614.【後日談7】猫パ その17
・大鍋商会会長、橘若菜視点
猫パの最初の班対抗ゲーム、宝探しが終わった。
今は5分間のトイレ休憩時間。
高身長の黒髪男、ダンジョンマスターの伊乃田命が、急きょ別室に運営チームを集めた。
「ここまでポイント差が開くとは思わなかったぞ。特に1位と10位の差が2倍以上じゃねーか」
同着1位の3チームが235ポイント。
10位のチームが91ポイント。
後半のゲームに逆転ポイントがあるとはいえ、この点差では厳しい。
というか、出禁者が出るとか予想不可能だし。
「班の構成に関して、パワー、頭脳、総合評価の合計数値のバランスを良くしたつもりだったけど。
それが逆に裏目に出ちゃったね」
つまり班の中に、肉球魔王様のように数値全部が高すぎるネコ科魔獣が1体居るとする。
すると、班の他の者は数値の低いネコ科魔獣を割り当てざるを得なくなる。
結果、その数値が高すぎるネコ科魔獣が、スムーズに班のリーダーシップを取ることが出来るようになる。
魔獣は強い者に従うのが本能だからね。
逆に、数値が似たり寄ったりの者が集まるとどうなるか。
班内で争い、派閥が生まれる。
当然、班対抗ゲームの連携も上手くいかない。
バランス良く班分け出来ていたと思っていたけれど。
蓋を開けてみると、チーム連携の取れる班、取れない班に分かれてしまった。
「つまり、リーダーシップをとれるほど突出した奴が居ない班が、ガタガタになっているのか」
「次のゲームは、班対抗タワーディフェンスバトルの予定だけど」
「チームの連携が順位通りだと、次のゲーム順位も、これとさほど変わんねーだろう。
そうすると、3回目のゲームのモチベが下がる。2回目のゲーム種目を変えるべきだ」
宙に、以前の打ち合わせでボツったゲームの一覧が書かれたものが表示された。
「この中のどれにするの?」
「班員の実力があまり絡まず、運要素が強い種目にしたらどうかのう?」
運営チームの1人、白髪の老婆が答える。
シルフおばあさんだっけか。
「なら次の種目はコレにするか」
伊乃田命が指さした種目は……
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
休憩時間が終わり、命君の配下の白い猫又ミルフィーユが、前のステージ台によいしょっと飛び乗る。
「にゃ!(おまたせ! 次の班対抗ゲームの発表をするよ!)」
タテ4ヨコ4で二桁の数字が描かれた障子が、各班に現れる。
「にゃ!(次の種目は~、ビンゴゲーム!)」
「なーん(ビンゴゲーム?)」
「うんみゃ(なぁにそれ?)」
ミルフィーユの発表に、疑問をぶつけるネコ科魔獣達。
「にゃ!(ビンゴゲームの説明をするよ!
ボクが発表した数字の箇所をベリッと破いて、タテ列かヨコ列が揃ったら『ビンゴ!』って言う!
それから前のステージ台まで来てもらって、ポイントと豪華賞品を貰ってね!)」
この場合、斜め列は揃ってもビンゴじゃないようだな。
そして説明を聞いても、ピンときていないネコ科魔獣が多数。
一部のネコ科魔獣は、障子を勝手に破って、穴に前足を突っ込んでチョイチョイして遊んでいる。
「まぅ(わーい、わーい!)」
「にゃ!(あ~っ、発表されてない数字を破っちゃダメ~!)」
『……ビンゴシートはAR版を用意するか』
命君のボヤキが聞こえ、各班の宙に、配られたビンゴ障子と同じものが投影された。
ネコ科魔獣達は映像の障子も破ろうとするが、映像なので通り抜けてしまう。
「にゃ!(え~コホン! 気を取り直して……ビンゴゲーム、スタート~~!!)」
こうして班対抗ゲームの2つ目、ビンゴゲームが始まったのだった。




