第1話 新たな勢力
ブラック姉妹とデッドの戦いから数ヶ月。
闇の気配は消えていないものの、特に闇側からの襲撃もなく優美達は平穏な日々を過ごしていた。
そんなある日、早朝にルキから収集がかかる。
優美、温人、空奈、仁美、綾乃の五人は学校から少し離れた公園に集まった。
「みんな、おっひさー!」
相変わらずテンションの高いルキに温人はため息をついた。
「お前、ほんといつも唐突だよな。で? 今日は何で集まったんだ?」
「みんな平和ボケしてると思うけど、闇は消えたわけじゃない。ってことで、海外から助っ人を呼んできたのさ!」
「ええ!? 海外から!?」
全員が驚いていると、ルキの後ろから緑色の綺麗な髪をした女性と、銀髪の長身の男性が現れた。
「「Hello!」」
2人は英語で何やら話し始めたが、優美達は全く聞き取れず。
そんな中、英語を習っていた綾乃が入り、3人でスラスラと英語で楽しそうに話し始めた。
「おい…」
「ちょい! 何言ってるかさっぱりだよ!」
温人と仁美がツッコむと、緑色の髪の女の子が振り向いて笑った。
「ゴメンナサイ! つい癖で!」
「日本語しゃべれるんかい!」
空奈も続けてツッコみ、肩を竦める。
「私はリリ。木の能力者です」
「俺はレオン。地の能力者だ」
「今、世界が闇の危機に晒されていると聞き駆けつけました。皆さんよろしくね」
リリとレオンがお辞儀をすると、陽気な声でルキが続く。
「そういう訳だから、こちらの勢力も増えたってことさ。心強い味方だから仲良くしてあげてねん♪」
「本当、いつも唐突なんだよなぁ」
「でも、仲間が増えて心強いですね! お2人ともよろしくお願いします!」
和気藹々《わきあいあい》と優美達が挨拶を交わしていると、声のトーンを変えルキが言葉を続けた。
「敵はシャインクロスを必死に探しているはず。シャインクロスは強大なパワーを持っていて、闇側の手に渡ってしまうと世界はあっという間に闇に包まれてしまうだろう。ブラック姉妹とデッドの戦いを経て、闇側もパワーアップしてくると推測し助っ人を呼んだのさ」
「今はシャインクロスの行方は分からないんですか?」
「天界の情報によると、クロスが人間界に散らばった時に歪みで誰かの能力者体内に入り込んだらしい。誰の体内にあるかは分からないけど、ものすごいパワーがあるのは確かだよ」
「天空が覚醒してすぐ狙われただろ? それに光の使い手、となると天空がシャインクロスの持ち主である可能性は高いよな」
温人が推測しながら話す。
「シャインクロスの力は凄まじい。更に覚醒した時に現れるはず。その時、誰が持ち主かわかるだろうね。いつ敵襲がくるかもわからない、みんな気をつけて行動してね」
リリとレオンの2人は留学生として、今後国際学校に通うらしい。
学校も始まるため、二人とはその場で解散した。
優美達も準備し学校へと向かう。
ホームルームの鐘が鳴ると、担任がいつもの様に教室へ入ってきた。
「今日は転校生を紹介するぞ」
「どんな子だろう?」
「楽しみ!」
教室がザワザワし始める中、2人の生徒が入ってきた。
すると教室はすぐに静まり返る。
「風 春夏です。皆さんよろしくお願いしますわ」
綺麗な空色にクルクルとパーマがかった髪、まつ毛が長く整った美しい女子生徒が一人。
男子生徒達のテンションは上がり、美人! やべえ! と周りから声が上がる。
「美堂 真だ。勘違いされたら悪いから言うが…、女だ。よろしく」
春夏の隣に居たのはオレンジ色の短髪、低めの声にキリッとした目、整った顔立ち。
制服は男子生徒のものを着ている中性的な女子生徒。
こちらは女子生徒達がキャーキャー言いながらザワついた。
春夏が指定された席に向かう。
