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運命だと決めるなら 本編  作者: 徒花解
第一部 光の序章
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第19話 新たな始まりへ

優美達の光に包み込まれたデッド、ブラック姉妹は闇の姿ではなく本来あるべき人間だった時の姿へと変わっていく。

その表情に闇はなく、浄化されたかのように穏やかだった。

 

「ありがとう、空奈。あなたに会えて良かった」


「美斗…」


「仁美、あなたの真っ直ぐさに私も前を向けたわ。ありがとう」


「亜久亜…!」


「綾乃、今度はアンタみたいに強くなりたい。頑張るわ、ありがとね」


「優輝…」


3人は優しく微笑むと、暖かな光の玉となり、魂は空へと昇っていった。


それを見上げるバッド改め、光理はしばらくの沈黙後、優美の方を振り返り口を開く。


「天空優美…、私はアンタが好きじゃない。でも、どうしてかしらね。アンタには不思議な力がある。心を溶かすような…」


「バッド…。いいえ、光理さん。たくさん傷付いた分、あなたは必ず幸せになれます! 私、祈ってます、光理さん達が幸せに生きれるようにって!! 心から祈ります!」


優美は泣きながら叫ぶ。


「アンタは優しくて美しいのね、だから優美…、か。感謝しているわ、ありがとう」


気恥ずかしそうに優美の涙を拭うと、光理は微笑み空を見上げた。

デッドは光理の近くに寄り添い、優美達に向けて頭を下げる。


「ありがとう、光の者達よ。愚かな私を許してほしい。君たちの願いと、この能力に感謝して、今度こそやり直そうと思っているよ」


「デッド…」


温人は落ち着いた眼差しで彼を見つめる。


「君は、自分が思っているよりも強く優しく、温かい。自分の力を信じるのだよ。さあ、そろそろ時間かな。光の者達よ、さよならだ」


バッド、デッドの魂もまた、ゆっくりと天へと上っていく。

優美達はその光が消え、見えなくなるまでずっと空を見上げ、ブラック姉妹達を見送った。







数日後ー



優美はいつもの様に登校していると、小さな女の子が走ってきた。


「パパ、ママ! 早くー!」


「光理、そんなに走ったら転ぶわよー!」


「大丈夫!」


「光理は元気いっぱいだなあ」


「え? 光理…?」


優美が振り向くと、その女の子はバッドそっくりの容姿の少女が走っていた。父親はデッドそっくりの容姿だった。


「待ってよお姉ちゃーん!」


その後を追うかのように今度は優輝と亜久亜そっくりの女の子も走ってくる。


母親のお腹は大きく、妊娠しているようだ。

優美は確信した。ブラック姉妹達は生まれ変わり、幸せな人生を送り始めたのだと。


「良かった…」


優美は微笑みながら、学校へと向かった。

すると道中、聞き慣れた声が後ろから聞こえた。


「天空、おはよう」


「おはようございます、坂上くん!」


「なんだか嬉しそうだな。良い事でもあったか?」


「はい、とっても嬉しいことがありました!」


ブラック姉妹達の事を話すと、温人も嬉しそうに微笑む。


「うまくいったみたいで良かった。あらためて…、天空の力はすごいな」


「そんなことないです、皆さんがいてくれたから出来たことなのですよ。ところで…、ブラック姉妹達の戦いは終わりましたが、まだ戦いは続くのでしょうか?」


平和になったものの、全てが解決した訳ではない。

本来の目的である闇から世界を救うこと。

未だに能力はあり、温人と空奈も変わらないところを見ると元凶を絶った訳では無さそうだ。


「ぐんもーにんっ! 諸君!」


「わあっ!」


そんなことを考えていると、突然ルキが現れた。


「お前はいつもいきなりだな、なんの用だ?」


「相変わらず冷たいなあ温人くんは。今回の戦い、お疲れ様! 光チームの圧勝だったね♪」


「でも、ブラック姉妹達は利用されていたんですよ。ということは、まだ闇の勢力は他にもあるということですか?」


神妙な面持ちでルキは頷く。


「僕も詳しくは分からないんだけど、そうだろうねえ。闇の気配は消えてないし」


「主犯格が必ずいるだろうな。まだ気は抜けないってことか…。それはともかくルキ、お前は天界の管理者のくせに実は全然何も知らないよな」


「えー? そんなことないよぉ、失礼だなあ。管理天使はやることが多くてねえ。人手も足りないわけ!」


「能力者もまだ他にいるのか?」


「恐らくね。僕の管理下じゃないけど、強力な能力者が3人いるって噂だよ。この3人は今、特別任務に当たってるらしいから僕も見たことないけど。そのうち会えるかもねえ」


「…もっと強くならなくちゃ、ですね」


温人と空奈は自殺した者。

生きるチャンスを得る為に戦っているが、条件達成までにはまだまだ先は遠そうだ。


「ま、そんな気張るなって!」


「わっ! 綾乃!」


後ろから、いつの間にか登校し、話を聞いていた綾乃が優美の背中をポンと叩いた。

その後ろに仁美もニコニコしながら歩み寄る。


「そうだよ優美! それに1人じゃないよ、私たちがついてるんだからね~!! あんまり悩んじゃダメだよ?」


「仁美、綾乃! ありがとうございます!」


「ちょっと! 私もいるってこと忘れないでよね!」


今度は次に登校してきた空奈が玄関から顔を出し、優美の頭をわしゃわしゃと撫でた。


「空奈さん!」


「ま、先はまだまだ長いがなんとかなるさ」


「はい! 皆さん、これからも改めてよろしくお願いしますね!」


「よーし、これからも頑張っていこーっ♪」


優美達を微笑みながら見つめていたルキだが、一瞬冷たい表情になったのを、誰も気付かなかった。










一方その頃、闇の空間では。


「良かったね、ルイ。念願のブラック姉妹達が居なくなって」


「ふふ、これでやっと私の時代! 思う存分させてもらうわ。全ては夜深さんのために」


竜一は感情が分からないほど無表情で、闇の空間から人間界を見下ろした。


「この世界には何が待ってるんだろうね。俺には何も見えないけれど」


竜一は生まれつき盲目で、視界は何も見えていない。

だが、気配で全てを捉えることができるため、まるで目が見えているかのようにやり取りが出来た。


「近々、人間界に下りて光の能力者達に挨拶しないとね。目の見えない竜一でも、嫌でも分かるわよ。光の醜さが」


「…どうだろうね」


意味深に竜一は人間界を見下ろし続けた。




そして、優美達の学校の近くで怪しげな姿が2つ。


「真、闇側は間違いなくパワーアップしているわ」


「そうだな春夏…、このままでは危ない。シャインクロスの持ち主を一刻も早く見つけないとな」


「そうね、ここに強い反応を感じますわ」


「ああ、ここを拠点に動くことにしよう」








新たな闇の動き、そして、新たな物語が今、また動き出そうとしていた。






運命だと決めるなら 第一部

ブラック姉妹&デッド編 -完-


ここまで読んで下さりありがとうございます!

ブラック姉妹&デッド編はここで完結となります。

次回から新しい章に突入です。

引き続き読んでくださると嬉しいです、応援よろしくお願い致します!

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