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追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


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第16話 理解不能

帰り道。


森を抜けるまでの間、会話はほとんどなかった。


「……」


カレンは無言で歩きながら、何度もさっきの光景を思い返していた。


三体の上級魔物。


同時に消滅。


一瞬で。


(ありえない)


頭の中で、何度も否定する。


だが――


(でも、実際に見た)


事実が、思考を上書きしてくる。


「……」


足が止まる。


「ちょっと、待ちなさい」


振り返る。


レインとリリアも足を止めた。


「どうかしましたか?」


レインはいつも通りの調子だ。


その態度が、余計に苛立ちを呼ぶ。


「……説明して」


カレンはまっすぐに言った。


「さっきの、何?」


「えっと……」


レインは少し考えて、


「普通に倒しただけですけど」


と答えた。


「普通って何!?」


思わず声が荒くなる。


森に響くほどの勢いだった。


「いや、あの……」


「三体同時よ!? しかも上級!」


一歩、詰め寄る。


「詠唱もなし、動作もほぼなし、気配すら感じない!」


矢継ぎ早に言葉が出る。


「どうやったの!? 理屈は!?」


「理屈……ですか?」


レインは首を傾げる。


本気で分かっていない様子。


それが、さらにカレンを追い詰める。


「魔法? スキル? それとも何かの道具?」


「うーん……」


少し考えて、


「よく分からないです」


と答えた。


「は?」


完全に、思考が止まる。


「分からないって何よ」


「使えるから使ってるだけなので……」


「……」


言葉が、出ない。


理屈が通じない。


分析が成立しない。


(なんなのよ、これ……)


今まで積み上げてきた経験も、知識も、すべて意味をなさない。


「……おかしいでしょ!」


ついに、感情が爆発した。


「そんなの、ありえないのよ!」


強さには段階がある。


積み重ねがある。


理論がある。


それを全部無視した“何か”。


「こんなの……こんなの……!」


言葉が続かない。


「でも、できてますよ?」


レインが、あっさりと言った。


その一言で、完全に止まる。


「……」


否定できない。


現実がある。


結果がある。


「……」


カレンは、ゆっくりと息を吐いた。


怒りが消えたわけではない。


だが、それ以上に――


納得できない。


理解したい。


「……もう一回」


ぽつりと呟く。


「もう一回、見せなさい」


顔を上げる。


その目には、はっきりとした意志があった。


「今度は、ちゃんと見る」


逃さない。


理解するまで。


「なるほど」


レインは素直に頷く。


「いいですよ」


あっさりと承諾する。


「どうせなら、もう少し強いのでも大丈夫です」


「……は?」


一瞬、何を言われたのか分からなかった。


「今のだと、あまり分かりやすくないかもしれないので」


本気で言っている。


それが分かるからこそ、頭が痛くなる。


「……」


カレンは額に手を当てた。


(頭がおかしくなりそう……)


だが――


「いいわ」


ゆっくりと顔を上げる。


「受けて立つ」


もはや引く気はない。


「次は、私が納得するまで付き合ってもらう」


完全にスイッチが入った。


リリアはその様子を見て、小さく息をつく。


(完全に巻き込まれましたね)


だが、悪い流れではない。


むしろ――


(これで仲間になる流れですね)


確信に近い予感があった。


「じゃあ、次はどこに行きます?」


レインがいつも通りに聞く。


その無邪気さが、逆に頼もしい。


「決まってるでしょ」


カレンは即答した。


「もっと強いのが出る場所よ」


迷いはない。

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