男子生徒が春夏に夢中な様子を見て面白くない女子生徒グループが呟いた。
「転校初日から調子に乗ってんじゃないわよ」
春夏は笑顔で振り向く。
「あら、嫉妬かしら? 幼稚園児じゃあるまいし」
「なっ!」
物応じせず圧倒的オーラを放つ春夏に女子生徒達は反抗すら出来なかった。
真に対しては、男子生徒達がからかう。
「あいつ、女のくせにどう見ても男じゃん!」
「スカート履いたら似合わなそー!」
真は無言で指の骨を鳴らしながらクールに笑い、男子生徒の前に立つ。
「ああ、またケガ人が増えちゃうな」
男子生徒達も反抗できず、青ざめながら目を逸らす。
その様子を見た温人は本日二度目のため息をついた。
(とんでもねえ転校生だな、なるべく静かであってくれ)
面倒事が嫌いな温人はクラスが乱れないことをただ祈る。
「素敵な転校生さん達です!!」
その一方で優美は新しいクラスメイトに目を輝かせている。
優美の姿を見て温人は心配そうに三度目のため息をついた。
新しい仲間、リリとレオンの加入やら、転校生やらでまた慌ただしい日々が続きそうな予感である。
こうしてあっという間に1日を終え、帰宅すると優美はルキの話を思い出していた。
(敵が強くなっている。シャインクロスを守らないといけない、でも誰が持ち主かも分からない。気を引き締めないとですね)
そんなことを考えていた矢先、優美のクロスが黄色に光った。
「これは? 敵の気配!?」
いても立ってもいられず、優美は家を飛び出しクロスの光指す方を頼りに歩き始める。
辿り着いた先は、今日皆で集まった公園だった。
「天空? お前も来てたのか」
「坂上くん! どうしてここに?」
「クロスに反応があってな。気になって来たらここの公園だったんだ」
「私もです!」
「こんばんわっ!」
「きゃあ!?」
突然背後から声がして振り向くと、変わった服装の水色のおだんごヘアの女の子が立っていた。
「こ、こんばんは」
「おい、何挨拶してんだよ! どう見ても敵だろ!」
「ピンポーン! 私、水使いのエリアス! 今日は挨拶しにきたの!」
「新たな敵か!」
変身しようとする2人に、エリアスは話しかける。
「待って待って! 今日は挨拶って言ったでしょー? 2人に質問です! なってみたいのは女と男、どっちー?」
敵であるにも関わらず、そんな雰囲気のないエリアスに流されつい変身を止めてしまう。
「男の子になってみたいです!」
「なってみたい、って聞かれてるんだから女だろ」
陽気なエリアスに調子を持っていかれてしまい、律儀に答える2人。
「はいはーい! じゃあエリアスが2人の願いを叶えてあげるね! スイッチ!」
エリアスが唱えると青色の光が2人に降りかかった。
しかし、攻撃ではなく光を浴びただけであり優美と温人はポカンと立ち尽くす。
「じゃ、またね! 今度は一緒に戦おうね〜!」
それだけ言って、エリアスは消えてしまった。
「な、なんだったんだ…」
「なんだか敵とは思えない人でしたね。あれ?」
優美が温人の方を見ると、そこにはなぜか自分の姿があった。
「はあ、振り回されただけだったな。帰ろう」
「さ、坂上くん」
「どうした? 早く帰ろうぜ…って、なんだこれ!!」
温人は優美の方を見てやっと状況を知る。
目の前には優美がいるはずなのに、温人の視線の先には温人がいる。
「私たち、入れ替わってる!」
「俺たち、入れ替わったんだ!」
信じられない状況に、二人の声は空しく公園に響き渡った。
第2部、スタートです。
この章では、闇の謎に迫っていきます。
光と闇の戦いの真相や各キャラの心情も大きく動いていくので見どころです。
今後も応援のほど、よろしくお願いします!




