表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/18

第7話 違和感の正体

「くそっ……!」


ガルドは剣を振り下ろし、目の前の魔物をなんとか斬り伏せた。


だが、その動きには明らかな余裕がなかった。


「数が多い! 後ろ、下がれ!」


「分かってる!」


仲間の声が飛ぶ。


いつもなら、問題なく処理できる程度の依頼。

それなのに――


「ぐっ……!」


側面から回り込まれ、ガルドが体勢を崩す。


すぐに立て直すが、追撃を受ける。


「チッ……!」


(なんだ、今日……やけにキツいぞ)


一体一体は、強くない。

だが、噛み合わない。


連携が微妙にずれている。


「回復は!?」


「もう使った!」


後方から焦った声が返る。


「はあ!?」


ガルドは思わず振り向いた。


「早すぎるだろ!」


「無理だよ! ダメージが多すぎるんだ!」


普段なら、ここまで削られることはない。


防げていたはずの攻撃。

受け流せていたはずの一撃。


それが、確実に当たっている。


「……なんだこれ」


思わず漏れる。


感覚が狂っているわけじゃない。

明らかに、何かが足りない。


「くそっ……一旦引くぞ!」


ガルドが叫ぶ。


これ以上は危険だ。


「退け! 無理するな!」


どうにか隙を作り、後退する。


魔物たちの追撃を振り切り、森の外へ。


しばらく走り、ようやく足を止めた。


「はぁ……はぁ……」


全員が荒い息を吐く。


誰もが無傷ではない。


軽傷とはいえ、ここまで消耗する依頼ではなかったはずだ。


「……おかしいだろ」


ガルドが吐き捨てるように言う。


「いつもなら、こんなの余裕で――」


言葉が止まる。


頭の中で、何かが引っかかった。


「……いや、待て」


一人、ぽつりと呟く。


「前は、もっと楽だったよな?」


「……ああ」


別の仲間も頷く。


「こんなに被弾すること、なかったはずだ」


「回復も、こんなに減らなかったし……」


次々と、違和感が言葉になる。


「なんでだ?」


ガルドは眉をひそめる。


実力が落ちたわけじゃない。

むしろ、ここ最近は順調だった。


それなのに――


「……噛み合ってない」


誰かが言った。


その一言で、全員が黙る。


噛み合っていない。


確かに、その通りだった。


攻撃のタイミング、防御の位置取り、回復の効率。

どれも微妙にズレている。


「そんなはずねぇだろ」


ガルドが吐き捨てる。


「俺たちはずっとこのメンバーでやってきたんだぞ」


だが、その声には確信がなかった。


そして。


ふと、ある顔が浮かぶ。


「……」


一瞬だけ、沈黙。


「……いや」


すぐに首を振る。


「関係ねぇ」


そう言い切る。


だが――


「……あいつがいた時は」


誰かが、ぽつりと呟いた。


その言葉に、空気が止まる。


「あいつ?」


「……レインだよ」


名前が出た瞬間、全員が視線を逸らした。


思い出したくないものを、思い出してしまったように。


「……いやいや、ありえねぇだろ」


ガルドが即座に否定する。


「あいつは何もしてなかった」


「後ろで突っ立ってただけだ」


自分に言い聞かせるように、言葉を重ねる。


だが。


「でも……」


誰かが続ける。


「妙に、安定してなかったか?」


「……」


反論できない。


確かに、あの頃は。


今よりもずっと、楽に戦えていた。


「……偶然だ」


ガルドが低く言う。


「ただの偶然だろ」


そうだ。


そうに決まっている。


あいつは無能だった。


だから追い出した。


それで正しい。


「……だよな」


誰もが、そう思おうとする。


だが、心の奥に残る違和感は消えない。


そして、ついに――


「……あいつがいたから、だったりしてな」


誰かが、冗談めかして言った。


その言葉は、軽かった。


だが。


誰も、笑わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