。
「何か良い作戦はないかしら」
アクアとヒートが話していると、バッドが割り込んできた。
「あんた達がもう少し仕事ができる妹達だったら私も苦労しないんだけど?」
「む…! なんでも私たちのせいにしないでよーっだ!」
ヒートはむくれてバッドを睨みつけるが、アクアがなだめる様に2人の間に入った。
「も、申し訳ありませんお姉様! ヒートも、そんな態度とらないの」
「なーに揉めてるの? うるさいなあ」
「あらユウキ、いたの?」
奥からダルそうに欠伸あくびをしながらユウキという人物が歩いてくる。
「雷の能力者を捕まえておいて逃がしたわけ? せっかく私の出番はないと思って休んでたのに」
そう、この4人は姉妹。
バッドが長女、ユウキが次女、アクアが三女でヒートは末っ子の四女なのだ。
仲が悪くいつも言い合いしている。
「そんなに言うならユウキがなんとかしなさいよ」
「はいはい、バッドお姉様は怖いですねえ」
ため息をつきながらさっさとユウキは姿を消した。
――次の日
「おはようございます!」
優美は通学路で温人を見つけ、駆け寄る。
「ああ、天空か。おはよう。よく眠れたか?」
「はい、坂上くんは?」
「まあまあだな。またいつどこで敵が現れるか分からないから気をつけるんだぞ」
「おーい!」
「優美! 温人! おーはー!」
そこへ、仁美と綾乃も合流する。
実はこの2人は中学生からの同級生で、ずっと仲良しだったという。
ちなみに温人と優美の隣のクラスだ。
「なんだか昨日は疲れて即爆睡したよお」
「仁美はいつもどこでも爆睡してるでしょ」
「んなっ!」
2人のコントのようなやり取りを見て笑い合う平和な朝だった。
能力者は揃ったものの、バタバタしていて詳しく話し合えなかったこともあり、今日は休み時間にみんなで今後の事を話すつもりだった。
だが、空奈のクラスに行くと、彼女の姿は見当たらない。
「あれ? 空奈、お休みかな? まだ来てないみたい」
「さすがに疲れたのかもしれないよ。空奈は強いし、反動があるのかも」
「遅刻でしょうか…、心配です」
「電話にも出ないしな。なんともないと良いんだが…」
そんな温人の心配は的中する。
その頃、空奈の前にはユウキが立ちはだかっていた。
「火の能力者、見ーっけ」
「なによあんた、見かけない顔ね。バッド達の仲間?」
「そうよ、私はユウキ。まあ、よろしく」
「私になんの用?」
「アンタ、能力者の中で強いから、アンタがいなくなれば光の勢力も衰えるかなーって」
「随分堂々と闘いを申し込んでくるのね? いいわ、相手になってあげる! ファイヤークロス!」
空奈は即座に変身し、早速ユウキに向かって攻撃するも、ユウキは器用に攻撃を避ける。
平行線のまま戦いは続くが、隙を見てユウキは小瓶を投げた。
「なっ! なによこれ!?」
中の液体が零れ、空奈にかかると、みるみる意識が遠のき空奈はその場に倒れた。
「ふっ、道具もうまく使わないとね?」
ユウキは空奈を抱えて体育館裏の倉庫に拘束し、空奈のクロスを奪い手中に収める。
「あとは他の能力者をおびき出して全員分のクロスを奪えばトントン拍子」
ちょうど授業が終わった頃、ふと優美は胸元に異変を感じクロスを見やると赤く光っていた。
「これって…、もしかして空奈さんが危ないサイン!?」
優美は温人達にも知らせず、一目散に教室を飛び出す。
クロスは空奈のいるであろう方向へと赤く光差していた。
辿り着いた先は体育館裏。
「いらっしゃい、待ちくたびれちゃった」
「あなたは…? バッド達の仲間ですか!?」
「初めまして、だったわね。私はユウキ。先日は姉と妹達がお邪魔したみたいで、挨拶にきたの」
優美はすぐさま拘束されていた空奈の元に駆け寄る。
「空奈さん、空奈さん! 大丈夫ですか!?」
「う…」
拘束を解こうとするが固く縛られており、なかなか解けない。
「アンタ、覚醒したばかりで能力使えないんでしょ?」
「くっ…!」
「よく1人でノコノコきたね、そこは褒めてあげるよ」
高らかに嘲笑いながら彼女は優美を眺めていた。
それをキッと睨み付ける優美。
ふと、彼女の手の中に光る空奈のクロスに気付く。
「それは空奈さんのクロス! 返して!」
「返してほしいなら力付くで奪ったら? ま、私なんかが手を出さなくても勝手にやられておしまいだけど」
ユウキが空奈のクロスを高らかにかざすと、クロスは暗黒の霧に包まれると同時に空奈が目を覚ます。
「空奈さん! 良かった、目が覚め……」
「フレイムショット!!」
「きゃあ!」
目を覚ましたかと思えば、空奈は優美に容赦なく攻撃をしてきた。
「空奈さん! 目を覚まして…」
空奈は目が虚ろで、まるで綾乃の時と同様、操られているかのようにユウキの指示で次々と優美を狙い続ける。
能力も使いこなせない、使えたとしても空奈相手に戦うなんてことも出来ない。
優美は必死に攻撃をかわすので精一杯だった。




