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追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


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第6話 初依頼

「最初はこの辺りが無難ですね」


掲示板の前で、リリアが一枚の依頼書を指差した。


内容はシンプルだ。


――街道付近の魔物の間引き。


「難易度も低めですし、報酬も悪くありません」


「じゃあ、それにしましょうか」


レインは迷いなく頷いた。


特にこだわりはない。

まずは様子を見るのが目的だ。


依頼書を剥がし、受付へ提出する。


「この依頼でお願いします」


「確認しました」


エルナが書類に目を通す。


一瞬だけ、レインに視線を向けた。


「……お気をつけて」


短い言葉だったが、どこか意味深だった。


「はい」


レインは軽く手を振り、リリアと共にギルドを後にした。


街道を少し外れた草原。


背の低い草が広がり、視界は開けている。


「この辺りですね」


リリアが周囲を見回す。


「報告では、小型の魔物が数体ほど出ると」


「なるほど」


レインも軽く頷いた。


(第2話の感じだと、そこまで苦労はしなさそうだけど……)


そんなことを考えていると。


地面が、わずかに揺れた。


「……?」


「レインさん」


リリアの声が少しだけ低くなる。


視線の先。


草をかき分けるようにして、現れたのは――


明らかに“想定外”の存在だった。


巨大な体躯。

鈍く光る皮膚。

低く唸るその姿は、小型とは到底言えない。


「……これ、報告と違いませんか?」


リリアが息を呑む。


「そうですね」


レインも素直に頷いた。


(これはちょっと強そうだな)


少なくとも、“間引き対象”ではない。


一歩、魔物が前に出る。


圧迫感が一気に増した。


「下がっててください」


リリアが杖を構える。


だが、その声にはわずかな緊張が混じっていた。


「いや、大丈夫ですよ」


レインが軽く前に出る。


「え?」


「一匹ですし」


あまりにも軽い口調だった。


(この人は……)


リリアは一瞬だけ迷う。


だが、止める間もなく――


魔物が地面を蹴った。


一気に距離を詰め、牙を向ける。


「――!」


普通なら回避すら難しい速度。


だが。


「ちょっとだけ、抑えて――」


レインは、いつもの調子で手を上げた。


次の瞬間。


魔物は、消えた。


爆発も、衝撃もない。


ただ、そこにあった巨大な存在が、跡形もなく消滅する。


風が、わずかに揺れるだけ。


「……え?」


リリアの声が、遅れて漏れる。


さっきまで感じていた圧力が、完全に消えていた。


「今の……」


言葉が続かない。


理解が追いつかない。


「んー……」


レインは少しだけ考えて、


「やっぱり、ちょっと強かったですね」


と呟いた。


「でもまあ、問題なさそうでよかったです」


問題しかない。


リリアは心の中でそう断言した。


(やっぱりおかしい……)


確信が、より強くなる。


あれは戦闘ではない。


ただ、“結果だけが発生した”ような現象。


「レインさん」


思わず名前を呼ぶ。


「はい?」


「……いえ、なんでもありません」


今はまだ、聞くべきではない。


そう判断して、言葉を飲み込んだ。


その後、周囲を軽く確認する。


他に目立った魔物はいない。


依頼内容としては、すでに十分すぎる成果だった。


「これで報告できますね」


「そうですね」


レインは特に気にした様子もなく頷く。


二人はそのまま町へ戻ることにした。


ギルドへ帰還。


依頼達成の報告を行う。


「……討伐完了、ですね」


エルナが書類を見ながら確認する。


「はい」


「対象は?」


「えっと……ちょっと大きめのが一匹」


レインが答える。


その言葉に、エルナの手が止まる。


「大きめ、とは?」


「このくらいですかね」


軽くジェスチャーで示す。


周囲の冒険者が、その様子を見てざわつく。


「おい、それって……」


「この辺に出る規模じゃねぇぞ」


「新人が倒したってのか?」


ざわざわと、声が広がる。


エルナは一度だけ目を閉じ、思考を整理した後――


「……確認は取れています。報酬をお渡しします」


淡々と処理を進める。


だが、その視線は明らかに変わっていた。


ギルドを出た後。


中では、すでに話が広まり始めていた。


「聞いたか? あの新人」


「初依頼であれ倒したらしいぞ」


「いやいや、ありえねぇだろ」


「でも受付が認めてたぞ……?」


疑いと興味が入り混じる。


そして、誰かがぽつりと呟いた。


「……なんかヤバいの来たんじゃね?」

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