608.【後日談7】猫パ その12
607話ラストを微修正。会場サイズ変更を数十倍→数百倍にしました。
・トミタ(猫)視点
「にゃ!(お宝さがしのルールは簡単だよ! 今から各班に配るサンプルと同じものを探すだけ!
探したお宝に触れたら~ポイントを獲得!)」
しばらく待っていると、橘若菜が走って来て、3つほどサンプルを配ってきた。
配られたのは、銀色のバッタ、黄色いマシュマロ型クッション、そして牛鬼の血が染みついた紙のチケット。
それぞれ1、5、10ポイントと書かれている。
「にゃ!(今見えている10種類のステージは、各々1つの班しか入れないよ!
班の誰かが入った段階で、その班全員がステージに転移されるよ!
そしてステージに入った班は、ゲームが終わるまでそのステージから出られないよ!)」
ふーむ、見た感じ、例えば森のステージは銀色のバッタが多い、などの特徴があるようだ。
ステージごとに微妙な違いがあるみたいだな。
「にゃ!(各ステージの合計獲得可能ポイントは同じだよ! 制限時間は15分!
ではでは~、お宝さがしスタート~!)」
ゲームが始まったが、さて、どうしたものか。
「にゃー(どこ行く?)」
「ナニィ(肉球魔王様は、どこに行くのが最善と考えますか?)」
「にゃー(どこもそんな変わらないだろうけど、あの洋館タイプのステージかな)」
白いネコ科魔獣の口裂け猫が、逆に聞いてきたので答える。
ポイントの高いクッションとチケットが主に配置されているようだし。
ステージの合計獲得可能ポイントが同じというのならば、配置されるお宝の個数が少なくて済むはずだ。
「おぁん(なら早く行こうなのだ! 他の班に先を越されるのだ!)」
「にゃー(うーむ、判断が遅かったようだ)」
既にケンイチ君の所属する班(お風呂の旗がある)が、洋館のステージに到達した。
他の班も森、廃村、神殿、と次々に到達している。
というか班内の話し合い無しで、ピューッと飛び込んでいってるんだな。
「ニォ(ちょっと、どうするのよ! もう砂漠しか残ってないじゃないの!)」
「にゃー(とか言ってる間に、転移させられたな)」
一面砂原、周りにはピラミッドとか、スフィンクスっぽい猫の建造物とかがある。
砂漠ステージだ。
とりあえずその辺に居る銀色のバッタを、ホムンクルスに命じて捕まえさせる。
1秒後、目の前に120体の銀色のバッタが現れる。
「グルルゥ(一瞬で、バッタがいっぱいなの~♪)」
「にゃー(俺達自身が触らないと駄目っぽいな)」
触っても、消えないし消滅しない。
というか同じ場所に集めてしまうと、どれを触ったのかどうか分からなくなりそうだ。
ここに居る全バッタを触っておいた。
宙に文字が現れる。
爪とぎ班120ポイント獲得。
現在2位だ。
バッタに関しては、殺して触ってもポイントになるようだ。
モグモグ。ん~安物のカニカマっぽい微妙な味。
「にゃ!(お食事会が控えてるんだから、バッタの間食は駄目だよ~!)」
「にゃー(いや猫の前にバッタを差し出して、食うなとか無理だろ)」
司会の白い猫又ミルフィーユが注意するが、無視してバッタを食べたり、オモチャにする者多数。
『問題無い。食われたバッタに関しては、ダンジョンが吸収し消滅する』
命君の声とともに、食べたバッタが俺の腹の中から消えた。
他の班に居る、バッタを食べた連中も同じ事が起きたようだ。
これなら、お食事会までに腹が膨れるということも無いだろう。
そして、軽く調査した感じだと、お宝のクッションとチケットに関しては、入手に至るまでに仕掛けがあるようだ。
仕掛けは班員で協力しないと取れない。
いかにスムーズに協力するかが重要だな。
……ん? なんだか臭い。
振り返ると、アンニャがウ〇チして、砂を被せようと前足カキカキしていた。
砂かけは失敗しているようだが。
「あんなー(砂漠で、元気に、う〇ちっち!)」
「にゃー(お、ウン〇もダンジョンに吸収されるのか)」
黒ブチ模様のネコ科魔獣、アンニャが放出したウ〇チは、スーッと消滅した。
だが、臭いは残るらしい。くちゃい。
「ナンニィ(ふーむ、素晴らしい砂ですね。トイレ用にうってつけです。持ち帰りましょう)」
口裂け猫が、砂を四次元空間に収納している。
甲子園で負けた高校生かな?
だが、ドームいっぱいくらいの砂を収納しても、下から砂が補充されているのか、地面の砂は減っている様子は無い。
赤い豹の魔獣、ブラディパンサーは、ぺたーんと寝転がっている。
白くて肉球サイズのピンポン猫は、ピラミッドの扉の開け方が分からず、扉の前でぴょんぴょん跳ねている。
赤紫毛皮のニャ・カンパネニャは、休み時間の事を引きずってるのか、未だにポカーンと口を開けている。
青い毛の焔猫は、銀色バッタを食べている。
黒いトラ柄の猫トラは、スフィンクスっぽい建造物をそーっとツンツンつついている。
金髪ロールマンチカンは、俺から距離をとって前を向かずに歩き、ニャ・カンパネニャにぶつかりそうになり、ふしゃーと威嚇する。
つまり、全員好き勝手に行動していた。
「ピゥ(てめーらぁ、今は班対抗ゲーム中だって忘れてんのかぁ!?
時間も限られてるってのによぉ! 自由奔放にしやがってぇ!)」
体が半透明な黒猫魔獣、ゴースト・キャットが怒っている。
「にゃー(ネコ科魔獣としては正しい姿なのだろうがな。
ところで、クッションとチケットを探しに向かわせた俺のホムンクルスが帰ってこないのだが)」
『ホムンクルスなら没収したぞトミタ。著しくゲーム性を損なうからな』
命君から俺にメッセージが届く。
どうやら楽はさせてくれないようだ。
即興でゴーレムを作ることも可能だが、多分また没収されそうだ。
仕方ない、俺自身が動くしかないか。
「にゃー(まずはあのピラミッドに向かおう)」
俺が指示すると、皆が集まる。
四次元ワープで全員ピラミッド入口にワープする。
本当なら内部にワープしたいのだが、ダンジョンのジャミングにより上手くワープ出来ない。
「にゃー(扉の仕掛けは、扉の肉球マークに3体で同時に触ると開くっぽいな。面倒だから無視するが、よいしょ)」
巨大な金属製の扉を、仕掛けごと【分離錬成】で分解する。
だが、一瞬で扉が修復される。
『今度扉や仕掛けを壊したら失格にするぞトミタ』と扉に書かれている。
「にゃー(仕方ないな、ゴースト・キャット、ピンポン猫、手伝ってくれ。せーのっ)」
ぷに。俺達は肉球マークに前足を押し当てる。
ゴゴゴゴゴゴ。扉が上に持ち上がる。
内部は石が敷き詰められた床と壁の、広い部屋になっていた。
部屋には20の石棺が並べられているが、そいつらが一斉にガタガタと震え出した。




