606.【後日談7】猫パ その10
・あるカラス魔獣視点
「にゃ!(ではでは~、次はカラス魔獣の羽むしり! 共同作業で、班内の親睦を深めてね!))」
足と体が台に固定され、動けない。
俺の周りには、ネコ科魔獣が沢山。
首を動かしてみると、見知った顔が居た。
人間大の、尻尾を9尾持っている白猫魔獣。
「カァ(『猫耳天国』リーダー、ネコショウじゃないか)」
「グァウン(よう。闇ギルド『TENGU』ギルドマスター、熊カラス)」
「カァッ(笑えよ、お貴族様に逆らって、この有り様だ)」
「にゃ!(ここのカラス魔獣達は~、偽物の猫パ招待券を、高額で売りさばいていた悪い魔獣だよ!
だから遠慮なく羽をむしってOK! 30分間、羽むしりを楽しんでね!)」
司会の猫又が、俺達についての説明をする。
魔獣国チザンでは、3年くらい前までは、カラス魔獣は敵対魔獣とされ生存権は無かった。
だが最近、ようやくカラス魔獣も生存権が認められ、普通に暮らすことが認められはじめた。
そんな中、調子に乗って悪いことをするカラス魔獣が出てきた。
その筆頭が、闇ギルド『TENGU』。
本来ここに居る『TENGU』所属のカラス魔獣達は、ネコ科魔獣貴族を騙した罪で死刑とされた。
だが、今回の猫パの羽むしりを受け入れることで、特別に罪が許されることとなった。
「カァ(ネコショウ、お前だってお貴族様を騙して金を盗ってるじゃないか。
何で俺が捕まって、お前がのうのうとパーティに参加してるんだ、不公平だろ)」
「グァウル(それはお前が、肉球魔王様が立案した猫パに手を出したからだ。
闇ギルドに所属していたなら、『魔獣都市マタタビと肉球魔王様関連には手を出すな』という格言を聞いたことがないのか?
どんな奴も、魔獣都市マタタビで犯罪をすれば、必ず捕まる。
肉球魔王様や仲間に手を出そうとすると、必ず失敗する)」
「みゃーう(わーい)」
ブチ、ブチッ!
キジトラ子どもネコ科魔獣によって、俺の自慢の黒い羽がむしり取られる。
ガブリ!
ケリケリケリ!
「カァ(痛っ!? おい、そこのガキ! 噛むな! 蹴るな!)」
「みゃーん(えー)」
「グァウム(諦めろ。ここに連れてこられたからには、ネコ科魔獣のオモチャにされるのは必然)」
「カァ(屈辱だ……)」
ペロペロ。
ネコ科魔獣が舐めてくる。
「カァ(同情しているのか?)」
「みゃーん(味見ー)」
「カァ(くっ、殺せ!)」
こうして俺と仲間のカラス魔獣は、弄ばれるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
俺の属している爪とぎ班に割り当てられたのは、黒い毛の生えた小型車サイズなトカゲっぽい魔獣。
カラスドラゴンと命名されているらしい。
「ガァ!(痛ぇ!)」
「おぁーん(羽! 抜かずにはいられないのだ!)」
青くメラメラしている焔猫が、ハイテンションで羽を抜いている。
他のネコ科魔獣は、距離を置いてじーっと観察したり、そーっと前足でツンツンと突いたりしている。
俺はというと、その様子をボーッと観察していた。
やろうと思えば、スキルを使って一瞬で羽抜きを済ませられるが。
競争じゃないから急ぐ必要も無い。
お、ピンポン猫がカラスドラゴンに登った。
そして、うーんうーん唸りながら羽を引っ張っている。
だが、羽を抜けないようだ。
「にゃー(羽は鱗や皮膚とくっ付いてるから、まずはその接着を解除するといいぞ)」
ピンポン猫が抜こうとしているエリアを【変性錬成】で、羽を抜けやすくした。
プチ、プチ。
「みー(抜きやすくなりました! 肉球魔王様ありがとうございます!)」
ピンポン猫が一所懸命に作業している姿は、とっても可愛い。
癒される。
っと、ピンポン猫ばかりに任せるわけにはいかないな。
俺も羽抜きに参加するとしよう。
あまり気乗りしないが。
ブチッ、ブチッ。
羽を口に咥え、引っ張って抜く。
「にゃー(ほう、ほう)」
ブチ、ブチ、ブチ、ブチッ。
「にゃー(ふむ、ふむ)」
ブチブチ、ブチブチ、ブチブチ、ブチブチッ。
「にゃー(なるほど、なるほど)」
ブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチ……!
「にゃー(うおー!)」
「みー(速い! さすが肉球魔王様です!)」
思ったよりもいいな、これ!
スポーツでもそうだが、見ただけじゃそそらなくても、実際に自分でやってみると楽しいものである。
様子を見ていた爪とぎ班のネコ科魔獣達も参加し始める。
ニャ・カンパネニャはまだ友達の所から戻ってきてないみたいだが。
30分後、カラス魔獣達は全身の羽を抜かれた姿で、猫パから解放された。
抜かれた羽は集められ、後で羽毛布団に加工されてお土産になるらしい。
「にゃ!(カラス魔獣の羽むしりは楽しんだかな? 次は15分の休憩になるよ!
休憩の後は、班対抗ゲームが始まるから、トイレを済ませておくのを忘れずにね!)」
班対抗ゲーム、か。
このマタタビ会館大ホールが半ダンジョン化されているみたいだから、何かしらの仕掛けが使用されるのだろうけど。
さて、何をするつもりなのやら。




