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運命だと決めるなら 本編  作者: 徒花解
第二部 闇の目論み
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第3話 心の闇

エリアスという新しい敵に出くわしてから、フレア、リップ、ナテューアと名乗る敵が次々に現れ始めた。


フレアは炎使い。

空奈の下校中をめがけて攻撃してきた。


リップは雷使い。

綾乃の自宅周辺に現れ、襲撃してきた。


ナテューアは木使い。

リリが学校の外での研修中に襲いかかってきた。


いずれも各能力者を模したように、それぞれの属性の力で攻撃してきたのだ。

今までは仲間が危険な時にクロスは光っていた。

しかし新たな敵が出現してからは何故か反応せず、個人を狙う敵襲が増えていた。


「仁美も気をつけろよ、私らはすでに襲撃にあってきたけど、まだ仁美は襲われてない。」


「大丈夫!気をつけるよ。でも綾乃も気をつけてね、またいつ襲来がくるか分からないから。」


水使いエリアスはすでに優美と温人の前に現れている。だが、それからは現れていない。

自分もいつ襲われるか分からない中で仁美は気を張りながら過ごしていた。


(みんな、個々で狙われている。なのにちゃんと戦って、無事でいる。これってすごいことだよね。私も強くならなくちゃ)


仁美は平和主義者であり、あまり戦いを好まない。

誰だって戦いは好まないだろうが、それ以上に戦いが苦手だった。

そもそも水の能力は攻撃よりも守備に長けている。


強くありたい。でも、気弱な自分が嫌で思い詰めてしまう事もあった。

それゆえ周りの強さが羨ましいとさえ感じてしまう。


下校中、なんとなく誰かに狙われている気がして咄嗟に振り向いた。

しかしそこには誰もいない。


「…考えすぎだよね」


気を取り直して歩き出すと、黒い羽が当然大量に降り始めた。

それと同時にクスクスと不気味な笑い声が響く。


「なっ、何!?」


仁美の目の前には黒い影が出現し、そこから夜深が現れた。


「水の者よ。私と共に行かないか?」


「何言ってるの!?うんって言うわけないでしょ!それに、あなたは誰!?」


「お前の心には迷い…、そして妬みがある」


「え?」


「そうだろう? 心の奥底に渦巻く黒いものが私には見える」


「そんなこと…!」


「強さを求める故、他人を羨(うらや)む心は淀(よど)めい黒くなり、モヤとなりお前を惑わす」



「違う、デタラメ言わないで! アクアクロス!」



敵に翻弄(ほんろう)されつつも変身し、咄嗟(とっさ)に仁美は攻撃をしかける。

だが、それも虚しく、いとも簡単にかわされてしまった。



「私は夜深。人間界は久しぶりでな…、肩慣らしのためお前には犠牲になってもらう。私の霊力でお前の心を引き出そう。アンデッド」


夜深が大きな鎌を振りかざすと、霊のような黒い影が仁美めがけて襲いかかる。


「きゃっ…!」


変身したはずの仁美は、次の瞬間まるで闇のような暗い戦闘服に変わり、目は虚ろで立ち尽くしていた。


「光の者も、心に闇があるものよ。さあ、仁美、共に行こう」


仁美はニヤリと不適な笑みを浮かばせて、夜深の後についていく。

その姿を見ていた2人がいた。



「真、あれは…」


「ああ、春夏、間違いない」


「やっと見つけたましたわ。闇の最大の勢力…」





――夜深が闇の空間へ戻ると、ルイが駆け寄ってきた。


「夜深様! おかえりなさい。そいつは…!?水の能力者…!」


「ちょっとした遊び道具さ。私も実践は久しぶりなものでな…、軽い運動だ。私の霊はうまく取り憑いてくれたようだ」


「さすが夜深様。こいつを使えば光メンバー達も翻弄(ほんろう)できますわね!」


「ふーん。面白そうじゃん」


仁美に興味を示した竜一が近付くと、仁美は竜一の手を払いのけた。


「気安く触らないで」


「へえ…、ますます面白そうだ」


不適な笑みを浮かべたまま仁美はその場を後にした。



一方その頃。


「なあ、優美、仁美見なかったか?」


「いえ、見てないですね…、どうしたんですか?」


綾乃が深刻そうに話した。


「ああ、いや、ここ数日休んでるんだ。連絡も取れなくてさ。いつもなら返事がくるのにもう何日もきてない」


「もしや敵の仕業でしょうか?」


「可能性はあるな。とりあえず放課後、仁美ん家行ってみるよ。ありがとな!」


「それなら私も行きます! 心配ですし!」


「ありがとう、心強いよ! そしたら一緒に行こう!」


2人は放課後、急いで仁美の家方面へと向かった。

 

「あれ…?」


仁美の家の近所に、クロスが落ちている。

真ん中に水色の石が埋め込まれているが、どことなく色が黒い。


「これは仁美のクロス…?」


「やっぱり敵襲にあったのか…!?」


「あれ? 優美、綾乃。どうしたの?」


振り返るとそこには仁美が立っていた。


「仁美! 無事だったんだな! 全然連絡寄越さないから心配したんだぞ!」


「ごめんごめん。あ、それ私のクロスだよね?拾ってくれてありがとう」


綾乃がクロスを手渡そうとすると、優美が異変に気付く。

埋め込まれている水色の石が更にどす黒い青へと変わった。


「綾乃!! 離れて下さい!!」


「えっ…?」


「ダークアクアクロス」


優美が綾乃を庇うと、黒い影と共に2人は吹き飛ばされた。

変身した仁美の姿はまるで闇メンバーのようなオーラだ。顔つきも明らかに違う。


「仁美…!? どうして!」


「光は私の敵。アクアダークネス!!」


「くそ…! どうして! サンダークロス!」


「ライトシャインクロス!」


仁美は容赦なく2人を襲ったが、間一髪のところで2人は変身し攻撃をかわす。


「こんなことおかしい…! 絶対闇に操られているに違いない」


「仁美をなるべく傷付けずにうまく攻撃して目を覚まさせましょう!」


平行線の戦いが続く。

目の前にいるのはいくら闇に染まったとはいえ、仁美には変わりない。

2人は本気で戦えずに攻防を繰り返していた。


「ちょこまかと鬱陶しい! 本気を出させてもらう。ダークアクアスコール!!」


かなりの勢いが増した鋭い雨が優美達を襲う。

交わしきれずに攻撃を諸(もろ)に受けそうになったその時だった。


「アウラーショット!」


「ブラックローズ!」


強い風と、黒い薔薇が仁美めがけて降りかかる。


「くっ! 何者だ!?」


「風の守護神、ウィンディ」


「美の守護神、シールド」


「え…? 新しい能力者…?」


「闇の思い通りにはさせませんわ」


「覚悟しな」



圧倒的オーラを放つ謎の人物2人は、容赦なく仁美に攻撃をしかけようとした。

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