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運命だと決めるなら 本編  作者: 徒花解
第一部 光の序章
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第18話 過ち

闇の空間で1人、不敵に笑うルイの姿があった。


「ふふ。これで邪魔者がいなくなれば、とうとう私の時代よ」


「楽しそうじゃん」


「あら、竜一。いたの?」


髪を1つに縛り、瞳に光がない虚ろな姿。

竜一という男性がルイの元へ近付いた。


「そもそも、ブラック姉妹とデッドで抑えられないってことは光側も中々の力ってことでしょ」


「そうかしら? 闇の力が足りないのよ、奴らはもう使えない。夜深《やみ》さんだって、見限ったから好きにしろって言ったのよ」


「ふーん、どうでもいいけど」


「…闇の時代は私が変える。楽しみだわ」






一方その頃。

優美達は闇の勢力について話し合っていた。

空奈と綾乃が冷静に話し合う。


「どうして闇は味方同士で潰し合うのかしらね」


「まあ、悪役はいつだって手段を選ばないからなあ」


その傍《かたわ》ら、仁美と優美は悲しい表情で会話を続ける。


「それにしたってあまりにひどいよ」


「そうですよね…、許せません。でも、ブラック姉妹とデッドの闘いが終われば、平和が訪れるんですよね?」


今度は温人が油断ならない表情で言葉を続けた。


「なんとも言えないな、まだ黒幕がいる可能性もある。これはほんの序章に過ぎないのかもしれない」



「まあ、どっちにしろバッドとデッドをなんとかしないとな」


その日の帰り道、優美は考え事をしながら帰路につく。


(ヒート、アクア、ユウキ…。3人とも人間になった。闇の力も失った。ということは、きっとバッドも何とかできるはず…)


心の中で沸き上がる何かに突き動かされ、優美は唐突にバッドの行方を探すことにした。

根拠はないが、なんとなく優美は彼女を見つけられる気がしたのだ。


直感の命ずるままにひたすら探し歩く。

川沿いに出ると、橋の隅に座っているバッドの姿があった。

彼女はどこか遠くを見据えている。

優美の存在に気付いたバッドは優美を見下ろしながら淡々と口を開いた。


「あら、ごきげんよう」


「バッド…!」


優美の姿を見ても攻撃せずに、バッドはそのまま言葉を続ける。


「懐かしいのよ、ここ」


「え?」


「私が自殺した場所」


「うそ…」


「ヒートもアクアもユウキも記憶がないけれど私にはあるのよ。私たちブラック姉妹は愛されなかった」


「どういうことですか…?」


「私は四姉妹の長女、人間だった頃はまだ幼かった。ユウキとアクアも。ヒートはまだ母親のお腹にいたわね。でも、私が交通事故にあいそうになったところを父親が庇って亡くなった。それから全て狂ったのよ」


バッドは橋から降りて、川へと少しずつ足を沈ませた。


「母親はそれから、アンタさえいなければって私を責め続けたわ。私は殴られたり蹴られたり。そんな毎日が辛くてここで自殺したのよ。そしてその後アクアとユウキは病気と事故で亡くなり、ヒートは流産。母にとって、とんだ不幸よね」


「そんなことがあったなんて…」


「死後の世界である天界は、一見幸せそうな人間達で溢れている。でも、一部は辛い人間達の魂で埋もれた汚い世界なのよ。光ばかり求めたって、闇に埋もれる者は闇がお似合いなの。アンタにはわからないでしょ?」


「でも、利用されているかもしれないのに、それで良いんですか?」


「利用されるだけで嬉しいのよ。存在価値のなかった私にはね! だからアンタ達、光を撲滅する!」


次の瞬間、バッドは勢いよく攻撃を仕掛けてきた。


「シャインシールド!」


優美も咄嗟に変身し、攻撃を受けないよう光のシールドを身に纏った。


「あなたは…、愛されたかったんでしょう!? どうして自ら闇に染まろうとするんですか!」


「希望のない未来に光などない!」


「そんなの分からないです! 決めつけないで!」


互いに光と闇の力が交差しながらぶつかり合う。


「うっ…、すごい力…」


「サンライズエクスプレス!」


優美が少し闇の力に押されていると、温人が現れバッド目掛けて攻撃した。


「くっ! 邪魔をするな!」


「「優美!」」


「「お姉様!」」


振り向くと美斗、亜久亜、優輝を連れた空奈、仁美、綾乃も駆け寄ってきていた。3人は闇の記憶がなかったが、バッドが姉だということは覚えているようだった。


「皆さん、どうしてここに…!」


「天空はいつも無茶するからな。なんとなく来てみたらやっぱりドンピシャだ」


温人が笑って頭を撫でる。

その後ろにはデッドの姿もあった。


「デッド様、どうして…!」


「バッド、私はどうかしていたようだ。記憶も取り戻した。そう、私は君たちの父親だ」


「え? うそ…」


「お姉様、もうやめましょう…。もう、こんな辛いことはしなくて良いから」


亜久亜がバッドの手を取る。


「もう十分でしょ。やめようよ、そんな辛いお姉様見たくない」


優輝がバッドの肩を撫でる。


「お姉ちゃん、やり直そう。私たち、きっとこれからは大丈夫だから。仲良くしたいよ…!」


美斗がバッドを抱きしめた。

そして、温人が言葉を続ける。


「デッドも利用されていたんだよ。闇の主はどうやらこいつらじゃなかったようだ」


実は、優美が単独行動をしている裏で温人はデッドを見つけ出し、闘っていたようだ。

そこでデッドの記憶を取り戻したという。


「バッドよ、母は最後まで君を愛していたよ」

 

「う、嘘よ…、そんなの」


「私は事故で亡くなった後、天界から全てを見ていた。全てを失った君たちの母親は失ってから気付いたんだよ、自分の過ちに。最後は彼女も自殺した。バッドよ、君の人間だった頃の名前を知っているかい?」


「知らない…、覚えてないわ」


「光理《ひかり》。光のように眩しく、という意味で彼女が名付けたんだよ」


「光理…」


「君たち姉妹の名前には大切な意味がある。でも、母親も過ちを犯してしまった。私もやり直せるチャンスをと、闇の手を取ってしまったが…、それが間違いだった。君たちを巻き込んでしまってすまなかった」


デッドは四姉妹を優しく抱き寄せた。


「辛い想いをさせたね。やり直そう、また一から」


バッドはずっと我慢していた何かが溢れて涙が止まらなかった。


「天空の力と、俺たちの力を合わせてデッド達の魂を解き放とう。また一からやり直せるように」


「そうね! きっと出来るわ」


「ああ、やろう! 優美なら大丈夫!」


「きっとうまくいくよ!!」


「…はい!」


空奈、綾乃、仁美は目を閉じてクロスを掲げる。

優美はロッドを両手でしっかり持ち、3人の力を受け止める。

そこに温人も手を添えると、膨大な光がロッドから溢れ出た。


「シャイニーシャボンリセット!」


光は瞬く間にデッドとブラック姉妹を包み込んだ。

そして今回初登場、竜一とは何者なのか?ルイの思惑とは?

次回、第一部最終話です、お楽しみに!

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