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609.【後日談7】猫パ その13


・トミタ(猫)視点



ピラミッド内部の、石で出来た広い一室。

そこに置かれた20の石棺がガタガタと動き出す。


それと同時に、入口の扉が閉まる。

俺達は閉じ込められたようだ。



「にゃー(やれやれ。だから扉は破壊しておいたというのに)」



一応この空間はダンジョン内部ということになっている。

例え命君が信頼出来る人物とはいえ、退路の確保をするのは当然のこと。


なので俺は入口の扉にこっそりと、オリハルコン製のドアストッパーを設置しておいたのだが。

それも吸収され消えてしまっていた。

その辺の低レベルなダンジョンだと、吸収出来ないレベルの魔道具なのだがな。


ま、ドアストッパーには、取り外した者の周りがカレー臭くなる呪いがかかっていた。

今頃命君の居る場所は、ターメリックな香りが充満していることだろう。



「ニゥイ(石の箱から、何か出てきたわよ!)」


「にゃー(ほぅ、ミイラか)」



石棺の蓋が開き、中から包帯グルグル巻きになったミイラ姿の、機械ゴブリンが出てきた。

こいつらは、命君のダンジョンのメイン従業員だ。


そして石棺が開いたことで、石棺の中があらわになる。

中は白いクッション。

そして一部の石棺には、今回のお宝探しのターゲットである、黄色いマシュマロ型クッションが入っている。


ミイラ姿の機械ゴブリンは、俺達を襲って来たりはしない。

その辺をウロウロしつつ、包帯をヒラヒラさせている。

ヒラヒラにつられて、ブラディパンサーや口裂け猫が飛びついている。



「みん(死霊系相手なら、僕の鐘のが効くはずです。『詩的で宗教的な調べ第3番 孤独の中の神の祝福』)」



ニャ・カンパネニャが尻尾を振ると、尻尾の鐘が音楽を奏でる。

なかなか良い音色だ。

ゴースト・キャットが昇天しそうになっているので、軽くバリアをかけてやる。



「にゃー(ちなみにミイラ達の正体は機械ゴブリンだから、効かないぞ)」


「みむ(何と!?)」


「ギャギャッ!(ヒラヒラ~)」


「ギャギャギャ!(クルクル~)」


「にゃー(というか普通のダンジョンの敵と違って、こちらに攻撃してこないから、放っておいていいぞ)」



偽ミイラ達は、バレリーナみたいに包帯をヒラヒラさせている。

こんな奴らは無視だ。



「にゃー(石棺の中の黄色いクッションがターゲットだ。みんな手分けして……)」


「おぁぁん(ひんやりするのだ~)」


「あんなー(石の箱の中で、クッションで、お昼寝!)」


「にゃー(しまった、こっちが罠か!?)」



振り返ったら、石棺の中にネコ科魔獣達が入ってくつろいでいる。

石棺はどうやらサイズ調整機能が付いているらしく、大きな体の猫トラも、すっぽりと入っている。


偽ミイラと遊ぶ奴に、石棺に入ってくつろぐ奴。

真面目に取り組んでいるのは俺とゴースト・キャット、ピンポン猫だけ。



「にゃー(困ったな、みんなで協力しないと、お宝が取れないぞ)」



俺は天井を見上げる。

そこには、キラキラと光る文章と絵文字の箇条書きが書かれていた。


・黄色クッションを全員1個触る

・ミイラを石棺に戻し、石棺に乗って蓋をする(全員で)

・スフィンクスの背中で横になる(3体以上)

・ピラミッドから全員で脱出する



「にゃー(おそらく残りのお宝は、天井に書かれた文章の通りの行動をしないと、貰えないようになっているんだろう)」



俺1人だったら、どうとでもなるのだが。

全員協力必須となると、かなり難易度が高くなる。



『にゃ!(広い部屋の一部に書かれた箇条書きは、クエストだよ!

クエストをクリアしてお宝をゲットしよう!

文字が読める子に協力してもらってね!)』



司会の猫又の声が聞こえる。

俺の知ってるお宝さがしと趣旨が異なるが、仕方あるまい。


純粋に隠れた場所にあるお宝を探すだけなら、それこそ班で実力のある奴が数体で頑張ればいいだけだからな。

全員が何かしらの役割を果たすためには、こういうルールにするしかないのだろう。


とりあえず【変性錬成】で7方向に鎖を伸ばし、石棺の中の黄色いクッションを捕縛。

俺の元へ引き寄せる。そしてタッチ。


クッションは合計7つ。つまり35ポイント獲得。


さて、あとは班の連携が鍵だ。

どうしたものか。



◇ ◇ ◇ ◇



・人間ら控え室にて



控え室には、ターメリックな香りが充満していた。



「うぉお!? 部屋がカレーくさいぞ!?」


「どうなってるんだ!?」


「換気がなってなんじゃないか?」



そんな中、伊乃田命は淡々と携帯ゲーム機でゲームをしていた。



「あん? 何だ人工音声さん……におい?

別に有毒ガスじゃないんだろ?

うるさいな、今はミャトロイドの新作で忙しいんだ、話しかけないでくれ」



呪いは伊乃田命の周りだけなので、伊乃田命が別の場所へ移動すれば解決するのだが。

彼は携帯ゲームに熱中し過ぎていて、その場を離れることは無かった。

なので呪いが消える10分間、部屋中にターメリックな香りが続くのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] まあ加齢臭じゃなかっただけ肉球魔王様の優しさが……
[良い点] ターメリック… 昔、沖縄旅行したときに飲んだ、うっちん茶は苦手でしたねぇ ¯\_( ͡° ͜ʖ ͡°)_/¯
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