第9話 狙われた守護神
綺羅と士季は、双子の兄弟で優美達の通う学校の生徒である。
学生生活を過ごしながらも影で闇のサポートをしていた。
生徒として紛れながらも優美達を観察していた為、2人には誰が能力者で誰がシャインクロスの持ち主かは既に見当がついていたのだった。
「綺羅先輩、こんにちは!」
「はい、こんにちは」
「きゃあ! 綺羅くんかっこいい〜!」
「ありがとうございます」
紫燈綺羅は、かなりの美男子で周りからとにかくモテていた。
3年生が受験シーズンのため生徒会の任期が代わり、綺羅が生徒会長に就任してからは歩くだけで声をかけられる。
一方、弟の紫燈士季はいわゆる不良で、周りからはかなり恐れられ避けられていた。
学校にもロクに顔を出していない。
その様子を影で見ていたウィンディとシールドは、綺羅から不穏な気配がしている事に気が付いていた。
「紫燈綺羅、怪しいですわね」
「ああ、微量ながらの闇の気配を感じるな」
綺羅は生徒達をうまく笑顔で交わすと、気づけば二人の背後に瞬間移動していた。
「バレバレですよ、お二方」
「「なっ!?」」
綺羅が指を鳴らすと、空き教室へと飛ばされ、みるみるうちに鎖のようなもので2人は拘束されてしまった。
「ちょうど僕の獲物が2人もいて手間が省きましたよ」
「この凄まじい力は何ですの? あなた、一体!」
「俺たち2人を捕まえて何になる?」
「シャインクロスだけが目的な訳ではないのですよ。あなた達2人の力は他の能力者よりも強く気高い。その力を奪えば更に闇の力になると思いまして」
「まんまとやられましたわね」
「それに、あなた達2人の危機となると、うまく行けば光の誰かが助けに現れるかと。まあ、気長に楽しむことにしますよ」
鎖が締め付けられると、二人の変身が解ける。その姿は転校してきた春夏と真だった。
二人はいつの間にか意識を手放した。
一方その頃、士季は屋上で黄昏れていた。
「ふぁ〜あ、ねっむ」
久しぶりに学校へ来たものの、来たら来たで怠惰であり、教師は口うるさく説教をしてくるためサボっていた。
「刃霧って奴、探しに来たのにいないんじゃ意味ねえだろ。帰るか」
ターゲットの刃霧亜衣を探しに学校へ来た訳だが、どうやら刃霧も中々学校へは来てないようだ。
怠い体を起こし、屋上から下を見下ろすと、どうやら探していた人物、刃霧亜衣が遅れて登校してきていた。
「あ、見ーっけ」
士季は屋上だというもののそこから飛び降り、彼女の前に現れるなりグイっと力強く腕を掴む。
「探したぜ、刃霧亜衣」
「痛っ! 何だ、お前!」
「お前、刃の守護神だろ? クロス寄越せよ」
「へえ、なりふり構わずクロス集めに走ったか。シャインクロスが目的なんじゃないのか?」
「もちろん目的はシャインクロスを奪うことだ。けどよ、せっかく他にも力があるならそれも奪いたくなっちゃうだろ?」
グイっと引き寄せようとすると、刃霧は俊敏に交わし、士季の首にナイフを突きつける。
「それ以上動くと切る」
「変身しなくてもそこまでの能力値か。へえ、やるじゃん」
「お前、気に食わない」
「俺は気に入ったけどな」
「クロスは闇の手になんか渡さない」
一言、言い放つと刃霧はその場から姿を消した。
「あーあ、逃げられちまったか。まあいいや、また見つけて遊んでやるから」
士季は楽しそうに笑いながらその場を後にした。
一方、優美はクロスの光により仲間の危険を察知していた。
居ても立ってもいられず一人でその方向へ向かう。
不自然な空き教室を見つけ、入るとそこには綺羅と拘束された春夏、真がいる。
「生徒会長さん! それに、風さんと美党さん!? どうして!」
クスクスと綺羅が笑う。
「こんにちは、天空さん。やっぱり助けに来ましたか、待っていましたよ」
「どういうことですか!?」
「あなたの敵という事ですよ」
優美は身の危険を感じ、咄嗟に変身する
。
すかさずロッドをかざしながら攻撃したが、その攻撃は綺羅の手の中に吸い込まれてしまった。
「僕の能力は無、そこにあるものを無にします。なので攻撃しても無駄ですよ」
「そんなっ!」
ならば他にできることはないか、と瞬時に優美は攻撃対象を切り替える。
今度は春夏と真の拘束を解くために優美は上手く2人に向かって攻撃した。
すると、鎖が外れ2人は解放された。
「さすがライトシャイン様!」
「え?」
「ウィンディパワークロス!」
「シールドパワークロス!」
「まさか、風さんと美党さんがウィンディとシールドだったなんて!」
拘束が解け、すかさず変身した2人を見て目をぱちくりさせる優美。
春夏と真は一斉に綺羅に攻撃をしかけた。
「気絶したフリをしていたんですね。中々やりますねえ、油断していました。さすがに分が悪い、またお会いしましょう」
綺羅はその場から姿を消してしまった。
「すぐ逃げやがって」
「ライトシャイン様、お怪我は?」
「大丈夫です! それよりお2人こそ、大丈夫ですか?」
「俺たちは大丈夫だ。しかし学校にまで敵が潜んでいるとはな」
「ええ、ちょっと厄介ですわね。校内は他の生徒達もいるし争い事は避けたいところですわ」
「あと、気がかりな点が1つ。ライトシャイン様のシャインソードが出てこなかった事だ」
「確かに、前回はソードが出てきたのに。どうしてでしょう」
「あなたがシャインクロスの持ち主である事は確かですわ。でも、もしかしたらシャインクロス自体が完全体では無いのかも」
「どういうことだ?」
「時空の歪み。そのせいでバラバラになった可能性もあるし、もしかしたら覚醒がまた完全ではないのかもしれない。その辺も調べる必要があるわね」
淡々とやりとりをしている二人に必死に追い付こうとする優美は、以前、翠と名乗った彼女とのことを思い出した。
「あ、あの! 私、ルキさんにやられた時、意識を失っていて。夢の中で翠さんって方に会ったんです。その後に目が覚めて、変身できたのですよ。何か関係があるのかもしれません」
「翠が? なるほどね、これは色々調べ直さないといけませんわね。亜衣に連絡しないと」
「ライトシャイン様は坂上達と合流し、今日の出来事を話しておいてくれますか? 俺達守護神で、闇の動きやシャインクロスの謎を解明してみます」
「わ、分かりました! 何かあったら無理せず、すぐに連絡をくださいね」
優美達は一旦解散し、その場を後にした。
その頃、綾乃は体調が優れずに早退していた。
帰り道、そんな綾乃の前にルキが突然現れた。
「やあやあ♪」
「ルキ!!」
目の前に裏切り者のルキがいて、動揺を隠せない綾乃を楽しそうにルキは見ていた。




