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追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


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第13話 評価の可視化

「……報告、以上です」


書類が一枚、カウンターに置かれる。


エルナはそれを受け取り、静かに目を通した。


――複数パーティ推奨依頼。

――想定外の上位個体出現。

――単独処理。


「……」


ペン先が、わずかに止まる。


周囲ではすでにざわめきが広がっていた。


「また、あいつだろ?」


「さっきの新人……レインだっけか」


「今度は何やったんだよ」


好奇と不安が混ざった声。


だが、エルナは気にせず読み進める。


「目撃証言、複数一致……」


「戦闘時間、ほぼゼロ……」


「被害、軽微……」


一つずつ、事実を確認していく。


そして、最後に結論だけが残る。


「……単独での制圧」


小さく、口にする。


それはもはや“例外”ではない。


“結果”として積み重なっている。


「おい、どうなんだよ」


カウンターに寄りかかるようにして、冒険者が尋ねる。


「本当にあいつがやったのか?」


「報告はすべて一致しています」


エルナは淡々と答える。


「虚偽の可能性は低いと判断します」


「マジかよ……」


周囲のざわめきが一段階大きくなる。


「一回ならまだしも、連続だぞ?」


「もう偶然じゃねぇだろ」


「じゃあ何だよ……」


答えは出ない。


だが、誰もが同じ方向に考え始めている。


「……エルナ」


奥から声がかかる。


振り向くと、ギルドの職員が立っていた。


「その件、上に回すか?」


「はい」


即答だった。


迷いはない。


「現行のランクでは、明らかに評価が不足しています」


書類をまとめながら続ける。


「再測定が不可能である以上、実績ベースで判断するしかありません」


「……だな」


職員も頷く。


測定器は壊れたまま。


数値化はできない。


だが――


「結果だけ見れば、上級相当か」


「はい」


エルナは静かに言い切った。


その言葉は、すぐに周囲へ伝わった。


「……今、上級って言ったか?」


「新人が?」


「いやいや、冗談だろ」


だが、笑う者はいない。


むしろ、誰もが真剣だった。


「でもよ……」


一人が呟く。


「実際、やってること見たら……納得するしかねぇよな」


「……」


否定できない。


目撃した者ほど、理解してしまっている。


あれは――


普通ではない。


その少し離れた場所で。


レインはいつも通り、掲示板を見ていた。


「次はどれがいいですかね」


「……少し、落ち着いた方がいいかもしれません」


リリアが小声で言う。


「すでにかなり注目されています」


「そうなんですか?」


レインは振り返る。


周囲の視線に気づいていない様子はないが、特に気にもしていない。


「ええ。評価が……上がりすぎています」


「評価?」


「はい。おそらく、近いうちに――」


そこまで言いかけて、言葉を止める。


(もう決まる)


そう直感した。


「レインさん」


エルナが、カウンターから声をかけた。


その声で、場の空気が一瞬で静まる。


「少し、お時間よろしいですか」


「はい?」


レインが近づく。


全員の視線が、その動きを追う。


「今回の依頼についてですが」


エルナは書類を手に取り、まっすぐに言った。


「現行のランクでは、適正な評価ができていません」


「そうなんですか?」


「はい」


短く頷く。


「そのため、あなたのランクについて再検討を行います」


ざわめきが、再び広がる。


「再検討って……」


「昇格か?」


「いや、それどころじゃ――」


声が重なる。


エルナはそれを無視して続けた。


「正式な通達は後日になりますが」


一拍置いて――


「上級相当として扱う方向で調整中です」


静かに告げる。


「……は?」


誰かが声を漏らす。


それは驚きというより、理解不能の響きだった。


新人が、上級。


常識が、崩れる。


「えっと……」


レインは少し考えて、


「よく分かりませんけど、ありがとうございます」


と答えた。


そのあまりにも軽い反応に、周囲がさらに沈黙する。

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