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追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


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第10話 価値

「……そんなはず、あるかよ」


ガルドは低く呟いた。


目の前の机には、一枚の報告書。


そこに書かれている内容は、到底信じられるものではなかった。


――新人冒険者、単独討伐。

――対象、上級相当。


「ふざけんな……」


紙を握り潰しそうになるのを、辛うじて堪える。


「何かの間違いだろ。記録ミスとか、そういう……」


「いや、それがさ」


仲間の一人が、気まずそうに口を開く。


「目撃者、結構いるらしい」


「は?」


「しかもギルドで揉めて、実力も見せたって」


「……」


嫌な汗が、背中を伝う。


「レオンもいたって話だ」


その名前に、ガルドの表情が固まる。


「……あいつが?」


「ああ。で、“十分だ”って言って引いたらしい」


つまり。


認めた、ということだ。


「……嘘だろ」


声が、かすれる。


あのレオンが、わざわざ関わって、そして引いた。


それが意味することは――


「……本物、ってことかよ」


誰かが、ぽつりと呟いた。


「でもよ」


別の仲間が続ける。


「名前、レインなんだろ?」


「……ああ」


ガルドはゆっくりと頷く。


否定したかった。


だが、状況がそれを許さない。


「同じ名前の別人って線は?」


「このタイミングで、そんな都合よくいるか?」


「……だよな」


沈黙が落ちる。


もう、逃げ道はなかった。


「……確認するか」


ガルドが立ち上がる。


「ギルドに行けば、はっきりする」


数分後。


ギルドの中は、まだざわついていた。


「例の新人、さっきも――」


「いやマジで意味わかんねぇって」


噂は消えるどころか、さらに広がっている。


その中心へ、ガルドたちは進んだ。


「……おい」


カウンターに手をつく。


「レインってやつ、いるか?」


エルナが顔を上げる。


その目は、すぐに状況を理解したようだった。


「現在は外出中です」


淡々とした返答。


「……そうか」


ガルドは短く答える。


「じゃあ、こいつを見せろ」


報告書を指で叩く。


「これ、本当か?」


エルナは一瞥し、すぐに答えた。


「事実です」


迷いのない声。


「……っ」


ガルドの喉が詰まる。


「単独で、討伐を完了しています」


「ありえねぇ……」


思わず漏れる。


「何かの間違いじゃ――」


「ありません」


きっぱりと遮られる。


「複数の証言、及び現場確認済みです」


逃げ場はない。


「……」


ガルドは、言葉を失った。


頭の中で、過去の光景がよぎる。


後ろに立っていた、あの男。


何もしていないと思っていた存在。


「……」


違う。


本当に、何もしていなかったのか?


「……いや」


小さく否定する。


だが、その声には力がなかった。


ギルドを出た後。


誰も口を開かなかった。


ただ、重い空気だけが続く。


やがて――


「……どうする?」


仲間の一人が、恐る恐る尋ねる。


「このままじゃ、正直キツいぞ」


実際、すでに影響は出ている。


今日の依頼も失敗しかけた。


今後は、さらに厳しくなる。


「……」


ガルドは黙ったまま歩く。


拳を強く握りしめる。


プライドが、邪魔をする。


だが――


現実は、無視できない。


「……戻ってこさせるべきか?」


絞り出すように、言った。


その言葉に、全員が顔を上げる。


「本気か?」


「……分からねぇ」


ガルドは顔を歪める。


「でも、このままじゃ――」


言い切れない。


認めたくない。


だが、必要だと分かってしまった。


「あいつがいれば……」


そこまで言って、口を閉ざす。


一方、その頃。


「次はこれ、どうですか?」


リリアが一枚の依頼書を差し出す。


レインはそれを受け取り、目を通した。


内容は、これまでとは明らかに違う。


――複数パーティ推奨。

――危険度、高。


「ちょっと難しそうですね」


「はい。でも……」


リリアは、ちらりとレインを見る。


「レインさんなら、大丈夫だと思います」


その言葉には、確信があった。


「そうですか?」


レインは少し考えて――


「まあ、行ってみるか」


と、軽く答えた。


その一言で、決まる。


次の舞台が。

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